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やらない決意

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解説

朝イチのメールチェックはしない
成功者が“やる決意”より“やらない決意”を優先する理由

上司や同僚から評価されたい。
ちょっとした見栄も手伝って、「ムリめな目標」を立ててしまったことはありませんか。

でも、いざ実行に移してみたら、次から次に他の「やるべきこと」が発生。結果、手がまわらなくなり、目標は達成できずじまい、というのはよくある話です。

こんなことを繰り返していたら、周囲からの評価は下がるいっぽう。であれば、発想を変えて、「何をやめるか」を決めるほうが得策です。

人が行動を起こすときに必要なのは意志エネルギー

やらない決意』(井口晃著、サンマーク出版刊)によれば、人が何かの行動を起こす原動力になるのは「意志エネルギー」。しかし、これは有限であり、何かを考えたり決断するたびに減っていくもの。

だからこそ、成果を出したいのなら、ムダなことは「やらない」と決め、本当に大事なことだけに意志エネルギーを集中させるのが望ましいのです。

では、そのムダなこととは、どのようなものなのでしょうか。

朝イチでメールやSNSをチェックしない

意志エネルギーを有効活用するために、意識すべきことの一つが時間の使い方。
その意味で、午前中にメールやSNSのチェックすることはよろしくありません。それらの情報に触れることで、感情を揺さぶられてしまうからです。

感情が揺さぶられるなかで、無意識のうちに「あの人がやっている●●は面白そうだから自分も真似してみようか」「この人に先を越されるのは悔しいから対抗してみようか」といったことを延々と考えてしまい、その結果、意志エネルギーを浪費してしまうというわけです。

距離を置きたい人にはメールの返信を遅らせる

もう一つ、意思エネルギーを著しく消耗させてしまうのが、嫌いな人や気の合わない人と一緒にいること。

とはいえ仕事であれば、「切りたくても切れない」関係は付きものです。親しくするメリットがなくても、生理的にムリな人でも、ストレートに「あなたとお付き合いしたくありません」と伝えるわけにはいきません。

そこで井口さんが推奨するのは、メールの返信をわざと遅くするというもの。通常、24時間以内に返すところを、3日ほど空けて返信するのです。そうすることで、遠まわしに相手のことが苦手な気持ちを伝えることができ、距離を置きやすくなるからです。

親しくなりたい人とは名刺交換をしない

これまで当たり前だと思っていた常識を疑ってみる。これも日常のなかに潜むムダを見つけるために欠かせない姿勢です。

井口さんが「これはムダ」と言い切るのが名刺交換。 その理由として、名刺を交換しただけで人脈が広がったように錯覚してしまうこと、そして何より名刺の管理が面倒なことを挙げています。

よって井口さんは基本、名刺を使いません。

このことのメリットは、名刺交換まわりの様々な面倒を避けられることだけではありません。「親しくなりたい!」と思う人と出会ったとき、「名刺がない」という言い訳があるために、自然な形で携帯電話の番号やfacebookのアカウント名なりを聞け、結果、距離を縮めやすくなるのだそうです。

ほんの少しの勇気さえあれば、何かをやめるのは、何かを始めるのにくらべて、難しくありません。本書で推奨されている数々の「やめるべきこと」を参考に、一度、日常生活のムダを総点検してみてはいかがでしょうか。

(新刊JP編集部)

インタビュー

嫌いな人と一緒にいるほど成功が遠のく?「ガマンすると不幸になること」の見極め方

以前、上司から「お前はどんな仕事がしたいんだ?」といわれ、答えに窮したことがある。

あまりにストレートな問いに面食らったというのもあるが、それ以上に、そもそも「自分がしたいこと」が全く分かっていなかったということが大きかったように思う。

そして今にして思えば、「では逆に何が“したくないんだろう”?」と考えることができれば、上司の問いに少しは答えられたような気もする。

やらない決意』(サンマーク出版刊)の著者である井口晃さんは、まさに上記のような自問自答を経て、「自分が送りたい人生」を手に入れた一人。そこで今回は、なぜ「やらないこと」を決めることが重要なのかについて話をうかがった。

なぜ「やること」よりも「やらないこと」を決めるべきか

――本書では、幸せや成功を手に入れるため、「やること」ではなく「やらないこと」を決めることが重要だと書かれています。まずは、このように書かれた理由を教えていただけますか。

井口晃さん写真

井口:いま巷には「夢を持つことが大事」「目標を設定しよう」といった類のメッセージが溢れています。

でもいきなり、やりたいことや目標を見つけなさいといわれても、なかなか難しい。逆に「面倒くさいと思っていること」とか「本当はやりたくないこと」なら、比較的簡単に見つかるものです。

そしてやらないことを決め、一つひとつ実行することで、一日の持ち時間は確実に増えます。増えた持ち時間を使って少しずつ「自分はどんな人生を送りたいんだろう」と考えていけば、無理なく「自分が本当にやりたいこと」を見つけられる。

こうして見つけた目標や夢は本物です。達成できる可能性も、達成したときの満足度も高いでしょう。こうした理由から、私は「やらないこと」を決めましょうと言っているのです。

――やらないことを決めることで持ち時間が増えるという話は腑に落ちます。個人的には、せわしなく「あれも、これも」と動き回っても、後から振り返ると「何も残らなかった…」と思うことが少なくありません。

井口:私は普段、セミナー講師をすることもあるのですが、そこに来てくださる独立・副業志向を持った方々を見ていて、あることに気づいたんです。

多くの方は今の仕事をすぐに辞めるのではなく、平日の空き時間や週末などを使って、ご自身のやりたいことを始められます。その意味で、「持ち時間」という条件は皆、ほぼ同じです。それに、体力的にもそこまでの差はありません。何より、私も含めて人というのは往々にして怠け者です。

このようにしてみると、与えられた条件というのはさして変わりません。にもかかわらず、しばらく経つと7、8割の方は「時間が足りない」と言い出しプロジェクトが行き詰ってしまう。一方で残りの2、3割の方は淡々とプロジェクトを進めていく。

この違いはどこから来るのか。その2、3割の人たちの継続力の源泉に「意志エネルギー」が関係しているのではと思うようになったんです。

自分で自分を変えるのは難しい

――意志エネルギーとは何ですか。

井口:たとえていうなら、人を動かすガソリンのようなものです。意志エネルギーさえ満タンなら、身体が疲れていようがいまいが、人はやるべきことを必ずやりとげられる。ただしその総量は有限で、考えごとをしたり決断するたびに減っていきます。

――「ガソリン」ということは補給も可能ですか。

井口:可能です。夜、リラックスして充分な量の睡眠をとることさえできていれば、朝、目覚めたときには満タンになっています。

ちなみに、大きな決断を迫られたり、創造性が求められることは、そうでないものにくらべ多くの意志エネルギーを使います。

したがって、まだ残量がたっぷりある午前中のうちに、こうした種類の仕事をすませるのが理想的。この状態こそが「本来やるべきこと」に集中的に取り組めている状態だからです。

――量が限られているからには、それをどう割り振るかということ以外に、意志エネルギーを浪費しないための工夫も重要になってきますね。

井口:そのとおりです。たとえば、人は「嫌いな人」や「合わない人」と一緒にいると著しく意志エネルギーを消耗します。

嫌いな人、合わない人というのは往々にして、否定的なことを言ってくるもの。するといわれた側は、「私はダメな人間なのか?」「この提案は検討にも値しないのか?」といった具合に自問自答を重ねることになる。

こうした自問自答こそが、エネルギーを大きく浪費させます。ですから、嫌いな人や合わない人との関係は思い切って断ってしまったほうがいいでしょう。

――なるほど。ただ、今の話のように自分が不快だと思っていることなら抵抗なく断てるかもしれませんが、これまで良かれと思って続けてきた習慣や人間関係の場合、断つことにストレスを感じる人も少なからずいると思います。そんな人には何とアドバイスされますか。

井口:「とにかく環境を変えたほうがいい」と伝えますね。実は、本書の裏メッセージとして、「自分で自分を変えるのは難しい」というものがあります。

先ほど「人は皆、怠け者」という話をしました。自戒も込めていうと、人は「自分との約束」を簡単に破ってしまいがちですが、「他人との約束」は「守らなきゃ」という気持ちが強く働きます。

これは私自身、筋金入りの自己啓発マニアで、学生時代に初めてこのジャンルに出会って以来、何百もの関連書を読み漁り、数々のセミナーにも参加してきた実感として、そう思います。

そこで、誰かと一緒に何かを始めることで自分を変えていく。ジムへ行くでも、読書会に参加するでも何でもいいのですが、とにかく新たな環境に飛び込むことから始めるのがいいと思います。

パフォーマンスを最大限引き出すためのルーティンの作り方

スポーツの世界において、ルーティンを重視する選手は多い。
ラグビー日本代表の五郎丸選手による「五郎丸ポーズ」は記憶に新しいところだ。

アスリートたちがルーティンを重視する理由は言うまでもなく、平常心を保ち、パフォーマンスを良くするため。そう考えると、何かとストレスの多く平常心を乱されがちなビジネスパーソンも、この考え方を多いに参考にしてもいいはずだ。

今回は、『やらない決意』(サンマーク出版刊)の著者である井口晃さんに、一般の人がルーティンを作る上での作法について話をうかがった。

意志エネルギーを温存するための秘訣とは

――本書では、「意志エネルギーを浪費しないためには、決断の回数を減らすことが大事。そのための手っ取り早い方法は、日々の『ルーティン』を決めること」と書かれていますね。

井口晃さん写真

井口: はい、日々の生活において「いつ、どこで、何をするか」をあらかじめ決めておくことが重要です。

朝のメニューをどうするか、何時に家を出るか、通勤電車のなかでどう過ごすか等、いちいち悩まなくてすむよう、具体的なルーティンを作っておくわけです。悩むことは意志エネルギーの浪費につながりますからね。

――井口さんの場合、たとえば朝起きてから仕事を始めるまでに、どんなルーティンを設けているのですか。

井口:朝は8時ごろ起きて、まず20分ほど瞑想をします。そうして心を落ち着けたら、レモン水を飲む。ここまでで8時半ぐらい。

その後、曜日によってはジムへ行って軽く運動し、ジムへ行かない曜日については、自宅でトランポリンをします。そうこうするうちに9時ぐらいになります。

これらの運動が終わったら、野菜ジュースなどのヘルシーな朝食をササッととる。ここまでで、だいたい9時半から10時くらいになっています。仕事に取り掛かるのはそれからですね。

――ちなみに、なぜトランポリンなのでしょう(笑)?

井口:一時期、リンパについて調べてみたことがあったのですが、どうやらリンパ液の流れを促進できる唯一のスポーツがトランポリンらしいのです。

リンパ液が流れれば、血液も循環するようになりますから、身体にいい。そういうわけで、取り入れるようになりました。

――話を戻すと、インタビュー前編では、「意志エネルギーがたっぷり残っている午前中のうちに創造的な仕事を」との話もありました。午前中、仕事を始めて以降、「やらないようにしている」のはどんなことですか。

井口:私にとっての創造的な仕事とは、文章を書くことです。したがって、午前中はもっぱら、本を書いたり、メールマガジンやフェイスブックのメッセージを書くことで時間を割きたい。

そこで、午前中は人と会わないようにしています。会議などの場面を想像していただければいいのですが、人と会ってコミュニケーションをとるのは、それだけでかなりの意志エネルギーを使うことになるからです。

ルーティンは「100点満点を目指さない」ほうがいい

――先ほど「ルーティン」の話をうかがって、ラグビー日本代表の五郎丸選手のことを思い出しました。五郎丸選手のルーティンは3年がかりで作り上げたそうですが、本書でいうルーティンは、どれくらいの期間をかければいいのでしょうか。

井口:1ヶ月を目安にすればいいと思います。私もだいたいそれぐらいで、ルーティンが固まっていきましたから。また、あわせてお伝えしたいのは、「80点でOK」ということです。

ルーティンと聞くと、今、話に出た「五郎丸ポーズ」などのように、かなりカッチリしたものを想像する方も多いかもしれません。しかし、私たちはアスリートではないわけですから、そこまで厳密に決める必要はありません。

私自身、ジムへ行く曜日や朝食メニューなど、いまだに微調整を繰り返しています。年をとり、体質や気質が変われば、それに伴って心地よく感じるものも変化するのが普通です。それに合わせてルーティンも変えていくというのが自然なのではないでしょうか。

――最後になりますが、読者の皆様へメッセージをお願いします。

井口:以前、MLBのイチロー選手が試合当日の朝は必ずカレーを食べるというのが話題になりましたよね。その影響からか、ルーティンを含め、何かをやる・やらないというマイルールを作ることに、どこか「孤高」なものを感じる方も多いかもしれません。

ですが、私が本書でいっているのは、「一人で黙々と……」というより、「誰かと楽しみながら」というスタイルを念頭にしています。

私はよく「同志を見つけてください」というお話をするのですが、共感できる価値観を持ち、良い影響を与え合える人と、より良い時間を過ごすためのきっかけとして、本書が役に立てたらうれしいです。

(新刊JP編集部)

書籍情報

目次

  1. 第1章 人生は「何をやらないか」で決まる

    1. ○目標を紙に書いても、もう成功しないのはなぜか?
    2. ○「穴の空いたペットボトル」になるな!
    3. ○たった半年でTOEIC300点台から900点台になった方法
    4. ○「マルチタスク」は今すぐやめなさい
  2. 第2章 時間に振り回されないために、やらないこと

    1. ○他人のスケジュールに沿って行動しない
    2. ○ランチやディナーで使う店は日によって変えない
    3. ○二次会には絶対に行かない
    4. ○「簡単なもの」「事務的なもの」から仕事をはじめない
  3. 第3章 人間関係で悩まないために、やらないこと

    1. ○仕事の悩みは、絶対に同僚に相談しない
    2. ○夫婦関係でわざわざエネルギーをムダにしない
    3. ○フェイスブックは友人からのリクエストを承認しない
    4. ○「コミュニケーション力」が低くても気にしない
  4. 第4章 お金に支配されないために、やらないこと

    1. ○貯金という最大の「ムダ遣い」に、もうとらわれない
    2. ○スーパーでお買い得品を探さない
    3. ○テーマパークで行列に並ばない
    4. ○人脈を「偶然の出会い」で広げようと考えない
  5. 第5章 常識に束縛されないために、やらないこと

    1. ○経営者ほど「日経新聞」は読まない
    2. ○毎朝テレビで天気予報や占いを見ない
    3. ○散歩やジョギングなどの運動はやらない

プロフィール

井口 晃

リッツコンサルティングPTE.LTD.代表取締役。
東京生まれ、ロサンゼルス在住。中学・高校時代にいじめられ、5回もの転校をくり返す。
「自分は生きている価値がないんじゃないか」と人生に絶望、家族・友人などの人間関係から逃げるために20歳でニューヨークに留学する。人生を変えるために自己啓発・心理学・ハイパフォーマンス学を学ぶものの、うつや自殺未遂を経験して逃げるように帰国。
その後、なんとか自力で英語セミナーを始めたことをきっかけに起業する。

「やらないこと」を明確にしてエネルギーを一点集中することの大切さに気づき、それを実践することで、ビジネスや投資で次々に成功を収める。セミナ―講師やコーチとして活躍の幅を拡げた後、近年では、日本だけでなく、アメリカ、台湾、シンガポール、南アフリカなど世界各地で、数千人規模のセミナーに登壇する「グローバルトップスピーカー」として、国内外で大きな注目を集めるようになる。

毎年、世界中で1万人以上の人を指導するかたわら、メルマガやフェイスブックなどを通じて15万人以上の人に、メッセージを届けている。

著書は『人生の9割は逃げていい。』(すばる舎)、『メンターが見つかれば人生は9割決まる! 』(かんき出版)など、累計20万部を超える。