解説

■上客を特別扱いすることは「当たり前」である

「お客様は「えこひいき」しなさい!」画像

「全てのお客様に、同じサービスを」というのが基本的な前提だろう。しかし、「そんなことをしているから儲からない」と指摘する人物がいる。「顧客管理士」の肩書きを持つ高田靖久氏である。

高田氏は著書『お客様は「えこひいき」しなさい! 』(中経出版刊)の中で、常連客(既存客)ほど大事にすべきであり、「えこひいき」、つまりは顧客の差別をすべきだと訴える。

この「上客を特別扱いする」ということは、高級ホテルや百貨店などでも行われていること。最高のサービスを前提として、何度も利用したり、よりお金を払ってくれる客にはさらなる極上のホスピタリティを提供する。

それが常連客を逃さない一つの大きな要因となり、安定した売り上げをもたらすのである。

■値引き競争から脱却して、健全に売上を出すために

この「えこひいき」は、飲食店や一般的な店舗であっても取り組みが可能だ。ところが、高田氏は、世間は「えこひいき」よりも価格を下げる「値下げ競争」に傾きがちだと指摘する。

クーポンやポイントカードといった様々な「おトクさ」でアピールし、リピーターよりも新規顧客に対するアプローチを強めているのだ。

しかし、値引きで集まった客は「安い」が判断基準になりがちなため、より安い店があればそちらの方に行ってしまう。これではお店はどんどん疲弊していくばかり。

そこで出てくるのが、「えこひいき」だ。

本書では、常連客の「えこひいき」を仕組み化した「ランクアップシステム」を提唱する。客は自分のランクを示すカードを渡され、そのランクごとにさまざまなサービスを受けることができる。

例えば、福岡市にある居酒屋では、ランクアップした客には「大王様」と書かれたジョッキにビールが注がれる。さらにそこからワンランクアップすると、サイズが一回り大きい「大・大王様」ジョッキが出てくる。そのジョッキが出てくる度に客は喜ぶのだそうだ。

■客は平等に接してほしいのではなく、特別扱いしてほしい

常連客に対する「えこひいき」を積み重ねていけば、それは究極のホスピタリティにつながる。

高田氏は述べる。客は自分たちを平等に扱ってほしいのではなく、むしろ自分を特別扱いして欲しがっているのだ、と。それが儲けへと結びついていくのである。

会社の売上の75%は、30%の大口顧客(常連客)によって構成されているという。もちろん全ての会社や店舗に当てはまるわけではないが、やはりいつでもお金を出してくれる常連客の存在は、経営をしていく上でとても重要だ。

『お客様は「えこひいき」しなさい!』は様々な企業の「えこひいき」の事例を通して、経営を盛り上げる方法を紹介している。特にサービス業界、店舗を経営しているような人は参考になることが多いだろう。

(新刊JP編集部)

書籍情報

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お客様は「えこひいき」しなさい! 3倍売れる「顧客差別」の方法

定価 :

640円+税

著者 :

高田 靖久

出版社:

KADOKAWA

ISBN :

4046017635

ISBN :

978-4046017635

目次

  1. 第1章なぜ、えいこひいきが重要なのか?
  2. 第2章どのお客様をえいこひいきするか?
  3. 第3章『マン・ツー・カンパニー』の経営を行なう
  4. 第4章驚異の『ランクアップシステム』を実行せよ!
  5. 第5章お客様にかける「経費」をえいこひいきしろ!
  6. 最終章えこひいきマーケティングとは、その他のお客様を切り捨てるものではない

プロフィール

高田 靖久

1971年生まれ。顧客管理士事務所「3×3JUKE」代表取締役。元東芝ITコントロールシステム所属。20年間、飲食店・美容院向け顧客管理ソフト・顧客戦略支援ツールの企画・販売に携わる。入社数年は“売れない営業マン”だったが、その後「基本給の5分の1」を自己投資し、短期間で経営ノウハウを習得。それを顧客管理ソフトに組み込み、既存クライアントに提供したところ、売上拡大店が続出。そのノウハウを全国に伝えていきたいと、独立。飲食店や美容院を中心に、店の「顧客戦略立ち上げ支援」「販売促進サポート」を行う。
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