書評- BOOK REVIEW -

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カメラアプリやメイクアプリを使って、自分の思い通りに「盛れる」ことができるようになった昨今、インスタグラムやツイッター、フェイスブックなどに加工した自撮り写真を載せている女性もたくさんいますよね。

しかし、その自撮り写真だけが美しく写っていて、普段の自分がイマイチだと、かえって会う人に違和感をもたせてしまうかも…。

■自分の顔が「般若」に見えた!?

『日本人の肌はなぜ世界一美しいのか?』(主婦の友社刊)の著者である渡辺奈津さんは、自撮りをする場合、どうしても自分がよく見えるように顔の表情をつくってしまうため、本当の素顔にならないと指摘します。

渡辺さん自身、参加したある研究会のビデオ映像に映った自分が「般若」の形相に見えたそうで、「自分では気づかないうちにこんなに恐ろしい表情を大勢の前でさらしていたんだ」とショックを受けたそう。

自分でそう感じたということは、おそらく周囲からも同じことを思われているはず。では、画像はいいのに素顔はイマイチな「画像美人」から抜け出して、本当の美人になるにはどうすればいいのでしょうか。

■いつでも美人でいるための3つのステップ

(1)動画を撮ってもらって自分の顔を把握する

まずは自分の普段の表情を把握する必要があります。その手段で最も効果的なのが「動画を撮ってもらう」こと。しかも、あらかじめ「撮るよ!」と決めてカメラをまわすのではなく、不意打ちで撮ってもらうのです。

思い描く自分とのギャップにまず気づくことが大切だと渡辺さん。特にアラフォー以降になると、眉間や目の下、ほおに、たるみやしわ、クマ、影が出てきて、普通にしていても顔が怖くなりがちです。

まずは自分がどのような表情をしているのか把握すること。脱「画像美人」はそこから始まります。

(2)常に笑顔を見せられる対象を近くに置く

自分がもし怖い顔をしていたならば、「笑顔」になりましょう。渡辺さんは、愛する家族や恋人、ペットなど自分が自然に笑顔を見せられる対象を、目に入るところにおいておくことをすすめています。

表情を豊かにする「顔トレ」もありますが、無理にトレーニングするよりは、自然な笑顔で自分の表情をつくるほうが大事。それを続けることで、自分の標準顔が自然な笑顔になるのです。

(3)肌から自分の体調を聞こう

肌がきれいなのは美人の条件。画像上ではメイクアプリを使って肌荒れを隠せても、現実の肌を隠すには限界があります。

渡辺さんは「肌トラブルは肌からのクレーム」だといい、肌に何か異変があったら自分の身体や生活と向き合うことをすすめています。例えば汗をかきにくくなったら、エアコンの中にいるため体温調節するセンサーが鈍っている可能性がありますし、肌荒れが目立ってきたら日々のストレスを疑ってみるのもいいでしょう。

「今日はうるおいがちょっと足りないから補おうね」「今朝はピンと張りがあるから、何もしなくてもOKだね!」と手で肌にふれて、感触を確かめてみてください。

■ただし、少しなりとも肌に刺激は必要

きれいな肌をつくり出すために、日々のケアは必要なこと。とはいえ、渡辺さんは、ノンストレスよりも、適度なストレスを受けていた方が美肌力が磨かれていくと考えています。そもそも人はストレスゼロの状態では生きていけませんし、ずっと引きこもっているからといって美肌になるわけではありません。

『日本人の肌はなぜ世界一美しいのか』では、30年間で60000人の皮フを診てきた渡辺奈津さんが、肌の色から体調や体質を知る方法から肌のケアまで、肌にまつわるさまざまなことを教えてくれる一冊。

これからの季節、外に遊びに行って自撮りをする機会があるはず。そのときのために普段から美人でいられるように3ステップを実践してみてはいかがでしょうか

(新刊JP編集部)

プロフィール- PROFILE -

渡辺 奈津

医療法人あすなろ会わたなべ皮フ科・形成外科 理事長。クラシカルホメオパシークリニック院長。1962年、大阪府堺市生まれ。神戸大学医学部卒業。これまで約30年間で6万人以上を診察した皮フ科に関するスペシャリスト。 西洋医学のベテランでありながら、自身がC型肝炎に感染した際、エネルギー医学で奇跡的に完治した経験を持ち、また、多くの患者を診察するなかで、西洋医学の限界を知るようになる。 そうした経験により、「すべての患者に笑顔を取り戻してほしい」との思いから、中医学(漢方医学)、心理療法、同種療法(代替医療)などあらゆる医療を研究し、これまでの皮フ科では対処できなかった多くの患者を完治へと導く。 現在は、精神(こころ)・物質(からだ)・環境・習慣など、人間を取り巻くあらゆる要素に働きかけて美を追求する「トータル美容を専門とする皮フ科」の第一人者として活躍中。 医療免許のほかに、ハコミセラピスト(トランスパーソナル)や、心理療法(オーラソーマ)の資格も持ち、国際医学会やアンチエイジング医学会などの会員でもある。そのほか、皮フ科医療・代替医療に関する多数の講演実績がある。
〒581-0802
大阪府八尾市北本町1-3-5
医療法人あすなろ会 わたなべ皮フ科・形成外科
併設:クラシカルホメオパシークリニック
TEL:072-993-4676
院長:渡辺 奈津

目次- CONTENTS -

第1章
日本の女性が世界でダントツに長生きな理由
第2章
「白黄緑赤黒」5つの色ですべての病気がわかる直観健康法
第3章
若返りたかったら肌に「有給休暇」をあげよう
第4章
肌を変える生活習慣
第5章
肌とおしゃべるする健康法
第6章
最新の美顔治療で美人細胞が活性化
第7章
「皮フ科難民」のための救済所になりたい

インタビュー- INTERVIEW -

「私の肌はボロボロ」「なんであのモデルさんの肌はきれいなんだろう」

女性にとって肌の悩みは尽きないもの。だからこそ、新しいコスメが発売されれば試してみたり、スキンケアを過度に行ってしまったりしてしまいます。

ですが、皮フの専門医から見れば「日本人の肌は美しい」といいます。では一体何がダメなのか? 肌から一体何が分かるのか?

今回は『日本人の肌はなぜ世界一美しいのか?』(主婦の友社刊)を上梓した渡辺奈津さんにお話をうかがいました。

著者近影

■「肌に自信がない」が8割弱! でも日本人の肌は世界一?

― 『日本人の肌はなぜ世界一美しいのか?』についておうかがいします。まずタイトルで「日本人の肌は世界一美しい」とおっしゃっていますが、これは本当なのですか?

渡辺:
そうですね。日本人をはじめとした黄色人種の表皮は、白色人種よりも角質層の厚みが3分の1ほどしかなく、非常に薄いという研究報告があります。表皮の厚さは0.1~0.3ミリほどで、角質層をはじめとする4層がミルフィーユのように重なっていますので、他の人種に比べてきめ細やかだと言えます。
また、特に日本人はお風呂に入る習慣があるでしょう。それが新陳代謝を活性化して肌をいつまでも若々しく保つように促すんですよね。だから日本人の肌は世界でも有数の美肌国なんです。

― その一方で日本人は肌に自信を持っていないというデータもあります。とある企業が「肌悩み」に関する調査を女性対象に行ったところ、「自分の肌に自信はありますか?」という質問に対して、「ある」と答えた人は23%だったそうです。これはすごく少なくないですか?(*1)

渡辺:
残念ですが、そうなんですよね。これは外国人モデルへのコンプレックスが大いに関係しています。メディアでは、やはり「きれい」のベースが外国人モデルだったりしますよね。それと比較して「私なんて…」と思ってしまう。
ただ彼女たちも結局はマスメディア向けにメイクをして、ああいう顔になっているわけですね。だから目指すべきところは外国人モデルではないんです。

また、肌に関係なく、そもそも日本人は自信がないですよね。欧米人はいわば「Yes,I can.」がスタートなんですが、日本人は「No,I can’t.」からはじまります。コスメもその「No」につけ込んで販売をするところがあって、コンプレックスをカバーするタイプの化粧品が多いように思います。
「とにかく肌に栄養を与えないといけない」「毎日スキンケアをしないといけない」と考えている女性も多いですが、「○○しないといけない」ではなく、「もっとキレイになるためにスキンケアをする」という発想が大事です。

― 肌の状態は心身の状態をあらわすものですが、本書では肌の色から体の状況や体質をチェックする「直観健康法」を提唱しています。非常にユニークだと思ったのですが、主に肌のどの部分を見て判断するのですか?

渡辺:
やはり顔ですね。顔のパーツでいうと鼻、唇、おでこなどを見ます。

― 私たちも普段、顔色から体の状態を判断することがあります。例えば顔が黒いと肝臓が悪いのではないか、とか。

渡辺:
まず、肝臓が悪いと顔に青みが増すことが多いです。ただ、「顔色は悪いと言われるけど健康診断の数値は異常なかったし、大丈夫」って言う人もいますよね。でもね、そもそも数値に出てからでは遅いんですよ。兆候の段階で何かしらの対策を打ってほしいです。

■女性を悩ます「毛穴の開き」と「しみ」対策とは?

― 本書では顔色を「青・赤・黄・白・黒」の五色で分けて、その上で中医学の「五臓」と重ねて状態を説明されています。一色ずつ、どのようなことを示しているかお聞かせいただけますか?

渡辺:
まずは今言ったように青は「肝」です。普段頑張り過ぎていて、ストレスを溜めているタイプが多いですね。「疳(かん)の虫」って言葉がありますが、「肝」とは漢字が違うけれど通じるものがあって、過度に動いて疲れてしまっている。眉間に青筋が立っている人はストレスに注意です。

― 続いては赤色です。こちらは「心」ですね。

渡辺:
そうですね。心臓に負担がかかっていると顔が赤くなります。炎症を示す色で、どこかに熱を持っている状態です。風邪ならばゆっくり休めば治るのですが、治らない場合は心臓に熱がたまっていることもあります。ほおやおでこ、鼻先、舌先などが赤い場合は、どこかに熱がこもっているので、注意が必要です。

― 黄色は「脾」ですね。こちらはどのような状態を示すのでしょうか。

渡辺:
基本的に胃腸が弱いというイメージを持ってもらえるといいでしょう。胃腸が弱っていると「黄色」が出てくることが多いんです。ただ、顔色は一色ごとに出てくることはあまりなくて、重なって色が出てくることが多いので、胃腸が弱って黄色くなっている中で暴飲暴食をすると今度は赤も出てきたりします。
また、顔だけではなくて、二の腕の内側あたりにも黄色はよく出てきますね。二の腕が黄色になっている場合、二の腕を触ってみると、たるんとしていて緊張がない。一方で青い場合は過緊張になっているから触るとくすぐったがることが多いんです。

― 白は「肺」ですが、こちらはいかがでしょうか。

渡辺:
白は、昔は結核を示す色でした。「美人薄命」といいますが、まさに色が抜け落ちてしまっている状態です。汗をかきにくい人が多いので、例えば辛いものを食べたり、お風呂にゆったり浸かって汗をかくことが大事ですね。

― 最後に黒ですが、これは「腎」を指しますね。

渡辺:
「腎」は泌尿器官や性行為などに関わる部分になります。そして、黒は「死」を意味する色ですから、腎機能の衰えは死に直結しています。日焼けサロン以外で急に肌の色が黒くなる人がいますけど、不吉な感じがしますね。

― 先ほど挙げた「肌悩み」に関する調査で、各年代で共通していた悩みが「毛穴の開き」と「しみ」だったそうです。この2つへの対策方法を教えていただけますか?

渡辺:
「毛穴の開き」を気にする気持ちは分かるのですが、きれいにしようと化粧でカバーをすると余計に毛穴が開くので、過度にケアはすべきでないでしょう。ただ、今はケアをし過ぎて逆に悪化してしまい、毛穴の開きが深刻化してしまって女性も多くいます。その場合は、皮膚科の先生に相談をしてみてください。

また、「しみ」は日光照射と摩擦でできます。もちろん、しみができにくい体質、できやすい体質というのもあるのですが、いずれにしても防ぐ方法は太陽に直接当たらないこと、あとは肌をこすらないことです。「しみ」は蓄積なので、もし今まで直射日光にあたっていたら、もうそれは「しょうがない」と思った方がいいでしょう。

― 普段から少しずつ肌を守っていかないといけないわけですね。

渡辺:
そうですね。日光避けならば、こする行為が発生する日焼け止めクリームよりも日傘の方が良いと思います。でもそれも自分の肌との相談の上で決めるべきでしょう。私も相談されたときは肌に合わせてアドバイスをしますからね。

― 自分の肌の変化についていちはやく気付くために、普段からすべきことはなんでしょうか。

渡辺:
ちょっとおかしいなと思ったら皮膚科に相談しに行ってほしいですね。化粧品も新しいものが次々と出ていて、テレビで宣伝されたり、モデルさんが使ってブログで紹介したりしているじゃないですか。だから次々に新しい化粧品を購入する女性が多いんです。ただ、化粧品の組み合わせが良くないものもあるし、そもそも肌に合わないものもある。そうなると、肌にダメージを与えてしまうんですよ。
では、そもそも「ちょっとおかしいな」と判断するにはどうすればいいのかというと、お風呂に入った時に、すっぴんの自分の顔をよく見ること、そして手を触れてどんな感触か自分で診断することです。もちろん季節とか食事とか生理や体調とか、毎日少しずつ肌の調子は変わるものなので、普段からチェックする意識付けをしておくといいでしょう。

― もう一つ、肌ケアで教えてほしいものがあって、夏の「汗対策」です。サラサラしている質の良い汗と、ベタベタしている質の悪い汗があるといわれていますが、質の良い汗になるにはどうすればいいのでしょうか。

渡辺:
軽度の運動や入浴によって新陳代謝を促進して、冷え性を改善することが大切です。シャワーだと体が温まらないので、「じわっ」とした汗が出てきません。良い汗がかけなくなってしまうんですね。
汗は熱を発散させてくれますが、最近クーラーが効いてる室内で仕事をする人が増えましたよね。そうなると熱中症になりやすくなったり、湿疹がひどくなることもあるので、適度に汗を流すべきでしょうね。

― 最後に、本書をどのような人に読んでほしいと思いますか?

渡辺:
肌に悩みを抱えている人ですね。きれいになりたい人、肌ケアの仕方が分からない人、そういった人たちに届けばいいなと思います。

(了)

(*1)ヤーマン株式会社による『肌悩み』に関する調査
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000012973.html

著者近影
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