ページトップへ

本が好きっ! 鬼頭あゆみのインタビューラジオ

『本が好きっ!』は、話題の本の著者をゲストに招いてお送りするインタビュー番組です。本についてはもちろん、著者の人となりや、成功体験、考え方、ビジネスのちょっとした気づきやなど、聞いて役立つトークをたっぷりお届けします。

ゲスト: コンサルタント 髙田敦史さん

『会社を50代で辞めて勝つ! 「終わった人」にならないための45のルール』

髙田敦史さん、鬼頭あゆみの写真

サラリーマンとしてのノウハウの蓄積がピークに達する「50代」

鬼頭: 今回の本のタイトルに、「会社を50代で辞めて勝つ!」とありますが、髙田さんは50代にして、あのトヨタを辞められたんですよね?私からしたらとても勿体ない事のように思えてしまうのですが……。

髙田: そうですね、3年前にトヨタを辞めました。「なんで辞めちゃうの?」っていう声は確かにありましたね。一応、部長という役職でもあったので、「何か悪い事したの?」なんてことも言われたりしました。(笑)

鬼頭: 会社を辞めるということは、早いうちから決められていたんですか?

髙田: 若い時から、いつか独立して仕事をしたいという思いはありましたね。やっぱり男としてかっこいいじゃないですか、自分で仕事を始めるって。それを考えた時に、感覚的にですけど、独立するなら55歳くらいがリミットかなと思ったんです。60を過ぎると、新しく仕事始めるには、体力的にも少ししんどくなるんじゃないかと思いまして。

鬼頭: 55歳というと、定年まであと5年だとしたら、そのまま同じ会社に勤めていた方が楽な生き方のように思えるんですけど、髙田さんはそのような考えにはならなかったんですね。

髙田: 今は60歳で定年という会社が多いんですけど、多くの会社は雇用延長という形で65歳まで雇ってもらえるんです。近い将来、おそらく65歳で定年となる会社が増えていくと思うんですけど、その年齢まで働いてしまうと、体力的にも何か新しいことを始めるということは難しいじゃないですか。また、50歳前半くらいの時期って、サラリーマンとしての色々なノウハウが蓄積されたピークの状態なので、辞めるんだったらいきが良い時に辞めておいた方がいいんじゃないかなとも思います。あとは、頼れる同世代の仲間がまだ働いているうちに辞めたほうがいいですね。

髙田敦史さんの写真

50代までに「商品価値のある人間」となるために

鬼頭: 「脱サラ」という言葉をよく耳にする時期がありましたが、今回の本で推奨されているのは、それとはまた違う形なのでしょうか?

髙田: 脱サラというのは、サラリーマンを脱して、新しいことを始めることだと思うんですけど、僕が実際にやったことで、皆さんにお勧めしたいのは、サラリーマンとして積み上げたノウハウや人脈をきちんと活用して、会社人生の最後を自分で生きてみてはどうですか、という事です。これが今回の本の趣旨でもあります。

鬼頭: サラリーマン時代の経験を将来のために活かす、もしくは独立するため、若い間にやっておくべきこと等は何か具体的にありますか?

髙田: やはり外で商品価値のある人間になっている必要はあると思いますね。理想像は「ジェネラリスト的要素も兼ね備えたスペシャリスト」です。サラリーマン時代に積み上げてきた仕事の進め方に関する知識、これがジェネラリストとしての力。それに加え、各々が持っているスペシャルなスキル。この2つを兼ね備えておけば、大体食っていけると僕は考えています。最近はアウトソーシングで仕事を出すという会社も増えていましたから、僕と同じか、それに近い方法で食べている人は他にもたくさんいると思いますね。

鬼頭: 人生100年時代がやってくるということもあって、より長く充実した働き方をしたいと思う人は今後も増えていきそうですね。

鬼頭あゆみの写真

定年後の人生を「余生」とは呼べない時代に

髙田: それは増えてくるでしょうね。55歳で定年を迎えて、70代で人生を終えていくという時代では、会社を辞めた後の人生は約15年程……。これは余生と言っていい数字だと思います。でもこれからの時代、男女問わず90歳過ぎまで生きる人が増えていくんですね。そうすると、例えば65歳で定年を迎えて、その後90歳まで生きるとなると……その間25年。これはもう「余り」じゃないですよね。 

鬼頭: 確かに25年もあれば何でも出来そうですね。生まれてから成人を迎えるまでの時間より長いですし……。

髙田: そうなんです。そう考えると、70歳くらいまで何か目標を持って働いてみるとか、場合によっては70歳以降も働き続けるといった選択肢が出てきますよね。その中で、定年後からの第2の人生設計を自分で考えておいた方がいいんじゃないかなと僕は思います。

鬼頭: 本の中で、定年まで働いた方がいい人と独立した方がいい人というは、「子供の頃好きだった事」によって分かれる、という内容が書かれていて、これにはすごく納得させられたのですが、髙田さんの現在も、子供時代の理想に関連しているところがあるんでしょうか?

髙田: 僕の場合は、子供時代からスポーツ選手になりたいとか、歌手になりたいとか、色々な夢があったんですけど、意思が強い方ではなかったので、なんとなく流されてサラリーマンになっちゃったんです。でもこのまま働いていて、人生が終わっちゃったらつまらないな;ぁって思ったんですね。そこで子供の頃を振り返った時に、昔はもっと大きな夢を持っていたことを思い出したんです。それから今の自分に出来そうなことを考えた結果、これまでの自分の経験を若い人に教えてあげるとか、人前で喋るのが得意な点を活かして、講義をさせてもらうとか……他の会社に転職するより、こっちの方が自分らしいのかなぁと思い至ったわけです。

プロフィール

髙田敦史

A.T. Marketing Solution代表。Visolab株式会社 Chief Marketing Officer。一般社団法人ブランド・マネージャー認定協会アドバイザー。広島修道大学非常勤講師。1961年生まれ、一橋大学商学部卒業。1985年トヨタ自動車入社。宣伝部、商品企画部、海外駐在(タイ、シンガポール)等を経て、2008年、宣伝部の分社化プロジェクト「Toyota Marketing Japan」を担当し、Marketing Directorに就任。2012年からトヨタ自動車に戻り、Lexus Brand Management部長として、レクサスのグローバルブランディング活動を担当。レクサス初のグローバル統一広告の実施、カフェレストラン「INTRESECT BY LEXUS」の東京、ニューヨーク、ドバイでの出店等、各種施策を主導。2016年、トヨタ自動車を退社し、個人事業主となる(屋号:A.T. Marketing Solution)。独立後はブランディング領域を中心としたコンサルティング業務、講演活動等を行うとともに、2018年には経済産業省が行う「産地ブランディング活動(Local Creators' Market)」のプロデューサーを務める。

パーソナリティプロフィール

鬼頭あゆみ

1976年、愛知県生まれ。フリーアナウンサー。活動拠点を東京に移す前は、東海テレビ放送のアナウンサーとして、主にニュース番組、プロ野球番組などを担当。フリーに転身後は、TBS「サンデーモーニング」やNHK「探検ロマン世界遺産」などに出演。

これまでの配信一覧