BOOKREVIEW この本の書評

効率が上がらない、思ったような成果が出ないなど、誰にでもある仕事での「スランプ」。

その原因については自分に問題があることも、あるいは外的な何かがあることもあるはず。ただ、ありがちなの、やはり自分に問題があるケースだ。特に「頭の使い方」や「考え方」が、いつの間にか「仕事ができない人」のそれになってしまっていることがある。

以下は本書で、著者の西田芳明さんが明かしている、仕事の成果が出ないばかりか、自分の成長も妨げてしまう考え方。自分がこんな状態になっていないか、確かめてみてはどうか。

「くれくれ人間」になっていないか

極端にいえば「自分がよければいい」という状態。「自分はそんな人間ではない」と思っていても、知らずしらずのうちに「他人は後回し」な考えになってしまうことも多い。仕事で功を焦りすぎても、こうなりやすいはずだ。

「くれくれ」とばかりに自分の利益だけ欲しがる人は、西田さん曰く「自我にとらわれた人」。この状態になると、本当は自分の利益ばかり考えているくせに、それをとがめられると「これは他人のためにやったことだ」と言い訳することが多いという。

もちろん、これでは周囲からの信頼が得られるはずもない。気づかぬうちに自分もこうなっていないか、度々自省したいところだ。

指示の「背景」や「目的」考えない

多くの人は、上司や先輩からの「指示」によって仕事をしているが、指示の受け取り方は人によってそれぞれだ。

指示されたことの「内容」だけを把握する人もいれば、指示の「背景」や「目的」にまで思いをはせる人もいる。どんどん自分を成長させることができる人はもちろん後者だ。

前者が「言われたことだけをやる人間」であるのに対し、後者は仕事全体を俯瞰的に見る広い視野を獲得できるだろうからである。

当事者意識の範囲が狭すぎる

組織で仕事をする以上「守備範囲」はある。

この守備範囲とは、どこまでを「自分ごと」として捉えるかということである。あまり狭すぎて、自分の担当業務以外を「他人事」と捉えてしまうと、他人の失敗から学ぶことはできない。これもまた、成長をさまたげる考え方なのだ。

「今」しか見ない

西田さんによると、仕事で伸びない人ほど、月のノルマや売上など「目先の目標」ばかり見てしまうという。つまり、時間の捉え方が狭いのだ。

だから、部署全体や会社全体のことを気にする余裕がない。見えているのは直近の自分の目標だけ。これでは、やはり視野が狭いままになってしまう。

対して、伸びる人は仕事を一年で捉えるため、月のノルマに一喜一憂しない。ある月は達成できなくても、年間ではきっちりノルマを達成している。「力の抜きどころ」を心得ているため、周りを見渡す余裕があるのだ。

ここでは、知らずしらず陥ってしまう、ビジネスパーソンとして「ダメな考え方」を紹介したが、では自分を成長させ、仕事の成果をより大きく出していくためには、どんな考え方が必要なのか。ここで紹介した悪い考え方の逆をやればいい、ということになるが、それだけではない。

本書では、西田さんが、経営者としての長年の経験から導き出した、成果を出し続け、成長し続けるための考え方や頭の使い方が詳述されており、ビジネスで成功したい人、近頃仕事の結果が伴わず苦労している人にとって、現状を打破する助けになってくれるはずだ。

(新刊JP編集部)

BOOKINFO 書籍情報

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頭が勝手に働き出す思考法

定価 :
1,400円+税
著者 :
西田 芳明
出版社:
現代書林
ISBN :
477451652X
ISBN :
978-4774516523

著者プロフィール

西田Nishida芳明Yoshiaki
進和建設工業株式会社 代表取締役
1951年大阪府堺市生まれ。1987年4月に2代目進和建設工業代表取締役に就任。
「地域密着」で建設事業と資産コンサルティング事業を展開し、これまでに450棟以上の賃貸マンションなどを建築。現在でも入居率95%以上を維持するとともに、さらなるマンションの開発、技術の向上、低コスト化などにも力を注いでいる。
その一方で、自らの使命は「人づくり」にあると感得。経営理念を見直すなど、社員の価値観を高める教育にも積極的に取り組み、世の中に役立つ人づくりを目指している。さらに、その熱い想いは社内だけに留まらず、業界はもちろん、就活学生といった外部の人々を対象にするものへと進化している。
著書に、『トップは志(ひと)をつくりなさい』(現代書林)、『行列ができるマンション経営』(しののめ出版)、『土地活用の成功学』(クロスメディア・パブリッシング)がある。

この本の目次

  1. - 序 章 -
    頭の使い方を変えると人生が変わる
  2. - 第1章 -
    脳力を高める頭の使い方
  3. - 第2章 -
    生産性を高める頭の使い方
  4. - 第3章 -
    学びを成果に変える頭の使い方
  5. - 第4章 -
    人を育てる頭の使い方
  6. おわりに

INTERVIEW 著者インタビュー

――『頭が勝手に働き出す思考法 少ない努力で最大の成果を出す社長の頭の使い方』について。自社の社員の方に向けた本のようにも読めましたが、どんな人に読んでほしいとお考えですか。

著者・西田芳明氏の写真 著者・西田芳明氏

西田:創造力や発想力をもっとみがいてほしい、新しいビジネスモデルをつくってほしいと思ってこの本を書きました。年齢は関係なく、そういう立場の人に読んでほしいです。自分で仕事を組み立てる力をつけてほしい。

――部下の仕事の実力が伸びずに困っている上司は多くいます。部下の「頭の使い方」を変えるにはどのようなアプローチが必要になるのでしょうか。

西田:仮説を立てて行動して、その行動と仮説の間のギャップに気づくこと。そしてそこまで行ってから質問することです。今の子は考える前に人に聞いてしまいますが、これは感心しません。まず、自分で仮説を立ててみてほしい。

どんなことであれ、ある程度理解して仮説を立てられるくらいでないと、質問をするにしても効果的な質問はできないはずです。

――なかなか成長できない人の考え方の特徴をいくつか教えていただきたいです。

西田:マイナス思考。人のせいにする。具体的な目標が明確にない。何のためにやってるか意義目的が明確でない。自分中心に考えるから、自分に囚われて周りがみえない。当事者意識が持てない。相手の立場に立てない。こういったことだと思います。

――「ネガティブ体験を直視する」は大切なことだと思いました。「直視」の取り組みとして、頭のなかで反芻すると同時に、ノートに失敗の原因や改善策を書くといった取り組みも有効になるのでしょうか。

西田:有効的だと思います。ただ、そのときには問題だけでなく、課題も書かないといけません。問題を意識しながら、課題を書く方がいい。

仕事にアンカーをうつものは課題ですから、イメージすべきは、課題です。失敗を聞きながら、課題をどうやっていくか、というのをイメージしないといけません。。

――本書の中で「底打ち感」が行動の原動力だとされています。この「底打ち感」とはどのような感覚ですか?

西田:何か問題が起きるた時、それをたいがいは他人のせいにして、自分に刺しません。それを自分に刺す。自分を責めたらツラいからそうするわけですが、そこを自分の方に矢をぶつけて自分の問題として捉えないと、問題の解決も、今の状態に潜むリスクも考えられません。

これを踏まえて答えるなら「底打ち感」とは、自分をとことん追い込む、という感覚です。問題を味わう。問題を処理しない。問題から逃げない、ということです。

――アイデアが次々に浮かんでくる人には憧れます。こういう人になるためにはどうすればいいのでしょうか。

西田:「コミュニケーション能力、論理的思考力を鍛える」「フレームワークを考える(枠組み)」「参照データベースをいっぱい入れる」「経験体験をたくさんする」というところだと思います。

――学んだことを成果として出せる人と出せない人がいます。両者の違いはどんなところにあるのでしょうか。

西田:行動。即行動。スピード。仮説と検証の繰り返し。成果として出せない人は、仮説を立ててないケースが多いですね。

――物事への深い理解度を表す「メタわかる」ですが、自分の仕事をこのように自家薬籠中の物にするために、日々どのような取り組みが必要なのでしょうか。

西田:ピンとくる力をやしなうことです。具体的には、まず全体を決めて、それから全体から部分をみる。

一つの物事を視点を変えて何度も見るということでしょうね。高い位置から見たり近くからみたり。広げたり。そしてそれぞれの視点から見えたものを繋ぎ合わせるということも大事です。

――頭を鍛えるために、西田さんが日々やっているトレーニングがありましたら教えていただきたいです。

西田:何でも自分事化することです。他人の問題も、自分事として捉えて、自分ならどう解決しようとするかと、とことん考えます。新聞を読むときも、読むだけではなくて、自分事化して読むということを日々やっています。それと、人の話を聞く時は、どこに話の本質があるかを常に掴もうとする意識を持っています。

――西田さんは「仕事とは辛く苦しいものではなく、社会貢献をしながら自分の器すらも広げてくれる、とても尊いもの」と書かれていますが、仕事を辛いものとしか思えない人が多いのも事実です。今現在、このように仕事を捉えている人にアドバイスをいただきたいです。

著者・西田芳明氏の写真 著者・西田芳明氏

西田:そもそも、仕事や人生はツラいもんと思ってたらいいんです。自分が成長するために、いろんな問題が起きて当たり前と思ってたらいい。問題起きなかったら、成長もしないんですから。

仕事に対して志やビジョンを持てない人がいますが、そういう人はまずそれを見つけることです。人間、自分の使命や役割を持って生まれてくるのだと僕は思っています。夢や志となるものを、ぜひ見つけていただきたいですね。

(了)

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頭が勝手に働き出す思考法

定価 :
1,400円+税
著者 :
西田 芳明
出版社:
現代書林
ISBN :
477451652X
ISBN :
978-4774516523

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