『乱高下あり! バブルあり! 2026年までの経済予測』
世の中の変化に伴い、景気への関心が高まる
鬼頭: まず始めに、渡辺さんの普段のお仕事についてお聞きしてもよろしいでしょうか?
私は経済アドバイザーという仕事をしております。リンジーアドバイス株式会社を経営しておりまして、現在20社以上の上場企業に対して経済、あるいは経営のアドバイスをさせて頂いております。
鬼頭: 会社名にある「リンジ―」というのは、渡辺林治(わたなべりんじ)さんご自身のお名前からとってきているということですが……。
そうですね。「リンジー」という名前は、私がアメリカや中国、サウジアラビアなど、海外を回る中で、現地の方が比較的呼びやすそうにしていたものですから、そのまま会社名にさせて頂きました。
鬼頭: 今回、本を書かれたきっかけというのは?
2016年にトランプさんがアメリカの大統領に就任されて以降、米朝でトップ会談が行われたり、中国との間で経済貿易報復戦争のような事が起きていたりと、世の中がかなり動いていますよね。ですので、これからの景気について関心のある方が増えてきているんじゃないかと思いまして、今回の本を書かせていただきました。
幕末時代の日本と現在の日本との共通点とは
鬼頭: 今回の本で、渡辺さんは東京オリンピック開催年から更に6年後までの経済予測をされていますよね。これには何か理由があるんでしょうか?
まず、予測をする際に一番大切なのは、「歴史的な時間軸」を追う事なんです。本の冒頭に、今は150年前の明治維新の時と似ているという内容を書かせて頂きましたが、1か月~3か月などの短い期間ではなくて、このように出来るだけ長い時間軸の中で見ていくと、冷静に分析することが出来ると考えています。
鬼頭: 150年前と今の日本が似ているというのは、例えばどのような点が……?
150年前というと、ちょうど日本が開国してヨーロッパと貿易を始めたりだとか、イギリスの産業革命が国内に入ってきたりだとか……そんな時代にあたりますよね。それに対し、今がどのような時代かというと、「IT産業革命時代」の只中にあります。私たちの生活をガラリと変えるような産業革命が再び起きているんです。それともう1つ、150年前は元号が江戸から明治に変わっているのに対し、2019年は平成から新しい元号に変わる予定の年ですよね。今の時代は、とにかく様々な変化が起きている激動期なので、そんな時代をどうやって生き抜いていくのか……というのを、経済予測の本の中から少しでもヒントを掴んでもらえたらと思っています。
鬼頭: ITそのものに乗り切れていなくても、経済予測をしていくことで、社会の波にうまく乗っていけるかもしれませんね。
幾千とある経済データを分析する「技術」
鬼頭: 本の中で、今はバブルの5合目くらいという記述があったのですが、これはどのような根拠に基づいての分析なのでしょうか?
アメリカ政府が公表している経済データがありまして、そのデータのある数字とある数字を足し算、あるいは引き算する事によって実は見えてくるんです。私は普段、数百~数万あるデータを分析する中で、とにかく重要なデータのみを抽出するようにしておりまして、今回の本の中ではそれを図として表してみたページもあります。
鬼頭: グラフがすごく見やすいですよね。これを見ると、「確かにそう言われれば5合目かもしれない……」と思えてきます。きちんとした裏付けもあって。
私の本の特徴は、グラフと図表を使うことによって「直感的」に予測結果が分かる点です。ただしその裏側には、私が様々な経済データを30年近く分析して蓄積してきたものであったり、分析のプロセスについては、慶應義塾大学や、カリフォルニア大学大学院で習得した技術などが盛り込まれています。なので、背景には専門性があるんですけど、内容自体は極力分かりやすくお伝え出来るように心がけていますね。