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死ぬまでボケない 1分間“脳活”法

アマゾンへのリンク『死ぬまでボケない 1分間“脳活”法』

死ぬまでボケない 1分間“脳活”法

  • 著者:
    帯津 良一、鳴海 周平
  • 出版:
    ワニブックス
  • 定価:
    880円+税
  • ISBN-10:
    4847061136
  • ISBN-13:
    978-4847061134
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解説

運動は「末端」を意識すると認知症予防になる!

足元 記事イメージ写真

自ら老人たることを知るものは少ない――。
これは、フランスの文筆家ラ・ロシュフコーの言葉だ。「まだまだ大丈夫」と思っていても、自分が気付かないうちにやってくるのが「老い」だ。

それとともに、いつの間にか認知症や認知症の予備軍になってしまっている、という人も少なくない。本人が健やかに暮らし続けるため、家族に苦労をかけないためにも、やはり認知症は予防したいところだ。

そんな認知症予防の対策法が書かれている一冊が『死ぬまでボケない 1分間“脳活”法』(帯津 良一、鳴海 周平著、ワニブックス刊)だ。

同著によれば、認知症を予防するために

  • ・からだを動かすこと
  • ・食生活に気をつけること
  • ・心にいつもときめきを持つこと

この3つのことを意識することが大切だという。
3つめの「ときめき」とは、新しい体験や変化、心穏やかな時間などが挙げられる。
これらを意識して生活の中に取り入れれば、脳が活性化し、認知症になりにくい「健脳」でいられるという。

この3つは、一見すると当たり前のことのようだが、その「当たり前のこと」を習慣づけるのが、実際にはなかなか難しい。
だが本書で紹介されている「健脳」になるための脳活法はそのどれもが1分で気軽にできる簡単なものばかりなので、習慣づけもしやすい。

本書は「運動」「食生活」「心がけ」の三つの項目に分けられ、全部で27のエクササイズが紹介されている。
たとえば、「運動」の項目には、

  • ・「朝、布団の中で手と顔をすり合わせる」
  • ・「ゆっくり8方向を見る」
  • ・「片足立ちをする」

といったものがある。
特に、手足や顔といった末端部分の運動は、脳を刺激するという。

「片足立ち」なら、体勢をキープしようとするため、三半規管や中枢神経も刺激するうえ、足の運動にもなる。しかもその効果は片足ずつ1日3回、両足で6分行うだけで、約50分のウォーキングに匹敵する運動負荷だというから驚きだ。

作家の五木寛之氏は、この運動を毎日、歯を磨きながらおこなっているという。
このように簡単なエクササイズを生活に取り込めば、習慣づけもしやすくなるだろう。

ちょっとした工夫で食事も「脳活」になる

納豆 記事イメージ写真

「食生活」も少し気をつけるだけで、効果的な脳活になる。

たとえば、大豆のイソフラボンが抗酸化作用を持っており、健康に良いのは広く知られている。
その大豆を発酵させた「納豆」をよく食べる人は多いだろう。

そこで、納豆を食べるときには「1分間、納豆を丁寧にかき混ぜてから食べる」ということをやってみるとよい。
ポイントは「丁寧にかき混ぜる」という部分だ。ゆっくり丁寧な動作には、自律神経のバランスを調える効果もあるので、こうして食べれば、身体にも脳にも良いというわけだ。
他にも、食生活での脳活法はたくさんある。

その中でも興味を惹かれたのは「目をつぶって味わう」という脳活法だ。

食事 記事イメージ写真

目をつぶって食べると、視覚を遮断しているぶん、いつもよりもたくさんの味覚を感じられるという。また、「これは何の触感だろう」「調味料は何を使っているのだろう」と想像することも刺激になる。
この両方が相まって脳のさまざまな部分が反応するので、効果的な脳活になるのだという。

生活リズムは保って、変化や新しい体験で脳を刺激する

植物 記事イメージ写真

認知症の予防には、「心」を調えることも非常に効果的であるという。

そこで押さえておきたいのは、「基本的に脳は新しい体験や変化を喜ぶが、毎日の生活のリズムだけはなるべく変えないほうがいい」ということだ。

ちゃんと朝に起きて、太陽光を浴びると、脳内物質のセロトニンが分泌されて心身の健康に良いとされる。
また、生活リズムを調えれば睡眠の質が上がる。アルツハイマー型認知症の原因物質として挙げられるアミロイドベータなどの有害物質は、質の良い睡眠で解消されると言われているようだ。

「起床と就寝を原点に、生活リズムを維持しつつ、新しい体験などを楽しむ」というのが、脳を健康に保つ秘訣なのだという。 日常で新しい体験をするのは難しいと思えるかもしれないが、意外に簡単な方法でできることがある。

それが「今日のコーディネートを考える」ことだ。
脳の発達と加齢のメカニズムを研究している東北大学脳科学センター教授の瀧靖之氏は、16万人以上の脳画像を見てきた。その結果、「身なりと脳の画像は一致する」ということがわかったという。
つまり、「オシャレな人は脳も若い」と言えるのだという。

「今日はオシャレをしよう」と思えば楽しくなるし、いつもと違う格好は変化になる。また、新しい服を買って着ることは「新しい体験」とも言えるだろう。

認知症予防のために何かをしよう、と考えると億劫になってしまうことも、脳活習慣を上手く生活に取り込めれば、自然と心身ともに健康でいられる。
本書で、「これならできそうかな?」ということから試して、楽しみながら「健脳」を目指せば、健やかな老後を、長く続けていけるだろう。

(ライター:大村 佑介)

インタビュー

これをしていると危険!? “脳に良くない”3つの生活習慣

鳴海周平さん写真

日本人の平均寿命は、男女ともに80歳を超え、世界でもトップランクの長寿国だ。
しかし、厚生労働省の調査では高齢者の約4人に1人が認知症、あるいは、その予備群ということになっている。

末永く人生を楽しむには、やはり心身ともに健康であることが望ましい。
特に、認知症やいわゆるボケと言われる症状を防ぐには、脳を健康に保つことが大切になってくる。
そんな、健康な脳――「健脳」で居続けるための方法を教えてくれるのが、『死ぬまでボケない 1分間“脳活”法』(帯津 良一、鳴海 周平著、ワニブックス刊)だ。

本書は、たった1分で誰にでもできる、簡単なエクササイズや生活習慣を紹介している。今回は、その著者である健康エッセイスト・鳴海周平さんにお話を伺った。

(取材・文/大村佑介)

■「健脳」習慣は何歳からでも遅くない

―― 脳活は、何歳くらいから始めておくといいのでしょう?

鳴海: いくつからでも大丈夫なのですが、早いに越したことは無いと思います。
出来れば、30代くらいから始められるのが最高ですね。
ただ、何歳からでも遅いということはありません。80歳、90歳の方でも、脳活をやることによって、健康な脳――「健脳」を維持していけるはずです。
いくつからでも大丈夫、特に、身体の末端を使うことが、脳の活性化につながります。

―― 私事ですが、私の母親は70歳を超えているのですが、料理好きで趣味がガーデニングなんです。この習慣は脳に良いのでしょうか?

鳴海: ガーディングも料理も、手や指といった末端を使うことなので、非常に良いですね。

特に、料理は、手や指を使いながら、同時に、料理の工程を考えるので、脳の中の様々な領域が活性化するんです。

ガーデニングも、工程を考えながら作業するでしょうし、「綺麗に咲いてくれるかな」とか「こんな色の花が咲くんだ」とイメージをするでしょうから、脳活向きです。他にも編み物などもいいと思います。

―― 女性は、日常的に料理をしたりして自然と脳活が習慣化されていると思いますが、男性は料理をしない人が多いですよね。シニアの男性ならどのように末端を使うと良いでしょうか?

鳴海: おすすめは「楽器」です。ギターでもピアノでもサックスでも、三味線や尺八、なんでもいいです。若い頃にやっていた楽器でも、まったくやったことのない楽器でも大丈夫です。一番楽しく感じられる楽器の練習や演奏をするのがいいですね。

実は、認知症に掛かりにくい人がやっている、と言われる趣味や習い事が3つあるんです。それは「楽器」と「ダンス」と「ボードゲーム」。この3つの内どれかをやっている人は、認知症に掛かるリスクが少ないそうです。

ダンスは、体を動かすものですし、振付の順番を覚えますよね。踊っている最中も、身体の隅々まで意識するので、かなり脳が活性化します。
ボードゲームは、囲碁や将棋、麻雀やチェスなどが挙げられます。指先で駒を動かして、盤上の戦略を考えることで脳が活発に働きます。

■「体の末端の刺激」と「デュアルタスク」が脳を活性化させる

―― 指や手と頭を一緒に使う料理や楽器、体と頭を使うダンスなど、「何かを同時に行う」ということが脳には良さそうですね。

鳴海: そうです。2つ以上のことを同時にする「デュアルタスク」というのは脳にとてもいいんです。

漢方薬の考え方もそうなのですが、一つの原料よりも、相性のいい原料をいくつか合わせたほうが効き目は増します。
同じように、脳も一ヶ所だけが活性化するより、脳の複数の箇所が同時に活性化するほど相乗作用が起きるのだと思います。

楽器、ダンス、ボードゲームといった遊びや趣味は、シニアの方には馴染みのあることなので、始めやすいと思いますよ。

―― 認知症というと自覚がないうちに進行していることが多いと聞きますが、自分自身で「こうなってきたら、脳活をしたほうがいいのかな」という、サインや兆候のようなものはありますか?

鳴海: 人や物の名前が出て来づらくなったなと思ったら、脳活を始められるといいと思います。

ただ、歳を重ねると、それまでの記憶もかなり蓄積されています。
その記憶の引出しから、思い出したいことがなかなか出てこない、ということがあります。たくさんの情報があるからパッと出てこないんですね。

だから、一概に「物や人の名前が出て来づらいから認知症だ」
といえるわけではありません。
若い頃に比べて、たくさんの情報を持っていますから、それを、いかに脳の中から引き出せるかだと思います。

また、脳活は、脳の働きを良くするということと、頭の中の知識や情報の整理をしてあげるということでもあるんです。
だから、最初に言ったように、なるべく早いころから脳活を始めるに越したことはありません。
若い頃から始めていると、脳の情報がつねに整理整頓されている状態になりますから、物や人の名前も出て来やすくなりますよ。

―― やはり、日頃からから心がけていることが大事なんですね。

鳴海: そうですね。脳活を始めるタイミングというのは、他にもいくつかあります。
新しいことに挑戦をすることが億劫になってきたり、好奇心やワクワクすることが少なくなってきたり、そういう心の面での変化を感じたら、脳活をしたほうがいいサインだと思います。

また、日頃の心がけで言うと、元気なご高齢の方は、普段から心がけていることが自然と脳活になっていることが多いようです。

105歳で現役のお医者さんをしている日野原重明先生の健康法は「楽を嫌うこと」なんだそうです。
エレベーターと階段があったら階段を選ぶ。野菜の皮を剥くときも、ピーラーではなく包丁を使う。
そんな風に、何かをするときには、あえて面倒な方を選ぶ。
そうすると、自然に体を使うことになるので、体も脳も元気でいられると。

また、「双子で100歳」ということで、ご存命のときにメディアに出ていらした「きんさんぎんさん」も非常に良い事を仰っていました。

それは、健康の秘訣を聞かれたときに「食べ過ぎないこと」と答えていたんです。

空腹が満たされる程度で食べることを止める。実は、これって難しいんですよ。勢いがついちゃうと、ついつい食べてしまうものなので。

腹八分目に抑えるためのよい方法は、「ゆっくり、良く噛んで食べること」です。

脳には、満腹中枢というのがあるのですが、胃が満腹の状態になってから満腹中枢が「もう満腹だよ」っていう信号を出すので、「もう満腹」と思ったころには、本当は食べ過ぎなんです。

つまり、実際の胃腸の状態と、その状態を通知する信号に時差があるんですね。

だから、なるべくゆっくり良く噛んで食べることで、満腹中枢との時差を縮める。
そうすると、ゆっくり食べている内に、お腹一杯になってくるので、自然に食べ過ぎ防止になるんです。

よく噛んで食べると、顔全体の筋肉が動くことで、末端から脳を刺激することになりますから、脳活にもなり、内臓も健康でいられるので一石二鳥ですね。

■「脳によくない」生活、3つの習慣とは?

―― では、「こういう生活は脳によくない」ということはありますか?

鳴海: 大きく分けて3つあります。

1つは、「あまり体を動かさないこと」です。

これは、さっきの末端にも関係してくるのですが、皮膚というのは全体的に末端なんです。皮膚刺激というのは脳に直接関係していて、体を動かす機会が多い人のほうが、皮膚に与える刺激も大きいし、その分、脳にも刺激がいきますよね。

それに、体を動かしていると血液の流れが良くなるので、脳への血流も良くなります。だから、あまり体を動かさないと、脳も活性化しないのです。

2つ目は、「目を動かさないこと」です。

たとえば、一日中テレビを観ているだけ、という生活はあまりよくないと思います。
認知症の患者さんは、あまり目を動かさないといわれています。

テレビを黙って観ているときは、一点を見ているだけで、基本的には目が動いていないですよね。
興味深く見ているならまだいいですが、「することがないから漫然とテレビを見ている」という状態は、脳の刺激にもなりにくいんです。

―― ちなみに、読書はどうなのでしょう?

鳴海: 読書は、文字を目で追うので目が動きますよね。それに、文字からいろんなことを想像したり連想したりします。すると脳も活発に動きます。
テレビは、与えられる情報だけなので想像の余地があまりないですが、読書は読もうとしないと読めないですし、目も動いて、脳も刺激される。だから脳活的には良い習慣といえるでしょう。

そして3つ目は、「変化の少ない生活」です。

脳は、新しい体験を喜ぶようにできています。今まで経験したことがないとか、普段とは違うことをすると、脳がすごく活性化するんです。
その逆の、変化の少ないマンネリの生活は、脳によろしくないわけです。

なので、日がな一日、どこにも出かけずテレビだけ観て、何となくゴロゴロしているという生活は、認知症になりやすいかもしれませんね。

ちなみに、脳は変化を喜ぶのですが、これだけは変えないほうがいいよというのが一つあります。
それは「生活のリズム」です。
決まった時間に起きて、決まった時間に寝る。そういう規則正しい生活リズムの中で、運動や変化に富んだ生活をしていると、認知症にはかかりづらいようです。

―― ずっとテレビを観ているだけの生活はあまりよくないということですが、テレビゲームというのはどうなのでしょう?

鳴海: 私は悪くないと思っています。
普段、ゲームをあまりしない人がすると、頭の刺激になりますし、ゲームをよくする人でも、違うソフトで遊ぶことで、新しい体験にはなりますよね。画面のいろいろなところを見るので、目も動きますし。

ゲームなら、お孫さんと一緒に遊ぶというのは良いでしょうね。

実は「コミュニュケーションを取る」ということも、脳には非常にいいんです。なので一人でやるよりも誰かとゲームをやると、よりいいですね。

いくつになっても始められる!「脳活」を続けるためのポイントとは?

喋り方や受け答えがしっかりしていて実年齢よりも若く見える高齢者がいるが、そういった人たちは、活動的で、よく笑い、いかにも人生を楽しんでいるように見えるのではないだろうか。

そんな人に会うたびに「ああいう風に年を取りたい」と考えるものだが、そのためには心身ともに健康であること、そして、脳が健康であることが望まれる。その健康な脳――「健脳」を維持していくには「脳活」が欠かせない。

そんな「脳活」を、誰でも簡単にできる方法で教えてくれる一冊が、『死ぬまでボケない 1分間“脳活”法』(帯津 良一、鳴海 周平著、ワニブックス刊)だ。

インタビュー後編では、著者である健康エッセイスト・鳴海周平さんに、100歳を超えても「健脳」だった人の話や、「脳活」を続けていくためのポイントを伺った。

■「コミュニケーション」と「アウトプット」でボケを防止する

―― ここまで、認知症予防という視点で「脳活」についてお伺いしてきましたが、今、認知症を抱えていらっしゃる方でも、脳活によって症状が改善したケースはあるのでしょうか?

鳴海: あります。
ご存命のときに、よくメディアに出ていらした「きんさんぎんさん」のきんさんの話ですね。

きんさんが90代に入ってから、なかなか人の名前が思い出せないとか、数字が上手く数えられないといった状態になったらしいんです。
ところが、ふくらはぎを揉むというエクササイズを始めたら、そういった症状が改善されたそうです。

足の血流というのは、体全体に血液を行き渡らせる上で、とても大事な箇所です。
ふくらはぎをマッサージすることで、全身の血液の流れ、脳の血流がよくなり、症状が改善されたのではないかと私は考えています。

もう一つあげるとすると、コミュニケーションの力もあったと思います。

年齢的にも、ご自身でマッサージをしていたのではなく、誰かに揉んでもらったと思うのですが、そうすると色々とお話もするでしょう。そうすることで脳が活性化したのだと思いますね。その結果、すっかり元気になられて、100歳になってもメディアで活躍するようになったと。

―― 現在、認知症になっている方でも、症状が落ち着いたというケースがあるわけですね。

鳴海: 一度認知症になると、回復しないようなイメージは根強くありますが、そうではありません。

たとえば、「回想法」という脳を刺激する方法があります。
認知症の方は、最近のことを忘れてしまっていることが多いんです。でも、昔のことは結構覚えているものなんですね。そこで、昔のことを何度も話してもらうんです。つまり「回想」してもらうわけです。

それで何が起こるかというと、脳の記憶に関する神経回路が太くなってくるんです。
そこから、話してもらう内容の時間軸を少しずつ現在に近づけていく。
そうすると、徐々に最近のことも記憶に残るようになって、認知症の症状が落ち着くというケースもあるといいます。

また、これは本の中でも書かせてもらいましたが、「アウトプットをする」というのは、効果的な脳活なんです。

昔のことを話すというのは、思い出を「アウトプットする」ということなので脳に刺激を与えられますし、思い出話をするのには相手がいますから、コミュニュケーションにもなって二重にいいわけです。

ですから、認知症と診断されても、改善の可能性は捨てないでほしいです。

―― 認知症になると、徘徊や家族に対して暴力的になるといった周辺症状もありますが、そういった部分についてはいかがでしょうか?

鳴海: これは、周囲の人たちや環境にもよるところですね。

タイやベトナムは、お年寄りが尊敬される文化になっていて、高年齢な方ほど、神に近い存在として、一層、大切にされます。日本でも、沖縄の一部ではそういう文化があって、そうした地域に行くと、家族や周りに迷惑をかけるような症状は出ないそうです。

ご高齢の方に良い意味で気を遣ったり、尊敬するという空気があったりすると、精神的に安定するようです。ですから、ご高齢で認知症になっている場合、周りの方々の対応によって認知症という概念自体も変ってくるのではないかとさえ思います。

今は、昔のように三世代で一緒に住むという家が減ってきていますが、家族間のコミュニケーションが普段からできていて、良い関係が作られているというのは、とても大事だと思います。
人それぞれにライフスタイルがあるとは思いますが、できることなら日頃からコミュニケーションが取れる環境にしておくのが望ましいですね。

■まずは、1つの脳活から始めよう

―― ところで、脳活はやはり続けることが大事だと思いますが、継続させることが苦手な人でも長続きさせられるコツのようなものはありますか?

鳴海: 実際に、健康法をはじめても、続かないという方はいると思います。
でも、今回の本は、そのような方々のためにあります。どれも1分でできて、生活に違和感なく取り入れられて、やっていてつらくなるようなものはないはずですから。

それが、大きい項目だけで27個あります。さらに、ステップアップしたものや小さい項目を合せると、40個近くはあります。それだけあれば、自分に合ったものや長続きしそうなものが、必ずあるはずです。

なので、その中から色々試してみて、「あ、これは続きそうだなと感じるもの、やっていて楽しいと思うものがあったら、1つでいいので、それを続けてください。
本当は、複数の種類をやるのが効果的ですが、とりあえずは、1つでも続けてみる。

ちょっと続けてみると、効果が実感ができるので、「あ、こんなに効果があるんだ」ということがわかると思います。そうすると「他のものもやってみよう」という気になりますから。

たとえば、「朝、一杯の白湯を飲む」というものがあります。これは誰でも簡単にできますし、何か苦労するようなこともありません。そういった本当に簡単なものから始めてみるだけでいいんです。

―― では、最後に「これから脳活を始めよう!」「しなきゃいけないな」と思っている方に、これは心に留めておいて欲しいというメッセージがあれば、お願いします。

鳴海: 最新の脳科学で明らかになっているのは、「脳はいくつになっても成長し続ける」ということなのだそうです。何歳になっても関係がなく、ずっと成長する。

だから、脳活を始めるのに遅すぎるということはありません。いつからでも、この「1分間脳活法」を習慣にしてもらえたらいいなと思います。

書籍情報

目次

  1. 第1章 1分間で健脳になるからだの調え方

    (末端を意識する 全身をゆるめる 足腰を丈夫にする)
  2. 第2章 1分間で健脳になる食の調え方

    (脳によい食べもの なるべく旬の食材を 脳によい食べ方 ときめきをもって食べる)
  3. 第3章 1分間で健脳になる心の調え方

    (心が調う朝の習慣 耳と口を使う 身の周りを調える 情報はアウトプット(出力)する 心穏やかな時間をつくる ゆっくりと呼吸で心を調える 調心―虚空を感じて生きる)

著者プロフィール

帯津 良一

日本ホリスティック医学協会会長。日本ホメオパシー医学会理事長。
1961年、東京大学医学部卒業。東京大学医学部第三外科、都立駒込病院外科医長を経て、1982年、帯津三敬病院を開院、現在は名誉院長。西洋医学に中医学やホメオパシーなどの代替医療を取り入れ、ホリスティック医学の確立を目指している

鳴海 周平

健康エッセイスト。株式会社エヌ・ピュア代表。1971年、北海道生まれ。心とからだの「健幸」についての情報を、ブログやラジオ、著作、講演などを通じて発信している。