“5万円”購入ではじめる「副業」不動産投資
著者:脇田 雄太
出版:ごま書房新社
価格:1,760円(税込)
著者:脇田 雄太
出版:ごま書房新社
価格:1,760円(税込)
上がらない給料に心もとない年金。コロナ禍のテレワークによって浮彫となった人員見直し。
日本人、とりわけサラリーマンの働き方やお金周りの事情は厳しくなるばかりとあって、副業の必要性を感じている人は増えている。
政府の働き方改革やコロナ禍におけるテレワークの普及、また差し迫った人件費削減などの理由で副業解禁をはじめる大手企業も多い。アサヒグループホールディングス、日産自動車、丸紅などの老舗企業から、ヤフー、ソフトバンクのIT企業までここ数年でその傾向に拍車がかかる。
副業には様々な選択があるが、忙しいサラリーマンからは投資分野に注目が集まっている。株式投資や外為取引、投資信託、最近ではNISAやiDeCoなどさまざまな投資があるなかで、昔から根強い人気があるのが不動産投資である。
ただ、ローンがあるとはいえまとまったお金が必要な不動産投資は、「そこそこの小金持ちがやるもの」というイメージも強い。さして収入が多くない普通の勤め人が不動産投資を始めるには、どこに目をつければいいのか?
『“5万円”購入ではじめる「副業」不動産投資』(脇田雄太/著、ごま書房新社/刊)は、その答えとして一つの方向性を示す。それは「中古の戸建て」である。
ボロ戸建て投資とは、その名の通り、ボロボロの中古戸建てを主に地価の低い地方部において“超”が付くほどの低価格で取得し、物件ごとに必要なレベルのリフォームを行った上で、入居者付けを行う不動産投資の手法です。(『“5万円”購入ではじめる「副業」不動産投資』P44より)
■5万円で買えるボロ戸建てに家賃5万円で借り手がつく仕組み
脇田: 不動産投資の世界に入ったのは、リフォームが好きだったからです。20代後半の頃に自宅を建てたのですが、その時に設備品を選んだり、クロスの柄を選んだりするのが楽しくて、そこからリフォームが趣味になっていました。
それでフルローンでお金を借りて、鉄筋コンクリートで築13年くらいの、17世帯入れる大きめのファミリー向け物件を買って、リフォームして人に貸すところから入りました。それこそ1棟1億円くらいの買い物です。でも言い換えれば1億円借金をするということなので、怖かったんです。月のローンの返済額が43万円ですから。
脇田: 幸い借り手はついて、家賃収入として月に100万円くらい入ってきていたので、問題ないといえば問題ないのですが、やはり35年近く月43万円返さないといけないのは重荷でした。その間に何かのきっかけで返済ができなくなるかもしれないじゃないですか。
でも、周囲の不動産投資をしている人を見ると、みんな競うように借金をするんですよね。物件情報が出ると、現地に行って見てもいないのにローンを組んで買い付けたりするんですよ。1億、2億の物件を。
脇田: おっしゃるとおりで、彼らと同じことをしていたらいつか人生がおかしくなると思ったんです。それが2008年くらい。
初めて買った物件で好きなリフォームができて楽しかったのですが、今度は借金が怖くなってしまった。でもリフォームはしたい、と(笑)。どうしようか、となった時に、地方の古い戸建てだったらすごく安く買えることに気づいたんです。ローンを組まずに現物で物件が手に入るということで、やってみることにしました。
脇田: そうです。クロスを選んだりするのが楽しくてこの世界に入りました。
脇田: もちろんあります。僕は大阪の人間で、東京にもいたことがあるので、「福岡ですら賃貸物件はダブついているのに、長崎に需要あるの?」と思っていたのですが、実際はすごくあるんですよ。長崎市内の中心地の話ですが。
脇田: 長崎って「平地」が少ない土地なんです。中心地でも少し歩くと「階段立地」といって、階段の上に家があるような場所がたくさんあります。当然、車は入れません。
長崎の方はそういう土地に慣れているので、住むぶんには抵抗なく住まれるのですが、一方でそういう土地って安いんですよ。長崎市内でも、それこそ土地と戸建ての家で50万円とか。
脇田: ボロボロです。タダでもいいからもらってほしいという人がいるくらいなので。だいたい0円から300万円くらいまでの間に収まるのですが、総じてボロボロですね。ボロボロ度合いが低いものは300万円や200万円で、ものすごくボロボロだと0円とか5万円です。
脇田: はい。昔『劇的ビフォーアフター』というテレビ番組がありましたよね。あれを見ているとほとんど「建て替え」というレベルで手を入れていますが、古い柱は残していたりするので、日本の法律でいえば「リフォーム」なんです。だから人が住める状態になるようにリフォームすることは可能です。
ただ、基礎とか柱などはいじらないで済むに越したことはないので、ボロボロななかでもしっかりしたものを見極めて買うのが大切です。
脇田: いえ、これは5万円で物件を買って始める、という5万円ですね。
脇田: 意外とちゃんとしていますよ。物件にもよりますが、床と天井、水回りをきれいにすれば女性も違和感なく住めると思います。
脇田: 予算にもよりますが、古い家屋だと和式トイレだったりするので、洋式に替えます。汲み取り式だったら、市の下水道につないで水洗にしますね。
目に見えるところをきれいにするのはもちろんですが、私は見えない部分もきれいにするようにしています。たとえば、電気コンセントの表面のプレートだけつけ替えてきれいにしたように装う人もいるのですが、私は中の配線も新しいものに替えますし、ブレーカーや近くの電柱からの引き込み線も替えます。「ボロ物件投資」と銘打っていますし、5万円で物件を買っているのですが、電気や上水道、下水道は新築同然にしています。
最初の頃は私もできるだけ安くリフォームしようとして、表面だけ直していたのですが、そうすると入居者が入ってからクレームが来て、追加工事が必要になったりするケースがあるんですよ。そうなると想定した利回りを維持できませんし、人が住み始めてからの工事は割高になります。それなら最初にきちんとやっておいた方がいいと気づいて、5年ほど前から、リフォームの時に見えない部分もきれいにしています。
脇田: 最初に多少お金がかかっても、しっかり工事しておいた方が長期的には得だとは思いますね。
脇田: そうですね。ただ、最初にお伝えしたいのは、家賃が高くても安くても立地さえきちんと選べば、入居者は見つかるということです。そのうえで、お金をかけてしっかりリフォームした物件には、少々家賃が高くても入居者がつきます。
■5万円の物件で高利回りを実現「ボロ物件投資」の難易度
脇田: 参入障壁は低いですが、やはり難しさはあると思いますね。おっしゃるようにお金がなくても参入できますし、やろうと思えばやれるのですが、根気がいりますし、コミュニケーション能力もある程度必要です。一つ一つの作業は難しくないのですが、それを地道に積み上げられるかどうかが成功できるかどうかを分けると考えています。
脇田: それもあります。ただ、その次の段階で、買った物件をリフォームするところでも根気は必要です。
こちらの思惑は「いい工事を安く」ですが、不動産会社やリフォーム会社に丸投げすると高くつくんですよ。じゃあどうするかというと、リフォーム会社が使っている職人さん一人一人と知り合って、職人さんの電話番号が自分の携帯にたくさん入っていて、直接連絡して発注できるようになると、リフォーム費用は不動産会社経由で頼んだリフォーム会社にやってもらうのと比べると半額から3分の1くらいになります。
これは仲介業者と親しくなるところからつながっていて、まず物件をネットで探して、良さそうなところがあったら現地に行って仲介業者に案内してもらう。そこで買うかどうかはどちらでもよくて、仲介業者の方と名刺交換して知り合いになることが大切です。物件を買わなかったからサヨナラではなくて、食事に誘ったりしてある程度親しくなると、リフォーム業者も紹介してもらえるようになります。
「不動産仲介業者の人」としてではなくて「個人的に頼まれているんだな」と思わせるくらいの関係性にならないといけないわけで、かなり根気が必要ですが、こうなると強い。
脇田: だいたい5万円プラスマイナス1割くらいです。4万5000円から5万5000円の間にだいたい収まると思います。
脇田: 階段立地があったとしても、他に平地がたくさんあるような場所だったら人はそちらに住むので、あまり賃貸需要は見込めません。賃貸需要がある階段立地というのは、国内では長崎しか私は知らないです。
私が長崎に目をつけたのは、本当に平地がなくて、階段立地を開発するしかないからです。 長崎市の人が住んでいる面積の8割くらいが階段立地だと言われています。だから、平地に分譲マンションができたりすると、そのマンションは福岡より高い。だから普通の人はなかなか住めません。長崎でマンションに住んでいるというと「お金持ちだね」となる。そのくらい平地が貴重なんです。
そして「5万円で戸建てが買えるんだから、家賃で月5万円払わずに自分で買おう」という人もあまりいません。普通の人はそういう家を直して住むという発想がないんです。私が長崎に目をつけたのはそれも理由です。
脇田: 失敗している人のほとんどは、お金をかけすぎて失敗しています。物件を高く買いすぎたり、高いリフォーム業者に発注したり、しなくてもいい工事をしてしまったり、ということです。
不動産投資の問題って、ほとんどお金で解決できるんですよ。建物が古いのも、地盤沈下しているのも、白アリがいるのも、基本的にはお金で解決できます。でも、お金をかけすぎてしまったことについてはお金で解決できないんです。
脇田: リフォームでいうと、人に貸す事業で行うリフォーム工事と、自分が住む家のリフォーム工事を分けて考えられない人が多い印象です。私からすると、たとえばフローリング材を選ぶとして、ご入居者さんのお引越し当日からもう床材は傷みはじめるわけですから賃料に影響を与えづらい高級品をわざわざ使わなくてもB級品C級品で十分だと思うんです。どこかの大きなマンションの新築時に特注したけど余ったものがネットで流通しています。そういうものを使っても十分きれいですよ。でも、中にはわざわざ桜の木をフローリング材に使ったりする人もいます。自分が住む物件と人に貸す物件を分けて考えられないと失敗しやすいですね。
脇田: 立地で決まらないこともあると思いますが、立地は多少悪くても価格を下げれば人は入ります。ということは価格設定がまちがっているんです。立地やリフォームの程度、広さなど物件の価値に対して家賃が高ければ入らないし、安ければ決まります。
脇田: 副業としてやりやすいとは思います。不動産は確かに手間ひまかかるのですが、会社員のように月曜日から金曜日まで9時から17時まで忙しいということはありません。不動産投資をする時に忙しいのって入居者が決まるまでです。そこからは管理会社に任せてしまえるので、会社勤めをしている方の副業としてやりやすいと思います。
脇田: いかに軍資金を作るかが大切です。僕自身もすごく大変だったのですが、最初は節約したり副業したりして、お金を貯めることに専念してほしいと思います。
たとえ5万円の物件を買うのでも、物件を見に現地に足を運んだり業者と関係を作ったり、リフォームで仕上げたりするのも含めると、最初の物件には500万円から600万円はかかると思います。ただ、その金額にひるむ必要はありません。
なぜかというと、5万円で物件を買って、そこから何年かかけてリフォームのお金を貯めたっていいわけですし、リフォームも業者に頼まずDIYで少しずつ修理する方法もあるわけです。月5万円の家賃をいただこうとするとリフォームにたくさんお金をかけないといけませんが、家賃2万5000円でよければそこまでお金をかけなくても借り手はつきます。
色々とやりようはあります。まず第一歩を踏み出してみると色んな知識が入ってきますから、2軒目、3軒目はもっと楽になる。だからまずはお金を貯めて一歩目を踏み出してみていただきたいですね。
(新刊JP編集部)
脇田 雄太(わきた・ゆうた)
元サラリーマン大家、現在はボロ戸建て専業大家。脇田雄太事務所代表。1977年生まれ。大阪府出身。立命館大学政策科学部卒。在学中、通商産業省(現:経済産業省)、日本アイ・ビー・エム株式会社にてインターン後、新卒でリクルートグループ入社。在職中の2007年、大阪府下に中古マンション1棟を購入したのを皮切りに、合計7棟32室の投資用物件を取得しセミリタイア、専業大家となる。
2009年に「脇田雄太事務所」代表として起業、大阪・長崎を拠点に活動中。投資規模としてはボロ戸建てを中心に、合計100室超の投資用物件を取得、家賃年収は4800万円を超えている。『日経マネー』『エコノミスト』などビジネス誌へのコメント実績多数、セミナー講師としても、全国賃貸住宅新聞社をはじめ多くのセミナーに招かれるなど人気を博している。著書に『“5万円”以下の「ボロ戸建て」で、今すぐはじめる不動産投資!』『リスクと闘う不動産投資!』(共にごま書房新社)ほか累計14作。
●脇田雄太事務所公式ホームページ
http://wakita.in
●脇田雄太のコラム
(国内最大級・不動産投資と収益物件の情報サイト『健美家』にて)
http://www.kenbiya.com/column/wakita
著者:脇田 雄太
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