『マンガでわかる 伝説の新人 20代でチャンスをつかみ突き抜ける人はここが違う!』
若い世代に向けた「ビジネス漫画」方式の教育本
鬼頭: 今回ご紹介頂くのは、7年前にロングセラーとなった書籍の漫画版との事なんですが、前作から反響は大きかったんですか?
そうですね。この本は新人全般というよりは、「新人の中でも特に突き抜けたい!」とか、「仕事を思いっきりやりたい!」、そういった層にターゲットを絞っていたので、少しコアな方々から支持をいただくパターンが多かったように思います。
鬼頭: それが漫画化されることで分かりやすくなって、より幅広い層の方が手に取りやすいものになりましたよね。
そういう意味ですと今回の本は、うちの高校生と中学生の子どもが、漫画のところだけ読んでくれていましたね。(笑)
鬼頭: うちにも息子がいますけど、この本を机の上に置いておいたら、手に取ったりしていたので、子供の頃から読ませてあげるというのもありなんじゃないかなと思いましたね。
そうですね。最近、書店でビジネス漫画のような本をよく見かけるので、私も初めてこういう形式の本にチャレンジしてみたんですけど、漫画もなかなか伝わりやすくていいなと思いましたね。
各業界の「エース」に共通するエッセンス
鬼頭: 紫垣さんご自身はどんな新人時代を過ごされてきたんでしょうか?
リクルートに入社したての頃は、各企業の情報を記事としてまとめダイレクトメールで学生達に届けるという仕事をしていました。その過程で色々な会社を回っていると、よく人事の方が会社の「エース」を紹介してくれるんですね。その後、エース社員の方にもお話を伺うんですけれど、色々な業界のトップ社員達にインタビューをしているうちに、普通の方とは違う視点や行動を自然と吸収できるようになってきたんです。さらに、「この話どこかで聞いたことがある!」とか、「あの会社のトップが言っていた内容と同じだ!」みたいな事が増えてきて、どの業界でも共通するエッセンスのようなものが見えてくるようになったんです。それらをまとめて本にしたのが「伝説の新人」です。
鬼頭: 私も色んな業界の方にインタビューをしていると、時々、共通しているものを感じることがあります。しかし、それらを一冊の本にまとめられるというのは、またすごい能力ですよね。
仕事柄、原稿を書いたり、取材した情報をまとめるという事もよくやっていましたので、今度は自分の中にある情報を整理してみようと思いもあって執筆させていただきました。
鬼頭: 紫垣さんご自身も、新人の頃からいくつか賞を取られていますよね。そのご活躍を見る限り、紫垣さんも「伝説の新人」に当てはまるのではないでしょうか?
自分で言うのはちょっと……。(笑)ですが、結果的にこの歳になっても仕事が楽しめているのは、早い段階で仕事の進め方や取り組み方を色々な先輩から教わったおかげですので、それらを若い世代にどんどん伝えていきたいという思いはありますね。
ビジネスにおいて「やる気」は必要か?
鬼頭: 特に若い世代が、仕事を楽しく続ける、あるいはやりがいを感じ続けるための考え方について、何かコツ等がありましたら教えてください。
基本的にビジネスは自己満足で行うものではなく、「価値と価値の交換」だと私は思うんですね。例えば100万円の車を買いたい人と売りたい人がいたとして、何故その車が売れるかというと、当然、買う側がその車には100万円の価値があると思うからその車が売れて、そこで初めてお金が流れるわけです。こう改めて考えてみると、お金って価値を交換するためのツールでしかないんですよね。そこでポイントになるのが、「売り手が満足するかどうかではなくて、買い手が価値として感じてくれるか」ということです。「買い手の期待値を1パーセントでも超えていく、そしてそれを継続していく」ことが、仕事をしていくうえで大事なことだと思います。
鬼頭: 期待を上回る成果というのは、「期待通りにやればいいや」くらいのやる気ではなかなか超えられない壁だと思うんですけど、それが達成できるようになってくると、仕事もどんどん楽しくなっていくんでしょうね。
実は、「やる気があるかどうか」はあまり問題ではないんです。もちろんあったほうが仕事は面白いので、やる気はあるに越したことはないんですけれど、やる気がなくても相手の期待を超えれば評価はされるんですよ。モチベーションややる気の有無に関わらず、相手の期待を超えさえすれば価値を感じてもらえる……これはビジネスにおいての原理原則なので、この点の理解はすごく大切だと思います。
鬼頭: なるほど……。やる気がなさそうな人って、どうしても低評価に繋がってしまいそうなイメージがあるんですけど、一概にはそうとも言いきれないんですね。
やる気を求めている相手に、「やる気がなさそうだな」と思われてしまったら、相手の期待値を下回ることになりますから、それはビジネスとしては成立しません。でも、相手にストレスを感じさせなければ特に問題はありません。1パーセント、2パーセントだけでも付加価値をのせて、相手の期待を上回る仕事が出来れば、たとえ頑張っていなくても、ビジネスとしては成功という事になります。