BOOK REVIEW 解説
接客に関わったことがある人なら、「お客への気づかい」や「心づかい」の大切さについて、経営者や上司、または店長といった立場の人から教わったことがあるのではないか。
しかし、「心づかい」も「気づかい」も、理解して実践するのは難しい。それはスキルでもノウハウでもなく、マニュアル的な対応とは根本的に違うものだからだ。
JALのキャビンアテンダント(以下CA)として30年のキャリアを持ち、その経験から得たおもてなしの心を伝える江上いずみさんによると、心づかいとは「こちらから働きかけるもの」。
つまり、相手から要求されたことをこなすのが「対応」だとしたら、自分から相手の欲しているものや考えていることを想像し、応える努力をすることが「心づかい」なのだ。
携帯をなくした人の「本当の困り事」
「心づかい」について、まだピンと来ない人のために、本書からこんな例を紹介しよう。
「機内に携帯を忘れてしまったんです!」
飛行機から降りたお客が、忘れ物にあせって窓口に駆け込んできた時、応対する側としてはつい「何便でしたか? お座席は何番でいらっしゃいましたか?」と、お客の「言葉」だけを捉えて反応しがちだ。
しかし、これは「対応」であり「心づかい」ではない。こうした時、JALでは「さぞお困りかと存じます。このあとのお仕事やお約束、お待ち合わせの時間などは大丈夫ですか?」と、まずは相手をいたわる言葉をかけるようにしていると江上さんは述べている。
そのうえで「ご連絡が必要なところがございましたら、どうぞこちらの電話をお使いになってください」と、連絡手段があることを伝える。もちろん、便名と座席を確認してお客の携帯を探す手配も直ちに行う。
「携帯を忘れた」と焦る人の困り事は「携帯がない」ことではなく「必要な連絡ができない」ことかもしれない。お客の言葉だけを捉えるのではなく、その言葉から相手の気持ちと、相手が本当に欲していることに思いを巡らせるのが「心づかい」なのだ。
「もう1枚毛布が欲しい」に対する一流の心くばり
上の事例が理解できたなら、次の事例は簡単かもしれない。
フライト中、あるお客が肩まで毛布をかぶり、青白い顔で震えていた。そして、ついには「もう1枚毛布をください」とリクエストしてきたとしたら、CAはどうするべきだろう。
リクエスト通りに追加の毛布を持っていくことはもちろんだが、それだけでは失格。これではお客に頼まれたことに対応しただけで、そのお客が本当に求めているもの、つまり「どうすれば寒さに震えるお客を楽にすることができるか」について頭を働かせていないからである。
この場合、正解は複数あるはずだが、お腹の中から温めたほうが寒さも和らぐだろう」と想像して、毛布を渡す時に「ご一緒に、なにか温かいお飲物はいかがですか?」と声をかけるのも一つの方法だろう。ここまでできて初めて一人前のCAといえるのだ。
ある経営者に対するCAのスゴすぎる心づかい
最後に、上級者向けの事例を紹介しておこう。
ある大手自動車メーカーの経営者が搭乗した際、フライト中に鼻血を出してしまい、着ていたYシャツを汚してしまったことがあったという。
着替えようにも、衣類はスーツケースの中。飛行機を降りない限り手に入れることはできない。そこで担当CAはファーストクラスのリラクシング・ウエアに着替えるよう促し、機内で汚れたシャツを洗って、しわにならないようしっかり伸ばしてコートルームに吊るした。乾燥している機内ではシャツも到着までにすっかり乾き、その経営者に渡すことができた。
これだけでも立派な心づかいだが、本題はここからだ。
無事に乾いたシャツを受け取った経営者は、応対したCAに「僕はどうやってあなたに感謝の気持ちを示せばいいのだろう?」と声をかけたという。
すると、CAはこう言った。
「では、私の自宅に○○(経営者の会社の新車の名前)をお届けいただけますか?」
この言葉のスゴさがわかるだろうか。
大の大人が多くの人がいる中で鼻血を出し、汚れたシャツを洗ってもらったのだ。バツが悪いに決まっている。
もし、このCAが「お気になさらないでください」というだけだったら、このお客はバツが悪いままだっただろう。そうではなく、そのバツの悪さを絶妙な加減で利用した冗談を返すことで、彼の心の負い目を軽くしようとしたのである
また、偶然乗り合わせた乗客の会社の新製品を知っていた点にも注目だ。搭乗してきたお客とのコミュニケーションを円滑にすることを目的として、日ごろから幅広い知識を得ようとさまざまな努力をする姿勢は、あらゆるビジネスの場においても見習うべきところだろう。
さらに、顧客に対して冗談を言えるだけの関係をフライト時間の中だけで築いていたことも含めれば、この冗談には心づかいが三重に組み込まれているのだ。
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江上さんの提唱する心づかいには「正解」がなく、それだけに一朝一夕に身につけるのは難しいかもしれないが、明日から実践できることばかりだ。その上、想像力次第で相手に感動を与えることもできる。
ここで取り上げた例はCAの仕事の現場のものだが、相手の立場に立って考える想像力はどんなビジネスでも通じるもの。本書は「心づかい」を「7つの原則と30の習慣」という具体的な事例を交えて解説している。そこで明かされる「心づかいの極意」は、職業や老若男女を問わない、目からウロコが落ちる発見と学びの多い一冊となるだろう。
INTERVIEW 著者インタビュー
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『JALファーストクラスのチーフCAを務めた「おもてなし達人」が教える“心づかい”の極意』を拝読して、江上さんが提唱されている「心づかい」の細やかさと徹底ぶりに驚かされました。江上さんは2013年まで30年間、JAL(日本航空)でCAとして勤務されていましたが、この本で書かれたことはJALのCAであれば当然のようにやっていることなのでしょうか。
江上: そうですね。JALは「世界一の航空会社を目指す」ことを目標に掲げているわけですから、かなり厳しく指導しているのは事実です。数千人いるCAを1グループ10~15名ほどのグループに分け、1年をかけて先輩が後輩を育成していきます。
入社時の訓練を経てCAとして乗務するわけですが、やはり、飛行機の中で実際にお客様に接することで学ぶことはとても多くあります。そういった実機での経験を経ていくうちにCA一人ひとりに「心づかい」が身についていくのです。
2009年の倒産危機の後はCAが目指すところも一層高くなりました。これからもう一度お客様にJALを選んでいただくためにはどうすればよいか、ということを社員一丸となって考えなければならなかったわけですから当然といえます。機内でお客様と同じ空間を共有するCAとしてどうすべきか、どうあるべきかを常に考えて乗務に臨んでいました。
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日本では「おもてなし=ホスピタリティ」という捉え方をされるのが一般的ですが、江上さんは「両者は異なったもの」というお考えです。ここで、両者の違いについてお話をうかがえればと思います。
江上: ホテルや旅館などを思い出していただくとわかりやすいと思いますが、「ホスピタリティ」は、いらっしゃったお客様に対して一律に行うサービスというニュアンスがあります。
これに対して、お客様一人ひとりにまで目配りして、その人にあった配慮をするのが「おもてなし」です。
たとえば、靴を脱いでスリッパに履き替えるような場所なら、一律に「ここで履き替えてください」というのではなく、ご年配の方には椅子をお持ちして、腰かけながら履き替えていただくというように、均一のサービスにプラスしてできるアクションがあるはずです。
私は「コンシダレーション(consideration)」と言っているのですが、相手がどんな方なのか、どんな状況にあって何を望んでいるのかを想像して、その人に合った対応をしていくのが「おもてなし」だと思います。「ホスピタリティ(hospitality)」が誰にでも同じように親切に接するイメージだとしたら、「コンシダレーション(consideration)」は相手に応じて変化するイメージといえます。この本で書いている「心づかい」は、こちらの方にあたります。
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JALではCAとして勤務するだけでなく、後進の指導にもあたられていたとお聞きしました。CAになろうとJALに入ってくるような方ですと、心づかいについてもそれなりにできている方が多いのではないかと思ったのですが、いかがでしょうか?
江上: もちろん、たいへんな就職活動を経て入社してくるわけですから、優秀な方はたくさんいます。しかし学生の時は横のつながりが中心で、友人もクラブも、大学の授業も比較的自由に選択することができます。好きな人や気を遣う必要のない人とだけ一緒にいることが許される環境にありますし、物事を自分中心に考えることができる時期です。
それが社会人になってからは縦のつながりが中心になりますから、自分中心というわけにはいきません。ですからお客様のことを第一に考え、「どうしたら快適にお過ごしいただけるか」という心づかいは最初から完璧にできるわけではないのです。
単に「お客様を満足させるサービス(=Customer Satisfaction)」ではなく「お客様が感激するサービス(=Customer Delight)」がJALでは求められますから、CAとしての経験を積んでいくうちに少しずつ育まれるものになるのだと思います。
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「お客様が感激するサービス」について、いくつか事例を教えていただけますか?
江上: シンガポールやバンコクといった東南アジアから日本に戻ってくる便で多いのが、向こうを深夜に出発して、成田に朝の6時ごろ到着するという便です。
こういった深夜便では、お客様にゆっくり休んでいただくことが最も大切なサービスだと考え、離陸した直後はおつまみ程度の軽食をお出しするだけですぐに機内を暗くし、静かな客室作りを心がけています。食事は到着する2時間ほど前に朝食を出すというサービスプログラムになっているのですが、中には「向こうではずっと会議で夕食を食べる暇もなかった。とにかくお腹が空いている」というお客様もいらっしゃいます。
そのようなとき、経験が少ないCAですと、「本日は朝食をご用意しておりますので、お食事はそれまでしばらくお待ちください」と言いながら、せいぜいおつまみをたくさんお渡しするぐらいの心づかいで終わってしまうかもしれません。しかし、そのお客様が今一番求めていることは何かを考えると、サービスプログラム通りの対応ではなく、まずは食事を召し上がっていただいて、それからゆっくりお休みいただくことがベストなのです。
一律のホスピタリティではなく、相手に応じたコンシダレーションで臨機応変な対応をすること。それが相手の立場に立ったサービスだといえます。そして、そういった判断を下した場合は、自分だけの独りよがりで先に朝食をお出しするのではなく、そのお客様の事情を他のCAにも伝え、情報を共有して、本来の朝食サービスのときには重ねて食事を出すことのないよう、到着までゆっくりお休みいただくことを徹底することが大切だともいえます。
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他にも心づかいを発揮した心に残る事例がありましたらご紹介ください。
江上: ロサンゼルスに向かう機内でのことです。成田を離陸して座席ベルト着用サインが消えたので、いつものように客室を巡回していました。すると、ビジネスクラスに座っているご年配のご婦人が涙をポロポロ流しながら窓の外を見ていらっしゃいました。
何かご事情があるに違いないと思いながら、お手伝いできることはないかと声をおかけしたところ、たいへんな事故の話をしてくださいました。
今回、仕事で日本に来ている長男が私を招待してくれました。私にとっては初めての日本です。親孝行な一人息子がすべてアレンジしてくれて、箱根や富士山五合目まで連れて行ってくれました。それが先月、成田空港に向かって東関東自動車道を走行中、息子が事故を起こしてしまいました。二人とも救命救急センターに運ばれ、私は命を取り留めたものの、息子は残念ながら亡くなってしまいました。今、息子は棺に納められて、貨物室にいます。と涙ながらに語られ、私も思わずもらい泣きしてしまいました。
私はすぐにビジネスクラス担当のCA全員にその話をして相談しました。通路側に座っている老婦人の隣、窓側の席は空席です。そこでその席を息子さんの席にアレンジすることにしました。
食事のサービスの時、ご婦人にオーダーを聞いたところ、洋食の魚料理を選ばれたので、「もし息子さんだったら何をお選びになっていたでしょうか」と聞いたら「彼はお肉好きだったので牛フィレステーキを選んだと思います」とのお答え。そこで空席の窓側席にテーブルクロスを敷き、シャンパンと牛フィレステーキの食事を置いて、ご婦人とともに食事サービスを楽しんでいただいたのです。
食べられることのないそのステーキは、乾燥した機内で次第に水分が抜けていってしまいましたが、ロサンゼルス到着ギリギリまで置いておいてほしいというご婦人のご要望により、十時間近いフライトタイムの中、ずっと窓側席のテーブル上に置かれていました。
普段CAには空になったグラスを放置したりすることのないよう指導していますから、そういった事情で空席にステーキが置かれていることを他のクラスのCAにも伝えておかないと、必ず「お下げしましょうか?」と声をかけてしまうでしょう。ですから全CAにその状況を話しました。
通路を通りかかったとき、老婦人に応対するときのCAは皆、満面の笑顔で接するようなことはありません。それでも涙をこらえながら心を込めて優しい表情で応対し、ロサンゼルス到着時には絶大なる感謝の言葉を頂戴しました。
「言葉に言い表せないほどの悲しみの中、今日のこの十時間のフライトは私にとって何よりもの癒しの時間になりました。皆様のお心遣い(Consideration)を私は一生忘れません」と・・・。
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そのような心づかいは、人によってはどんなに教えてもできなそうなことですね。
江上: やはり、個人差が出るところだと思います。たとえば、各席のイヤホン、毛布、スリッパなどはビニールに入っているので、お客様はお使いになるときにビニールを外してシートポケットに入れますね。
客室を巡回しているときに、座席のシートポケットにゴミがあったらいつまでも放置しないように徹底していますから、CAはそういったビニール袋を目にしたら、不要なものとして回収します。しかし、空になった袋や容器はすべてゴミかというと、そんなことはありません。
たとえば、スリッパなどは機内で使った後に、滞在先のホテルで使うために持ち帰りたいというお客様もいらっしゃいます。そういう方はスリッパがもともと入っていた袋をゴミとして回収されてしまうと困ってしまいます。だから、CAの方も、中身の入っていない袋を一律に回収するのではなくて、お客様が後にお使いになるものかどうかを見きわめ、そのような可能性があればお声がけをしたり、むやみに回収しないという配慮が必要になるのです。
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航空機の中では数百人の乗客のケアを数人でするわけですから、そうした目配りはかなり大変そうです。
江上: ファーストクラスは、8席しかないところをCA3名で担当するわけですから、コールボタンを引かれたりすることのないよう、細心のちゅういを払っています。呼ばれてから行くのではアクションとして遅く、お客様の表情や態度を拝見しただけで、ご要望を察知できるくらいでなければならないということです。
ただ、エコノミークラスは200人くらいお客様がいますから、そうはいきません。その場合は、あるお客様の応対をしたら、その周辺に座っていらっしゃるお客様にも声かけすることが大事になります。
例えばサービスが終わった後の客室巡回中に、あるお客様から「コーヒーをください」とご注文を受けたとします。そのとき「かしこまりました」といってまっすぐ1つだけコーヒーを取りに行ってしまうなどということのないように、ということです。その周りに喉が渇いたのを我慢して座っているお客様がいらっしゃるかもしれない、と察知することが大切なのです。そしてその周囲の方にも「お飲み物はいかがですか」と声をかけたり、「何かご一緒にいかがですか」という視線を送ってみる。そうすることで心づかいが行き届く範囲が広がるわけです。
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お客の中には感じのいい人も、そうでない人もいます。江上さんは感じが悪くて苦手だなと感じるお客に接客する時、どのようなことに気をつけていましたか?
江上: そうですね、ちょっと横柄だったり身勝手な感じのお客様も確かにいました。そういうお客様に対しては、あえて多めに言葉がけをするようにしていましたね。
いくら感じが悪いからといって、避けていると溝は深まるばかりなので、いったん苦手意識は抑えて、あえて言葉がけをしてみるというのはとても大切だと思います。
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お客の立場からの質問なのですが、CAの方に「この人は感じがいいから、丁寧に接客しよう」と思ってもらうにはどうすればいいですか。
江上: それは簡単です。おしぼりでもお飲み物でも、お渡ししたときに「ありがとう」と言っていただくだけでかなり好感度が高くなります。目を合わすことなく、黙って受け取られる方がほとんどですから(苦笑)、そのような一言は本当に嬉しいのです。
あとは、その時々で言葉をかけてくださる方、コミュニケーションを取ってくださる方には、CAの方もより親しみをもってサービスさせていただくというのはありますね。お食事サービスの時に、「メインディッシュをこれにしたら、ワインはどれがいいかな?」とか「〇〇さんの今日のおすすめは何?」などと胸につけている名札から担当CAの名前をキャッチし、名前を呼んで会話してくださると、こちらも本当に嬉しく思うのです。
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仕事の邪魔をしている感じがして、話しかけない方がいいのかと思っていました。
江上: 全然そんなことはありません。JALの方でも、お客様と積極的にコミュニケーションを取るように指導しているくらいですから。
お迎えのご挨拶をしているとき、あるいはサービスをしているときに、会話をしてお客様のことを知ることで、心づかいを発揮するチャンスを得ることができるのです。
「今日は20回目の結婚記念日でね・・・」というご夫婦がいたら、「ご結婚20周年のご旅行が素敵な思い出になりますように!」とメッセージを書いたカードを添えて、ちょっとしたプレゼントをお渡しすることができます。搭乗時のご挨拶に伺ったときに先ほどの深夜便でのお話とは逆に、「向こうではずっと仕事だったし、空港で食事は済ませてきたから、まずは少し休みたいんだ」というお客様がいらしたら、お食事のメニューを伝えて「何かお取り置きいたしましょうか」と言うこともできますよね。そういった簡単な会話がより深いおもてなしに繋がることになるのです。
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JALを退社された後は「おもてなし」をテーマにした講演で、世界各地を飛び回っておられます。日本人でもなかなか言葉で説明しにくい「おもてなし」は、海外で理解されるのでしょうか。
江上: ご存知の通り、2013年のオリンピック招致における滝川クリステルさんのプレゼンテーションで、「おもてなし」という言葉は海外でも有名になりました。また日本の文化に興味を持つ外国の方々はとても多いので、「Japanese Culture and OMOTENASHI」というテーマでの講演は海外からも数多くご依頼いただいています。
ただ、文化や宗教、習慣、しきたりなど様々な違いがある諸外国において、「おもてなしの心」を一律にお話するのはとても難しいと感じています。アイコンタクト一つとっても、それを大切に思う方々と、相手の目を見つめるのは好ましくないと幼い頃から教えてこられた方々がいます。
「おもてなし」も「心づかい」も、相手の目や表情から心を感じ取るというのが基本にあるのですが、文化や宗教によって、それ自体が難しくなってしまうというところはあります。
おもてなしの心」の表し方は一律ではない、ということなのです。
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本書は、CAに限らず接客業全般に役立つ内容です。どんなふうに使ってほしい、というような思いはありますか?
江上: この本では、心づかいについて説明するために、例としてフライト中のエピソードを多く入れたのですが、内容については飲食店でもコンビニでも、あるいは他の販売店でも、いろいろな職場でお使いいただけることを中心に書かせていただきました。
自分の職場なら、どの部分をどういう風に使えるかと、楽しみながらお読みいただいて、皆さまが置かれた立場に合うようにアレンジしながら使っていただけると嬉しいですね。
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最後になりますが、読者の方にメッセージをいただければと思います。
江上: 先ほど、名前を呼んで会話していただくと、サービスしているCAもとても嬉しく感じるというお話をしました。これはたとえ一対一の会話であっても、相手の名前を呼びながら話すことで、親近感がわき、親密度が高まって相手の正直な気持ちを引き出すことができるというもので、これを「バイネームの効果」といいます。
変えたところといえば、普段「あなたは」とか「御社は」と言っているところを、「山田さんは」「佐藤さんは」にしただけです。でも、これだけで相手との関係性は全く変わってきます。
この本には、そういう細かいけれど大きな効果があることがたくさん散りばめてられています。ぜひ読者の皆さま一人ひとりにお使いいただいて、仕事でもプライベートでも、相手を感動させること、感激させることに繋げていっていただけたら幸いです。