データが導く「自ら学ぶ子」が必ずやっている共通の習慣
小学生30億件の学習データから導かれる 算数日本一のこども30人を生み出した究極の勉強法

小学生30億件の学習データから導かれる
算数日本一のこども30人を生み出した究極の勉強法

著者:今木 智隆
出版:文響社
価格:1,848円(税込)

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本書の解説

子どもの学力を伸ばしたい親や、子どもの学力が思うように伸びないことに悩む親は数多い。子どもの学力に悩む親はつい「うちの子は勉強が向いていないのかも…」と考えがちだがそんなことはない。

科学的に正しい方法で勉強すれば、子どもの成績は飛躍的に向上します。

そう語るのは『小学生30億件の学習データから導かれる 算数日本一のこども30人を生み出した究極の勉強法』(文響社刊)の著者・今木智隆さんだ。

遅くまで勉強をがんばるわが子を親はほめるべきか

今木さんが代表取締役をつとめるRISUはオンライン教育事業を通じて全世界の小学生から30億件を超える情報を収集。本書ではこれらのデータを解析してわかった、子どもの成績を大きくアップさせる学習メソッドや子どもへの親の接し方を解説していく。

たとえば、夜遅くまで勉強をがんばっているわが子への接し方。
「えらい!」とほめるのと、「早く寝なさい!」としかるのとでは、どちらが子どもの学力は伸びるだろうか?

正解は、「早く寝なさい!」と叱ること。がんばっている子どもを叱るのは気が引けるものだが、夜遅くの学習は子どもの成績アップにあまり寄与しないばかりか、人生全体を考えるとマイナスも大きいのが実情なのだそう。本書では、これが習慣になっているようなら、早いうちに叱ってでもやめさせた方がいい、としている。

朝、起きてから親がご飯を用意している隙間の時間にRISUで学んでいる朝型の子どもと、夜20時以降に学んでいる夜型の子ども。それぞれの「学習スピード」と「継続時間」を比較すると、夜型の子どもは朝型の子どもよりも学習スピードでマイナス27%、「継続時間」に至ってはマイナス52%とスコアが大幅に落ちていたのです。(P22より)

どうせ学ぶなら効率のいい時間にやった方がいい。学ぶためのゴールデンタイムは朝なのだ。

算数で80点をとったわが子への親の接し方

論理的思考力をはぐくむ礎になるのが小学校の「算数」。親としても子どもの算数の成績は他の教科と比べても気になるものかもしれない。

では、小学三年生のわが子が算数のテストで80点をとった時、親として次のどちらの接し方がいいのだろうか。

A「いい点だね!」と家でほめる
B「80点ではだめ」ということで即座に対策

「ほめて伸ばそう」という最近の風潮からするとAのように思えるが、子どもの学力を考えるなら正解はBなのだそう。

というのも3年生のテストで極端に難しい問題はそうそう出題されない。きちんと計算ができて、最低限の式が立てられて、最低限の図形がわかっていて、検算の習慣さえあればほぼ満点がとれるのが3年生の算数なのだ。

そしてこの学年の算数には高学年になってからのカリキュラムで必要になる基礎が詰まっている。ここでの80点に満足して、「残り20点」をおろそかにしたら、そのつけは高学年以降にまわってくる。

ほめるのは大切なことだが、ほめるだけはダメ。どんな結果であれ点数に一喜一憂せずに、理解できていないところを潰すくせをつけるのも親の役目だろう。



学ぶことが好きになれば学力は上がり、成績もよくなるのは真実だが、成績が上がることで学ぶことが好きになるのもまた真実。本書を参考に自分の子どもとの向き合い方をチェックして、子どもが伸びる方向に接し方を修正してみてはいかがだろう。

(新刊JP編集部)

インタビュー

■勉強ができる子には共通点がある!30億件のデータから見えた真実

『小学生30億件の学習データから導かれる 算数日本一のこども30人を生み出した究極の勉強法』は「子どもの学力を伸ばす」をテーマにした本が溢れるなかで、膨大なデータをもとに正しい勉強法や、正しい親の接し方を解説していきます。この本を通じて今木さんが伝えたかったのはどんなことでしょうか。

今木: 世間には教育にまつわる俗説が溢れていて、親御さんとしては自分の子どもに苦労させたくないと、試行錯誤しているでしょう。ただ、小学校でも6年間しかないわけですから、子どもの時間は短い。貴重な時間で試行錯誤をしている時間はありません。データに基づいた正しい学習法で最短ルートを辿って欲しいと考えています。

特に算数は「積み上げ式」の教科ですから、一度つまずいてしまうとその先もできなくなってしまうケースが多いんです。一方で苦手な子どもが多い教科である反面、得意なら効率よく勉強ができる教科でもある。たとえば2桁の筆算ができれば、3桁の筆算も同じ要領じゃないですか。3桁の筆算にも同じ時間をかけずにどんどん先に進めていけばいいです。すべてを同じ時間かけて均等にやる必要はないわけですから。

そうやって効率よく勉強していけば、算数に費やしていた時間を余らせて子どものうちにしかできない貴重な体験をする時間に充てることもできるはずです。

30億件もの膨大なデータをもとにして書かれている本書ですが、このデータはどのように収集されたものなのでしょうか。

今木: 今回の本は弊社が提供している算数タブレット教材「RISU算数」の現在までの利用者が取り組んだ学習データをもとにしています。

いつどのくらいの時間学習したか、どこで何度間違っているかといったお子さまの学習状況を常時把握しているだけでなく、蓄積もしています。

教育内容としては日本の子ども向けにも海外の子ども向けにも同じものを提供しているんですか?

今木: そうですね。使う言語が異なりますが、内容の方は多少の違いはあれど基本的には同じです。

日本の小学生と他の国の小学生で学び方に違いはあるのでしょうか。

今木: 算数でいえば、アメリカやシンガポールでは「□+1=2」や、「答えが2になる組み合わせを探す」というような学び方が多いのですが、日本ではひたすら「1+1=□」という形の出題で解を出す訓練を繰り返す傾向があり、「計算が早くできることが良いこと」という思い込みがあります。

算数は図形もあれば文章題もあります。計算を特に重視するのは、サッカーでパスやドリブルなど身につけるべきことが他にもあるなかでリフティングだけ練習させるようなものです。「RISU」では計算以外にも様々な問題があり、それこそ先ほどのような、□+1=2といったような問題も出題しています。

学び方、というところで言うと、中国では過熱する教育事情に対して政府が2021年に「宿題、学習塾」を禁じました。日本の子どもも習い事をいくつも掛け持ちして、大人より忙しくしている子もいます。本でも書きましたが、これは決していいことではないと考えています。

日本の算数教育のお話が出ましたが、「こう変えるべき」という提案はありますか?

今木: 日本の教育がそう簡単に変わるとは考えていないので、特に提案はありません。時代が大きく変化しているのに、教育はいつまでも変わらないことへの問題意識が弊社の創業のきっかけの一つになっています。

わかる子もわからない子も同じ授業を受けるのが日本の教育の問題点の一つだと考えているので、「RISU」ではそれぞれの子どものペースで学習できるのはもちろん、わかる子は学年を超えてどんどん勉強を進められるようになっています。

勉強ができる子や、成績のいい子には生活習慣や学び方、親の接し方などに共通項があるものなのですか?

今木: あります。本でも紹介していますが、親が手を出しすぎない(=我慢ができる)で、子どもを尊重して自主性を伸ばすこと。子どもの勉強時間は意外と短時間であること、自分の力で乗り越える習慣があること、などです。

「手を出す」というのは具体的にどんなことを指すのですか?

今木: 子どもの勉強に関して「こうやってやるんだよ」とか「なんでできないの?」と過度に口出ししたりといったことです。親は状況を見守って「今はこういうところをやっている」とか「ここが苦手なんだな」ということだけ把握して、適切な声がけや励ましはしても、基本的にはあまり口は出さないというのが、成績がいい子の親に共通しています。

ゆっくり考える子もいますし、パパっと解ける子もいます。ゆっくり考えている途中にそうやって口出しされてしまうと、子どもが自分で考える力が伸びにくいのです。

考える過程で子どもの方から「ここがわからないから教えてほしい」と言われたら、親は教えてあげていいんですか?

今木: もちろんです。そういう子どもからの質問は逆に放置してはいけません。聞かれてもいないのに親の方から口を出すのは良くないということですね。

そして勉強時間は短時間で済ませる子が多い。

今木: データを見てみると、成績優秀なお子さんは時間帯としては朝の15分、20分くらいの時間で勉強していることが多いです。

勉強時間は長ければいいというものではありませんし、細切れの時間や隙間時間を活用することは大切なのですが、時間が5分あるから5分だけやろうというのはあまり効果がないというデータもあります。

また朝の時間の勉強が効率よい事もわかっています。子どもにとって睡眠は重要なものなので、早く寝て朝勉強する習慣をつけるといいと思います。

■宿題は悪しき伝統?その効果のほどは…

宿題の効能に疑問を呈されているのが印象的でした。宿題は復習であって「新しい学び」がなくても特に問題はないのではないかと考えていたのですが、宿題を廃止できるとしたら代わりにどんなことをするべきだとお考えですか?

今木: 小学生のうちは興味あることを調べ学んだりする時間や、読書の時間、身体を動かす時間も必要です。将来受験をするにしても基礎的な体力は必要です。努力してきても当日体調を崩せばそれで台無しになってしまうわけですから。

「宿題」はその日学校で学んだことの復習として有意義なのではないかと考えていました。今木さんが考える問題点はどんなところにあるのでしょうか。

今木: 授業で理解できて、問題も解けているのであれば、さらに家でまたやる必要はないと考えています。それなら自宅ではもっと先の内容を勉強した方がいいでしょう。

逆に授業でわからなかった場合も、理解していない以上宿題として家でやってもやっぱりわからないケースが多いんです。気持ち的にも乗らないですしね。だから本では宿題の効果に疑問を呈しています。

また、親が子どもにたくさんの習い事をさせることの問題点を指摘されていました。小学生の場合、学校が終わってから寝るまでの時間はせいぜい4、5時間ですから、学習塾を含めてあまり習い事が多いと、先ほどおっしゃっていたような「読書」や「調べ物」の時間がなくなってしまいますね。

今木: そうですね。習い事自体が悪いわけではなくて、1つか2つ子どもが本当に好きで興味を持っていることを習わせるのはいいと思います。ただ、多くても3つくらいが妥当なのではないでしょうか。

成績優秀者であったり東大生に聞くと、習い事はあまりやってなかったという人が多いです。やっていたとしても1つか2つとか。

子どもの学力を伸ばす点において一般的に「正しい」とされている方法で、今木さんが「実はまちがっている」と考えているものがありましたら教えていただければと思います。

今木: 最近多いのは「プログラミングを習ったりパズルで遊ぶと算数が得意になる」など「~~をすれば、〇〇が得意になる」というものです。

プログラミングを習うことはいいことだと思いますが、プログラミングを習ったらプログラミングが得意になるし、パズルをやっていたらパズルが得意になるだけで、算数は得意になりません。算数を得意にしたければ算数をやるしかないです。

最後に小学生の子どもをもつ保護者の皆さんにメッセージをいただければと思います。

今木: 子育てについて「これが良い」と言われるものを取り入れようと思うのは親心として当然のことと思います。ただ、本書にも書きましたが、世の中にはまちがった俗説もあふれているのが実情です。

よく「これをやったら自分の子どもは東大に受かりました」みたいな勉強法が紹介されていたりするじゃないですか。

ありますね。東大だったり海外の有名大学だったり。

今木: その子の努力はすばらしいですが、その勉強法自体はどんな人にも当てはまる「正解」ではなく、たまたまその親子にはまっただけだということはわかっておくべきだと思います。親はわが子をよく見て、その子に合った勉強法を採り入れてほしいです。本書がその一助になれば幸いです。

(新刊JP編集部)

書籍情報

目次

  1. はじめに
  2. 勉強が得意になる子はどっち?
  3. 算数が得意になる子はどっち?
  4. 算数トップ30人の家庭が実践する教育法
  5. あとがき

プロフィール

今木 智隆(いまき・ともたか)
今木 智隆(いまき・ともたか)

今木 智隆(いまき・ともたか)

RISU Japan株式会社代表取締役。京都大学大学院エネルギー科学研究科修了後、ユーザ行動調査・デジタルマーケティング領域専門特化型コンサルティングファームのビービット入社。金融・消費財・小売り流通領域クライアント等にコンサルティングサービスを提供し、2012年から同社国内コンサルティングサービス統括責任者に就任。2014年、RISU Japan株式会社を設立。タブレットを利用した小学生の算数の学習教材で、のべ30億件のデータを収集し、より学習効果の高いカリキュラムや指導法を考案。日本国内はもちろん、シリコンバレーでもハイレベル層から、算数やAIの基礎知識を学びたいと、アフタースクールなどからのオファーが殺到している。

小学生30億件の学習データから導かれる 算数日本一のこども30人を生み出した究極の勉強法

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算数日本一のこども30人を生み出した究極の勉強法

著者:今木 智隆
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