ページトップへ

アマゾンへのリンク 入社1年目から差がつく! ビジネスメール即効お役立ち表現

このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

解説

知らなきゃ恥! 新社会人にありがちなビジネスメールのNG事例

大学四年生にとっては、今は最後の春休みの真っ只中。これが終わればいよいよ新社会人である。

電話の取り次ぎ方、名刺交換の仕方、身だしなみの整え方……。新社会人がおぼえるべきことは多いが、その一つが「メールの作法」だ。

ビジネスメールのやり取りには、学生生活では必要のなかった細かなマナーや気配りが必要とされることも多い。この時期に正しい知識を身につけておけば、4月からの新生活でコミュニケーション面の不安が一つ減ることになる。

ここでは、新社会人がやりがちなビジネスメールのマナー違反の事例をいくつか紹介していこう。

お願いするときに、「~していただけないでしょうか?」は失礼

まだ仕事に不慣れなうちだからこそ、先輩や上司に何かをお願いする文面は身につけておくべきだ。

この「お願いメール」は、丁寧さはもちろん必要だが、それだけでは不十分。
ありがちなのが「~していただけないでしょうか?」という否定の疑問形でメールを送ってしまうことだ。

これは一見すると丁寧にみえるが、相手に詰め寄っているニュアンスもある。
率直に「~をご依頼申し上げます」と書くのが正解だ。

目上の人に「参考までに」意見をもらうのも失礼

新人であれば、まわりの人は十中八九、自分よりも多忙な人か目上の人。
当然、そうした人たちにアドバイスや意見をもらう機会も多い。

そして、そうしたシチュエーションで使ってはならないのが、「参考までにご意見をお聞かせください」というフレーズ。

仮に参考程度に聞く場合であっても、「参考までに」というフレーズは使わないのが社会人としての礼儀だ。

「お祝いの言葉を送ったつもりが……」なパターン

ここからは、やや上級編。すでに社会に出て数年経つような人でも、知らずに使ってしまいがちな言い回しを紹介する。

たとえば、独立して間もないクライアントに「独立開業おめでとうございます。真っ赤なロゴデザインが素晴らしいですね」というお祝いのメールを送ったとしよう。

一見、普通のお祝いメールだが、この文面には「忌み言葉」が使われている。忌み言葉とは、「閉じる」「傾く」「流れる」といった具合に不吉な状況を連想させる言葉のことで、上の例でいえば「赤」がそれにあたる。

忌み言葉には様々なものがあり、すべてを覚えるのは難しい。
最低限いくつかは頭に入れておき、メールを送る前に「忌み言葉は含まれていないか」とチェックする癖をつけるだけでも、周囲に差をつけられること請け合いだ。

「どうぞお体をご自愛ください」は「頭痛が痛い」と同じくらい残念な間違い

最後にもうひとつ、多くの人が知らずに誤用してしまっているものを紹介しよう。

それはメールのしめくくりでよく見かける「どうぞお体をご自愛ください」というフレーズ。実は、「ご自愛ください」がすでに「お体にお気をつけください」という意味を含んでいる。したがって、「お体をご自愛」とすると意味が重複してしまうのだ。

これは相手の印象を悪くするほどではないが、社会人として恥ずかしくないメールを送りたいなら、ぜひおさえておきたい知識といえよう。

ここで紹介したものはすべて『入社1年目から差がつく! ビジネスメール即効お役立ち表現』(中川路亜紀著、集英社刊)に掲載されているもの。

本書では他にも、「相手のミスを知らせる」「客先に意見を返す」など、判断に迷うシチュエーションも含め、多くの「お役立ち表現」が紹介されている。

4月から新社会人になる読者はもちろん、新社会人を部下として受け入れる側のビジネスパーソン「も」、赤っ恥をかかないためにチェックしておいてはいかがだろう。
(新刊JP編集部)

インタビュー

「拝見して下さい」「申されました」 間違えると恥ずかしい謙譲語・尊敬語の使い分け

多くの職場において、新人がまず徹底的に教育されることの一つにマナーがある。
どんな仕事も人間関係の上に成り立っており、その潤滑油となってくれるのがマナーだからだ。

一口にマナーといっても、電話対応、上司への報告の仕方、名刺の渡し方など、その内容は多岐に渡るが、多くの新人が手こずりがちなのが言葉の使い方。特に、謙譲語と尊敬語の使い分けは難しい。

そこで今回は、『入社1年目から差がつく! ビジネスメール即効お役立ち表現』(集英社刊)の著者であり、メール作法に関する書籍を多数著している中川路亜紀さんに、新社会人がつまずきがちなメールマナーについてお話をうかがった。

つまずく人が多い、謙譲語と尊敬語の使い分け

―― 本書のタイトルには「入社1年目から差がつく!」というフレーズが入っています。本で紹介されているメールマナーのなかで、新社会人の方に、「まずこれだけは身につけてほしい」と思うものを三つ挙げるとすれば、それは何ですか。

著者・中川路亜紀さん近影

中川路:本書の内容でいえば、お願い編の「アポイントのお願い」、業務連絡編の「社内・社外の調整」、お礼編の「仕事上のお礼」。どんな仕事でも、この三つをまずおさえてほしいですね。

―― なるほど。特に、「社内・社外の調整」でいえば、敬語を正しく使えるか使えないかで、周囲が受ける印象はかなり変わってくるでしょうね。

中川路:そうですね、本書でも紹介したように、見積もる側(受注側)がメールを送るとき、「見積書」は「お見積書」とする。社外に対し「社内の誰々が連絡します」と伝えたいときに「弊社の●●から直接、ご連絡申し上げます」といった具合に謙譲語を使う。

「なれなれしくなく、よそよそしくない」メールを送るためにも、このように相手に合わせて敬語表現を正しく使い分けることを心がけていただきたいですね。

―― たしかに、その三つはどんな仕事をする場合でも、欠かせないものです。ところで、本書を手に取ってもらいたい読者層というのも、やはり新社会人の方なのでしょうか。

中川路:新入社員の方にかぎらず、20年選手の方にも読んでいただきたいです。交渉ごとや慶弔にかかわるやりとりなど、中堅だからこそきちんとしたメールの書き方が求められ、悩むことがあると思いますので。

―― 中堅の人でも悩むという意味では、「謙譲語と尊敬語」の使い分けに不安をおぼえる人は少なくないと思います。中川路さんの目から見て、これらの使い分けの習熟度というのは何段階ぐらいに分かれるとお考えですか。

中川路:タメ口しか使えない段階、敬語のボキャブラリー不足の段階、尊敬語・謙譲語を取り違える段階、「身内」概念ができていない段階、敬語カンペキクラスという5段階に分けられると思いますね。

―― 尊敬語・謙譲語を取り違える段階、「身内」概念ができていない段階の二つについて、さらに詳しく教えていただけますか。

中川路:尊敬語・謙譲語を取り違える段階というのは、「拝見してください」「申されました」といった言い回しをしてしまうケースを想定しています。こうした間違いをする方はけっこう多いですね。

「身内」概念ができていないというのは、社外に対して社内は身内という身内感覚がないため、取引先に対して、上司の行動を尊敬語で話してしまうという段階です。

若い方については、「身内」概念ができていないためにおかしなメールを送ってしまうケースをよく見かけます。どうやら上司に対し、へりくだった表現を使うことに気が引けてしまうようなのですが。

―― 謙譲語や尊敬語にしても、ちょっとした決まり文句にしても、あらかじめ知っておくのとそうでないのとでは、いざというときの対応に雲泥の差が出ますよね。

中川路:そうですね、何かイレギュラーなことが起きたとき、相手にどんな言葉をかけるべきかについては知っておいて損はないでしょう。

たとえば、いつもやりとりをしている先方の担当者がけがをしてしまった、あるいは、偉い方とやりとりをしていたら、突然、「先日、娘が結婚した」といわれた等、「なんて返せばいいのだろう?」と思ってしまうようなときに、本書で紹介しているようなマナーを身につけていると安心だと思います。

徹底すれば雲泥の差! 新社会人が大切にすべきメールの作法

大学生活を終え、4月から新社会人になる人たちにとって、しばらくの間、「まわりは先輩ばかり」という生活がつづく。当然、何か相談ごとを持ちかけたり、依頼することの連続だ。

だからこそ、相手に気持ちよく動いてもらえるよう立ち振る舞えるかどうかは、かなり重要になる。

そこで今回は、『入社1年目から差がつく! ビジネスメール即効お役立ち表現』(集英社刊)の著者であり、メール作法に関する書籍を多数著している中川路亜紀さんに、メールでお願いごとをする際に気をつけるべきことを中心にお話しいただいた。

残念なメールと行き届いたメールを分ける「ちょっとした想像力」

―― インタビュー後編では、中川路さんが普段、メールを読む際に感じていること等を中心にお話をうかがえればと思います。中川路さんがこれまでに受け取ったメールで、「これはあり得ない…」と思ったものがありましたら、お話いただけますか。

中川路:面識のない方から、仕事依頼のメールをいただいた際、こんなことがありました。

先方はメールの冒頭に「鈴木さんから中川路さんのことを紹介された」と書いていた。でもこちらとしては、知り合いに鈴木さんという方は何人もいるわけで、こんな書き方をされても、どの鈴木さんか分からない。

この場合、「どの」鈴木さんなのかが分かるよう、所属など何かしらフックになる情報を書くのがマナーだと思います。「相手がこういうメールを受け取ったらどう思うだろう?」という想像力が欠如していることに、まずショックを受けました。

それだけではありません。こちらがまだ承諾していないにもかかわらず、そのメールでは「こうしてああして」と仕事の進め方まで事細かに指定されていたんです。あまりに独善的なメールに不安を感じ、その仕事はお断りしました。

―― メールひとつ書くにしても、想像力を働かせることが重要なのだと痛感させられる事例です。

中川路:その通りです。いまご紹介した例以外にも、「あともう少し、想像力を働かせてほしかったな」と思うことは、よくあります。

「●●を郵送してください」と依頼しておきながら郵送先の住所が明記されていないメールを受けとったことはありませんか。

相手との関係性にもよりますが、このようなメールが送られてきて、わざわざ「郵送先を教えていただけますか」と尋ねるのは気がひける場合、こちらは何冊もある名刺入れのなかから必要な情報を探すはめになるわけですよね。

書き手がメールを送るまえに、「相手はこのメールを受けとったあと、どんなアクションをとるか?」と想像するだけで、こうした事態は避けられます。

―― 逆に、中川路さんが「これは行き届いているな」と感心したメールはどのようなものでしたか。

中川路:相手とお会いすることになっていたお店が、駅から少し離れた場所にあったのですが、先方から送られてきたメールに「このお店は駅からタクシーで●分ほどかかります」と添えられていて、すばらしいなと思いました。

お店のホームページ等のURLを載せるというところまでは、ほとんどの方がしてくださるのですが、ここまで行き届いている方はそう多くありません。

このような場合、相手にしてみたら、現地までのトータルの所要時間を知りたいことは明らかです。郵送の例と同様、少し想像力を働かせられるかによって、メールのクオリティは驚くほど変わってきます。

―― 先ほど、「郵送先が書かれていない」残念なメールを送らないために、メールを受け取る側の「その後」の行動を想像してみることが大事とお話しいただきました。行き届いたメールを送るために、他にも何か気をつけたほうがいいことはありますか。

中川路:日頃からメールをていねいに読む習慣をつけるとよいでしょう。具体的には「二度読み」を徹底することをおすすめします。

相手に返信するまえに、相手の文面、自分が書いた文面をもう一度読みなおす。そうすることによって、返事すべきことを全部網羅したかをチェックできますので。

よくあるのは、相手から三つの用件について尋ねられていたのに二件しか答えておらず、あとから慌てて追加の返信をするケース。これだとメールの件数も増えてしまいますし、相手の時間もよけいに奪ってしまいますからね。

―― 最後になりますが、読者の皆様へメッセージをお願いします。

中川路:いまや、仕事はメールによって進められているといっても過言ではありません。そのような現実がある以上、自分が伝えたいことをメールで自由自在に表現できることは、仕事の重要な能力といえるでしょう。

要領の悪いメール、失礼なメールは、相手をむっとさせるだけでなく、あなた自身の信頼さえ低下させてしまいます。

本書を手元に置くことで、「なれなれしくなく、よそよそしくない」メールを送るうえで必要なボキャブラリーを増やし、敬語の正しい使い方を身につけていただければと思います。

メールマナーというのは、一言でいえば「相手への思いやり」です。本書は、メール表現の解説を通して、思いやり、つまりどんなことに想像力を働かせるべきかについてもふれていますので、その「心」の部分も感じとっていただければうれしいですね。
(新刊JP編集部)

書籍情報

目次

  1. はじめに
  2. 第1章 ここがいけない! あなたのメール
    ~よくやりがちな間違いを添削~

    1. 1 要点を落とさない
    2. 2 結論を明確にする
    3. 3 話を急ぎすぎない
    4. 4 敬語を正しく使う
    5. 5 大げさに書きすぎない
    6. 6 上から目線にならない
    7. 7 優先順位に気をつける
    8. 8 余計なことを書かない
    9. 9 相手を追い詰めない
    10. 10 必要な情報をそろえる
  3. 第2章 あらゆる場面に対応! お助けフレーズ集
    ~きちんと伝わるメールの書き方~

    1. 【書き出し編】
      1. 1 日常的な挨拶
      2. 2 日常的な返信
      3. 3 面識のない人へ
      4. 4 ご無沙汰している相手へ
      5. 5 顧客への挨拶・返信
      6. 6 複数に送るとき
    2. 【お願い編】
      1. 7 アポイントの依頼
      2. 8 アポイントの変更
      3. 9 日程調整の相談
      4. 10 出席のお誘い
      5. 11 確認・検討のお願い
      6. 12 仕事の依頼
      7. 13 無理をお願いする
    3. 【業務連絡編】
      1. 14 送付の連絡
      2. 15 受領の連絡
      3. 16 場所・お店の案内
      4. 17 意見を求める
      5. 18 社内・社外との調整
    4. 【通知・挨拶編】
      1. 19 アドレスの変更通知
      2. 20 休暇・休業のお知らせ
      3. 21 異動の挨拶
      4. 22 退職・転職のお知らせ
    5. 【お礼編】
      1. 23 基本フレーズ
      2. 24 仕事上のお礼
      3. 25 贈答品のお礼
      4. 26 賞賛・お祝いへのお礼
    6. 【お詫び編】
      1. 27 基本フレーズ
      2. 28 遅刻・欠席のお詫び
      3. 29 仕事の遅れ・ミスのお詫び
      4. 30 クレームへの対応
      5. 31 反省と今後への約束
  1. 【言いにくい編】
    1. 32 相手のミスを知らせる
    2. 33 返事や仕事の催促
    3. 34 残念なお知らせ
    4. 35 不快感を受けとめる
    5. 36 反対意見をする
    6. 37 抗議する
  2. 【お断り編】
    1. 38 出席・参加を断る
    2. 39 取引・依頼を断る
    3. 40 辞退する
    4. 41 贈答を断る
  3. 【お祝い・ほめる編】
    1. 42 仕事上のお祝い事
    2. 43 プライベートなお祝い事
    3. 44 作品・仕事をほめる
  4. 【お見舞い・お悔やみ編】
    1. 45 体調が悪い方へ
    2. 46 災難にあった方へ
    3. 47 不幸があった方へ
  5. 【社内メール編】
    1. 48 出先からの連絡
    2. 49 会議・社内行事の連絡
    3. 50 社内行事の幹事として
  6. 【しめくくり編】
    1. 51 依頼・連絡のしめくくり
    2. 52 すぐ会う相手に
    3. 53 しばらく会わない相手に
  7. 第3章 これだけはおさえたい! 基本ルール10
    ~今さら聞けないメールの基本~

    1. 1 本文に宛名は必須
    2. 2 署名をおろそかにしない
    3. 3 短文・改行の原則
    4. 4 件名の上手なつけ方
    5. 5 添付ファイルのマナー
    6. 6 返信は翌日までを目安に
    7. 7 引用・転送の注意点
    8. 8 CcとBccの使い方
    9. 9 文字化けを回避する
    10. 10 いざというときは電話をする
  8. コラム 周囲に差をつけるメールランクアップ術

    1. 1 ほっとする「つなぎの一言」
      (お天気、季節、時事ネタなどを挨拶がわりに)
    2. 2 自分や相手の家族の呼び方
      (相手の夫は「ご主人様」と書くべきかetc.…)
    3. 3 メールの返事、どこまで必要?
      (メールのやりとり、どこで終わらせるべきか)

著者プロフィール

中川路 亜紀

兵庫県神戸市生まれ。
早稲田大学第一文学部卒業後、出版社勤務を経て独立。
1998年、コミュニケーション・ファクトリーを設立。ビジネスコミュニケーション関連の企画・著述活動を行っている。