本書の解説
富裕層になったら読む本『富裕層のNo.1投資戦略』
六本木ミッドタウンや成田空港の書店から売れ出す
富裕層や高額所得者にじわりと売れている本があります。
それが、『富裕層のNo.1投資戦略』(高岡壮一郎著、総合法令出版刊)です。
本書は2017年2月末に出た本で、TSUTAYA TokyoMidtown(2017年3月6日~3月12日)とTSUTAYA 成田空港第1ターミナル店(2017年4月10日~4月16日)で週間ビジネス書ランキング1位を獲得。
富裕層やハイエンドビジネスマンが立ち寄る書店で売れています。
一体、どのような人が本書を買っているのか、それは序文を読むと分かります。
「本書を開いているあなたは、勇気と細心の注意と努力で人生ゲームに勝利し、もしくは勝利しつつあり、世の中の一般の人よりも多くの資産を蓄えたはずである。
振り返ってみれば、勇気を出して挑戦した一度の勝負が今の成功の大半に寄与していることや、甘言を弄する者たちを退けることができた確かな知性と見識、自制心こそが、あなたを成功者という狭き門まで到達させてくれたことを実感していることだろう。
一度勝利を収めたからには、さらに大勝を狙って勝負に出てはならない。
現在の地位から滑り落ち、勝利者でなくなるリスク等は考えるにも値しない。
かと言って、いわゆる「保守的な運用」に堕すれば、インフレで購買力が低下して転落してしまう。
だからこそ、富裕層には富裕層の、確固とした「投資戦略」が必要なのだ。」
(『はじめに』P6より)
しがらみのない投資助言の立場で金融商品・金融機関を実名で一刀両断
本書は、巷の一般的な書籍と異なり、読者ターゲットを富裕層に限定している点がユニーク。
著者の高岡壮一郎氏は、フィンテック領域にて富裕層向け金融事業・メディア事業を展開しています。東京大学卒業後、三井物産株式会社に入社後、2005年、富裕層向け事業を行うあゆみトラスト・グループ(旧アブラハムグループ)を創業し、金融資産1億円以上限定のプライベートクラブYUCASEE(ゆかし)を立ち上げたり、海外に証券会社を設立したり、海外ファンド業界最大手の投資助言会社ヘッジファンドダイレクト株式会社を創業しました。(起業の経緯は、本書の中の『コラム』に詳しい)
ヘッジファンドダイレクトは、世界10万本以上のファンドデータベースから独自アルゴリズムで最適なファンドを選別、中立的な立場から投資家に助言を行うフィンテック企業。
投資家からお金を預けるファンド業者・販売会社ではなく、ファンド業者の優劣を中立的に分析・評価する「投資助言会社」なのです。
投資助言業とは、簡単に言えば、証券会社や銀行などの販売会社とは逆の立場の金融機関のこと。
証券会社等の販売会社(第一種金融商品取引業者、第二種金融商品取引業者)が、ファンドや金融商品の販売で手数料を得る業態なのに対して(これをセルサイドと言います)、投資家側から雇われてファンドや金融商品を投資家の利益の為に分析・助言する立場を指します(こちらはバイサイドと言います)。
投資関係の書籍の多くは、金融商品を販売したい証券会社の社長や、自社のファンドにお金を集めたいファンドマネージャーが執筆していたり、証券会社の販売代理店の立場であるフィナンシャルプラナンナー(金融商品仲介業)が書いたりと、いずれも投資家に何かを売って儲けたいセルサイドの立場からの本です。
他方、投資家だけからフィーを取り、投資家の立場にのみ立つ業態である投資助言会社の社長の書籍はあまりありません。そういう意味でユニークな一冊が『富裕層のNo.1投資戦略』なのです。
中立的・独立的な投資助言会社の立場から、様々な金融機関や金融商品の実績を比較して分析している本書。あなたが金融機関から勧められた商品は、業界全体から見てどの程度の商品なのか、確かめてみると面白いでしょう。
本書は、知りたくても聞けなかった様々な「事実」を入手することができます。
いま巷で流行っているラップ口座で一番成績が良い証券会社はどこか?
ロボアドバイザーの実際の運用成績はどうか?
日本国内の投資信託で一番投資効率が良いのはどれか?
世界ランキング上位のヘッジファンドに投資する方法は何か?
外資系プライベートバンクのどこが良いか?
資産運用を検討している人には極めて実践的な内容です。
富裕層になれたら、やっぱりヘッジファンド?
さて、個人投資家が、一切のしがらみなく合理的に運用成果をだけを求めるとしたら、どのような投資方針を持てばいいのでしょうか。
著者の主張は明確です。
それは、「自分で運用して運用成績が満足できるなら自分で運用すればいいが、自分でうまく出来なかったり時間が無いなら、プロに任せればよい。プロに任せるなら、本物のプロに任せれば良い」ということ。
そして「本物のプロ」として紹介されるのが「ヘッジファンド」です。
本書では最低投資単価が1000万円程度で投資できるヘッジファンドが紹介されています。
巷で語られるヘッジファンドは「ハイリスク・ハイリターン」「手数料が高い」というイメージが強いですが、実際のところはどうなのでしょうか。
「手数料を控除後のリターン」で、リスク・リターンを分析すると、投資対象(アセットクラス)としてのヘッジファンドの優位性が際立ってきます(詳細は本書の中のデータを参照のこと)。
本書は、一般投資家に対しては、インデックスを活用して長期の積立投資をするように推奨しています。そして、ある程度まとまった資金を得た成功者に対しては、グローバルを視野に合理的な判断の元、筋の良いプロに資金を委託するとのが良いと著者は説きます。
また一口にヘッジファンドといっても、どのヘッジファンドを選ぶのか、その選別方針が大切であることも本書を通じて学ぶことができます。
いま、富裕層でない人でも、仕事がうまくいったり、相続によってまとまったお金が入ってくるチャンスです。
だから一般投資家であっても、富裕層になったらどうしたらよいかを今のうちに知っておくのも良いでしょう。本書は富裕層に限らず、個人投資家にとっての良い「教科書」だと言えます。