『余計なことはやめなさい!ガトーショコラだけで年商3億円を実現するシェフのスゴイやり方』
ガトーショコラがレストランのデザートメニューから「大出世」
鬼頭: ケンズカフェと言えば、「ガトーショコラの最高峰」と謳われるだけあって、かなり有名なお店ですよね。テレビや雑誌なんかでも見たことがあります。
ありがとうございます。多くの方に認知されていて何よりです。
鬼頭: では早速なんですけど、ガトーショコラを売ろうと思われたきっかけは何だったんですか?
自分のお店は、以前はカフェ&レストランとして経営していて、当時はデザートメニューの1つとしてガトーショコラを作っていたんです。他にもチーズケーキやプリン等、簡単に作れるものをいくつか……。その中で、なぜかガトーショコラにだけ「こんなに美味しいものは食べたことがない!」、「テイクアウトしたい!」といった反響があったんです。当時はレストランですし、売るつもりもなかったので、お断りしていたのですが、その後も、称賛の声が相次いだので、仕方なくラップに包んで提供したのが、全ての始まりでしたね。その時は、後にガトーショコラの専門店になるとは夢にも思っていませんでした。
鬼頭: ガトーショコラがそれだけ好評だったら、レストランとしての事業も成功されたのかな?と思ったのですが、そうもいかなかったんでしょうか?
そうですね。20年前のオープン時は、勢いもあって若さもありましたから、1~2年はなんとなくやってこられました。しかし、4~5年目あたりになってくると、当初の煌びやかさはなくなっていって、近所に新店が開けば、次第にお客さんはそちらに流れていってしまって……。赤字が続いて、いつ潰れてもおかしくない状況もありましたね。
インターネット販促時代の波に乗る
鬼頭: 今まさに事業で苦しんでいる方からすると、その苦境をどのように脱したのかが気になるところだと思うのですが……。
当時は自分の給料がゼロで、情けない事に30歳を過ぎて親にお金を借りたりしても、尚そのような状況でしたから、貧すれば鈍するようになってきてしまって……。正直、店もこのまま潰れるんだろうなぁと思っていましたね。でも、人間というのは、そこまで追い込まれて、どうしようもなくなってから、ようやく少し頭が働くというか、覚悟が出来るといいますか……。
鬼頭: 私にも、なかなかお仕事にありつけない時期があったので、そのお気持ちはすごく分かる気がします……!
そこからの好転が運なのか、自分の力で変えていったものなのかは難しいところではありますが、ちょうどその時に、インターネット販促を出来る時代がやってきたんですよね。今から15年くらい前の事です。
鬼頭: その時代から、インターネットで飲食店を検索する風潮が広まっていったんですね。
そうですね。その流れに乗って、私も「ぐるなび」という飲食店の情報サイトを活用させて頂いたんです。そこでまずは、お客様がどういうキーワードを検索窓に入れるかという事を入念に考えて対策をしました。あとは、自分がたまたま大学時代に写真をやっていた関係で、ものの魅せ方に関する知識があったんです。それを活かして、料理が美味しそうに見える写真をアップして、練りに練ったキーワードを合わせて載せたら、見る見るうちにアクセス数が増えていきまして。売り上げが伸びていったのはその時からですね。
レストラン事業を「捨てて」、ガトーショコラのみを扱う専門店へ
鬼頭: 物事がうまくいかない時って、「もっとやる事を増やさなければ」と気張ってしまうケースが多いと思うのですが、氏家さんは本の中で、「切羽詰まっている時こそ、やっている事をどんどん捨てていきませんか」という事を提唱されていますよね。
そうですね。私のお店自体も、もともとは様々な飲食を提供していたレストランでしたが、今やガトーショコラの製造と販売だけしか行わなくなりました。ですので、まさにレストランの事業を丸ごと捨てたわけですね。
鬼頭: そこでよく「レストランを辞めよう」と決断出来ましたね!私なら両方残そうと思ってしまうかもしれません。
自分もまさか今の形になるとは思ってもみなかったのですが、インターネットでの販促を始めてから、ある程度の利益は出るようになってきました。それから売上の様子を追っていると、ガトーショコラの比率が徐々に増えていきまして。そこで初めて、「ガトーショコラだけで経営できたらいいなぁ」と思い始めたんです。作りやすいし、利益率も高いし、何より味の評判が良かったので。
鬼頭: やっぱり嬉しくなりますもんね。美味しいって言われると。
そうなんですよね。それからも順調にガトーショコラの売上が伸びていったので、遂にはランチを辞め、カフェを辞め、レストランを辞め、今に至る……という事です。