『成功する人が磨き上げている超直感力』
35歳からは論理思考よりも「インスピレーション」を大事に
道岡: まずは八木さんの普段のご活動について伺っていきたいのですが、八木さんはかなり多くの肩書をお持ちですよね?
成功している人は、なぜ神社に行くのか?』という本を書いたんですけど、これがめちゃくちゃ売れまして……。その影響で自分は神社の専門家なんじゃないかと思われることが増えたんです。それ以来、神社に関する講演や、主に首都圏の神社のご案内をよくやっていますね。
そうですね。一つ明確な肩書を挙げるとすれば、今は武蔵野学院大学というところで兼任講師をやっています。「情報リテラシー」という、インターネットにおける色んな情報の利活用について教えているんです。あとは講演会やセミナーをよくやっていますね。というのも、2016年の7月に、『道岡: 大学の講師でもあり、神社の案内人でもあり、さらに本を拝見したところによりますと、社会心理学者でもあるということですが、心理学も教えたりしているんですか?
心理学は教えることもあるんですが、僕の場合は大学院に通いながら、独学で心理関係の学術論文を書いたりしていたんです。なので、心理学のバックグラウンドを持っているのかと聞かれた時には、「独学です」としか答えられません(笑)
道岡: 本当に色んな顔をお持ちなんですね!それでは、今回書かれた本、『成功する人が磨き上げている超直感力』について伺っていきたいと思うのですが、この本の執筆に至ったきっかけを教えていただけますか?
実はこの本を出したときに、色んな方から驚かれたんです。「なんで神社の本じゃないの?」って。そのいきさつについてなんですけれど、僕は普段からブログもやっていまして、そのブログの中で、「35歳からは論理思考じゃなくて、直感やインスピレーションを鍛えるのが良いよ~」みたいな内容を書いたんですよ。そしたらある日、KADOKAWAの担当編集者の方から直接メッセージを頂きまして、その方もちょうど35歳の男性の方で、ブログの内容にビビッときたらしく、すぐに本に出そうということになったんです。僕の中では、あくまで将来的な計画として、いずれ一冊の本にしようという所信表明のつもりだったんですけど。
エゴの塊である「一層目」の直感の先に潜む「第二の直感」
道岡: 今回の本のタイトルの一部になっている「直感力」というのは、ズバリどういうものなんですか?
一言で言うと、パッと出てくるアイデアやひらめきといったものが直感なんですが、それはみなさんがご存じの通りだと思うんですね。ただ、そのパッと出てくる直感には、実は二種類あって、正確に言うと、二層構造になっている……というのが今回の本のポイントになります。一番初めに生じる「一層目」の直感というのは、いわばエゴの塊のような直感であって、その下の層には、実はいろんなクリエイティビティの源泉となる「超直感」というものが眠っているんです。
道岡: えっと……すみません、ちょっと分からなくなってきました。直感力というのは二層構造になっていて、1つ目の直感がエゴの塊……?
「エゴの塊」の部分というのは、簡単に言うと「本音と建て前」の「本音」にあたるところですね。概ね、最初に感じた本当の気持ちということになるんですが、そこには「怒り」や「悲しみ」といったネガティブな感情がたくさん含まれているんです。ですが、それらを取り去った先には、世の中を良くするような、あるいは新しい何かを想像するようなインスピレーションの源が隠れている、という事です。
道岡: 直感のエゴの塊の部分を取り除いたところに、人生を良くするヒントのようなものが潜んでいる……ということですね。
そうですね。例えば、何かの物事に対して反射的に感じる気持ちってありますよね。「仕事行たくない!」とか、「もうこんな会社辞めてやる!」とか。こういうのも一種の直感なんですよ。でもしばらくの間、毒づきまくっていると、「まぁ、今日はひとまず頑張ろう」と切り替わることがあると思うんです。本音を全て出し切った後の、アイデアの源が見える瞬間というのが、まさにこのタイミングなんです。
人生の迷いや葛藤を振り払うことが出来た「超直感」とは?
道岡: なるほど……。私たちが普段の生活で感じている直感は反射的なものなんですね。そして、それらの先にある直感が「超直感」……。後者についてもう少し具体的に教えていただいてもよろしいでしょうか?
これは僕自身が超直感の存在に気付いたエピソードになるんですけど、会社に勤め始めて4年目くらいの時に、たまたまヒプノセラピーを受ける機会があったんです。当時は、ちょうど人生を見つめ直したいなと思っていた時期でしたので、キャリアカウンセリングを受けたのですが、その際に「これから、あるテープを流すのでちょっと聞いてもらっていいですか?」と言われたんです。そのテープをしばらく聞いていると、「自分が一番リラックスできる場所をイメージしてください」というような音声が流れたので、僕は自分の好きな綺麗な海を思い浮かべました。「そこに扉が現れたとイメージしてください。それを開くと、目の前に階段があるので、そこを下っていき、もう1つの扉と対面します。その扉の先にあるのが、10年後のあなたです」と、こういう内容だったんです。「へえ~」と思いながら、一連の流れを想像してみたら、一応見えたものがあったんです。
道岡: へえー!何が見えたんですか!?
僕の場合は、白衣を着て、黒板の前に立って、何かを喋っている写真みたいなものが出てきましたね。他にも、スーツを着て、教室で何かを喋っている絵もありました。当時の僕は、「会社を辞めて大学院に行きたいけれど、それによって本当に新しい道が開けるんだろうか」と葛藤していたのですが、その絵を見た時に、「ああ、これは大学の先生かな」と思ったんです。
道岡: という事は、28歳くらいの時に、ヒプノセラピーによって、38歳の自分が教師のようなことをやっている姿をイメージされた、ということなんですよね。これって、当時の八木さんに、先生になりたい気持ちがあった、という事なんですか?
それまでは選択肢になかったですね。僕の周りに教員になった人がいなくて、馴染みもなかったので。でもそこで、「そういえば大学の教授ってどうやってなるんだろう?」と、ふと思って本で調べているうちに、どうやら博士課程に行って博士号を取れば、大学教諭になる道にエントリー出来る、ということを知ったんです。そして、「あぁ、それなら僕は大学院で博士課程を取る必要があるんだ」と考えた瞬間、不思議と迷いが消えたんですよ。なんだか焦りもなくなって、自分の中で確信が持てたんです。この時に「超直感」というものを初めて体験しました。