『「稼げる男」と「稼げない男」の健康マネジメント』
「太っていたばかりに…」ビジネスチャンスを逃してしまった
矢島: 水野さんはいつ頃からこの本に載っているような「健康マネジメント」に取り組み始めたのでしょうか?
最初に健康マネジメントに取り組み始めたのは30代前半の頃ですね。当時は高級な日本食レストランを立ち上げに香港に赴任していたんですけど、慣れない環境のせいかストレスで10kgくらい太ってしまったんです。体調も崩しやすくなっていました。
矢島: 環境が変わった時に結構ありがちな事ですよね。
立ち上げたばかりのレストランだったので、いろんなホテルのコンシェルジュに「世界のVIPのお客さんを紹介してください!」って営業に回っていたんです。そしたらある日、インターコンチネンタルホテル香港のVIPを担当しているコンシェルジュの方が、疲れきった私を見て、「自分の健康すらマネジメント出来ていない人が、高いレベルのサービスをマネジメント出来るはずがない」と言ったんです。
矢島: 厳しい!けどたしかに一理ある……。
続けて「まずは自分の健康マネジメントをしてから、もう一度出直してきてください」って言われてしまったんですよ。健康マネジメントをしていないと、海外ではビジネスチャンスを逃す事もあるんだと痛感させられた体験でしたね。
矢島: アメリカでは太っている人=自己管理が出来ていない人というレッテル貼られる事がある、なんて話を聞いたことはありますけど、実際にそれを面と向かって言われたという話は初めて聞きました。
「気合でなんとか」は通用しない時代に
矢島: ただのダイエット本ではない事はタイトルからも分かるのですが、「健康」と「稼げる・稼げない」の関係について、この本では健康になるための目的や理由をどのように設定しているんですか?
本書において健康になるための目的は1つで、「高い仕事の成果をあげる」という事なんです。
矢島: 仕事で成果を出すためにまずは健康から、というお話なんですね。
そうですね。まず、仕事で成果を出すには「心・技・体」という3つの要素が必要だと思うんです。日本のサラリーマンの多くは「心・技」、つまりモチベーションやビジネススキルなどは高い水準にあると思うんですけど、健康を犠牲にして仕事をしてしまう傾向があるんです。土台にあたる「体」が不安定だと、結局仕事のパフォーマンスも落ちてしまうんですよね。結果として、お客さんや同僚にも迷惑を掛けて、「稼げる男」にはなれないという循環に陥ってしまいます。なので、「体」を底上げして「稼ぎ続ける事が出来る男」になりましょう、という提案をしたかったんです。
矢島: なるほど。1年に1回風邪をひくとか、1年に2回風邪をひいていたら、その風邪をひいた日は自分でコントロールできない訳ですから、もし重要な商談の日に風邪をひいたら大変な事になってしまいますもんね。
おっしゃる通りだと思います。
矢島: でも、「根性でなんとかしよう!」という考えの日本人はまだまだ多くいそうですね。
確かに気合と根性で何とかなっていた時代はあったんですけど、先ほどの私の香港でのエピソードからも分かるように、グローバルなステージで戦わなければならないこのご時世では、そうはいかなくなってきていると思います。
矢島: なるほど、今の時代に沿った「健康マネジメント」の重要性を教えてくれる本なんですね。
健康戦略として抑えるべき「四つ角」
矢島: 水野さんは本書で「4つの健康戦略」として、食事・睡眠・運動・ストレスケアを挙げた後、この4つすべてを底上げする必要があると述べられていますね。どれか1つではなくて、4つを同時に改善していく必要があるんですか?
「習慣をつける」と言う意味ではステップバイステップで、1つ1つ取り組みやすいところから、身に付けていってほしいなと思います。ただ、覚えておいていただきたい事があって、この4つの分野はオセロで例えるならば、四つ角を取るようなものなんですね。
矢島: かなり重要ですね!なるほど。
なので、食事だけしっかり摂っていても、睡眠の質が悪かったり、運動を全くしてなかったり、ストレスが溜まりまくっている状態、つまり1つしか角をとっていない状態で、果たしてゲームに勝てるのか、という話なんですよ。
矢島: 僕の経験上、オセロで四つ角のうち3つを取られたら負けますね(笑)。2つでやっといい勝負になります。
そうですよね。ですから、健康状態を仕事のパフォーマンスや成果に結び付けていくためには、食事・睡眠・運動・ストレスケアの四つ角を抑えてしまった方が早いんですよ。
矢島: たしかに……。その方が効率も良いという事なんですね。