『あなたと子どものお金が増える大金持ちの知恵袋30』
銀行員時代の経験を活かし、富裕層・貧困層の二極化の防止へ
鬼頭: 菅井さんはお金に関する本の執筆だけではなく、他にも色々なお仕事をされてるんですよね?
そうですね。元々は銀行員だったのですが、今は東京の田園調布にある喫茶店を経営しております。その一方で、不動産の家賃収入を主な経済基盤としつつ、講演や執筆活動等を行いながら、お金に関する色々なご相談を受けたりしていますね。講演は年間約50~60回ほど行っているんですけれど、そこで出来た繋がりで、事前の予約制なんですけれども、お金に関する個別相談をしに喫茶店を訪れる方が結構見えます。
鬼頭: ふらりとお店に立ち寄る一般のお客さんよりも、セミナーに参加した人のほうが多かったりするんですか?
そうなんですよ。普通の喫茶店として6年前にオープンしたんですけど、当初はお客さんが全然入らなくて……。もっと繁栄させたいと思っていたところへ、本のお話が舞い込んできたんです。元メガバンクの支店長が田園調布で喫茶店を経営しているというところに興味を持っていただけたみたいで。そうして書いた本、『お金が貯まるのは、どっち!?』が有難いことに40万部も売れたんですよ。
鬼頭: 本が売れ難くなっているこのご時世に、40万部はかなりの大台ですね。
そんな気がしますね。過去に銀行員として、色々な資産家や起業家の方を見てきていますので、「なぜそうなれたのか?」、「そのためにはどうすればよいか?」ということを大体把握していたという事が大きかったんだと思います。でも真のお金持ちの人って、その内容を外部にペラペラ喋ったりしないんですよね。そこで、今後の富裕層・貧困層の二極化問題を緩和するためにも、自分の使命として、お金に関する知識をシェアしようと思いました。
資産家や起業家が持っている共通の技術
鬼頭: 菅井さんご自身のビジネスの成功も、やはり銀行員時代に見てこられた資産家の方々の影響は大きかったのでしょうか?
そうですね。「そうやって成功されたのか」という学びは多かったです。例えば、資産家の共通点の1つに、銀行からお金を上手に引き出して、それを有効活用する、という点がありました。銀行というところを、ただの預金先としてだけではなく、「安い金利で長くお金を貸してくれるところ」という位置づけで考えているんですね。その技術に長けている方ばかりだったんです。なので、その技術を知識として盗めたんですよ。
鬼頭: 確かにそういう知識のないまま、既にあるものを守ることに必死になってしまうと、なかなかその先には進めないですよね。
そうなんです。その先へ進むには、どうしても人の力を借りなければならないんですよ。「大きな成果」をあげるということは、基本的には、銀行や、その他のプレーヤーを味方につけて、チームで行うものなんです。今回の本には、その具体的な方法が書いてありますので、これを機に、自分とお子さんを豊かにしたいと思った方は、是非読んでみてください。
鬼頭: お金に関する本で、自分だけではなく、「子ども」にもスポットを当てている本というのは、なかなか珍しいように思うのですが、子どもに対して有効なお金の教育方法について、少し伺ってもよろしいでしょうか?
実を言いますと、そういったお金のお話以前に、子どもを教育する事の目的そのものがはっきりしていない親御さんが結構多いんですよ。そこで、そもそも親としての使命ってなんだろう?って考えた時に、一番大切なのはまず、子どもを「自立させること」だと思うんですよね。ただお小遣いをあげるのではなく、お金をもらう方法を子どもに考えさせてあげなければ、社会に出た時に右往左往してしまいがちだと思います。現に、多くの資産家の方も、その点の教育に関しては非常に熱心で、ただ「魚を与える」のではなく、「魚の釣り方を教える」ことが多いんです。
お金の稼ぎ方を子どもに「体験」させる
鬼頭: 私は子供に、ただ教育費をかけているだけな気がしますね……。(笑)
確かにそれも良いことではあるんですけれど……。(笑)大切なのは、やはりお金をもらうまでの過程を子どもに体験させてあげる事だと僕は思いますね。例えば、学年が上がる度に、無条件でお小遣いの額が上がった家庭で育ってきた22歳と、そうではなく、家事の手伝いを行う度に、ルールに則った額のお小遣いがもらえる家庭で育った22歳を比べると、間違いなく後者の方が、たくましい新卒社会人になっていると思います。これは、小さい頃から、「求められている事を実行したことの対価」としてお金をもらうという体験を積み重ねてきているからなんですね。
鬼頭: 子どもが勉強したら、ご褒美にお小遣いをあげるということをやっていたんですけど、それも何か違う気がしてきました……。
勉強は自分のためにやるわけで、「勉強してやってるんだ!」という意識になってしまうと少し違ってきますよね。これはあくまでうちの場合はなんですが、子どもに対して、「15歳までは面倒見るけど、そこから先の将来は自由に決めていい」という言い方をしていて、学校へ行ってほしいとは一切言わないんです。その代わり、10歳過ぎたあたりから、「孫は見せてくれ」と言うんですね。そうすると、子どもは「子どもを育てるなら結婚したいな……。結婚するには収入がないとな……。収入が高くないと嫁さんもらえないな……。」と、大抵の男の子なら考えると思うんです。そう逆算した結果、「勉強して学校に入る必要があるな」という結論へと自分でたどり着くことが肝心だと思います。