『1億総バッタ時代~自由になりたかった僕らの独立術~』
「サラリーマン生活」という名の「虫かご」
矢島: まずプロフィールについてなんですけど、有本さんは同志社大学卒業後、オムロンで6年間のサラリーマン生活を経て、その後独立されていますよね。ざっくばらんに言ってしまうと、僕だったらオムロン辞めていないです(笑)。
うーん、そういう方がほとんどだと思いますよ(笑)。
矢島: でもオムロンという会社に不満があって辞めた訳ではないんですよね?
オムロンはとてもいい会社なので、会社自体に不満はありませんでした。退職した理由は「サラリーマンという生き方」が嫌になったからなんです。
矢島: この本のタイトルにもある「バッタ」という表現が、今おっしゃった「サラリーマンという生き方」と結びついてくるんですか?
その通りです。野原にいるバッタっていつも自由に飛び回っていますよね。でもそれを捕まえて虫かごの中に入れてしまうと、バッタって飛ばなくなるんですよ。僕からすると、自由に生きるために生まれてきたのに、「サラリーマン」という虫かごに閉じこもって、自由を謳歌できていない人たちが、そのバッタのように見えてしまうんです。日本人のほとんどがそういう生き方をしているように思えて、このタイトルをつけさせていただきました。
矢島: 確かに……。僕も虫かごの中のバッタを何年かやりましたけど、天井にある決済権とか稟議書とかが邪魔で動きづらいなぁと思ったことがありました!どうしてもフットワークが重くなってしまいますよね。
虫かごから飛び立つきっかけとなった成功体験
矢島: サラリーマン時代に始めたネットビジネスにおいて、一番初めに成功した体験について教えてもらえませんか?
ヤフーオークションでiPhone4のケースを海外から仕入れて販売した時に、8000円の利益が出た、というのが最初の成功体験でした。当時、円高の煽りもあって2万円で仕入れたものが2万8000円くらいで売れたんですよ。たった一回の取引で8000円も儲かったときは興奮しましたね~!
矢島: 本の中でもそのエピソードが神話のように書かれていましたね(笑)。とは言え8000円ですよね?当時の有本さんにとって、その8000円という数字はそこまで大きく感じられたんですか?
デカかったですよ~!例えば時給1000円のアルバイトを8時間行うと、ちょうど8000円くらい稼げるじゃないですか。学生時代にアルバイトに費やしていた一日が、たった一回の取引で買えてしまったんです。これはすごいと思いましたね!
矢島: なるほど。そういう体験が後の大きなチャレンジに繋がっていったんですね。では逆に、これまでにやってしまった失敗の経験などは?
失敗もたくさんありますよ。最初の失敗は、とある投資をした時に、当時なけなしの30万円がたった3か月で2万8000円になってしまった事ですね。腹が立って運用会社に電話をしましたが、聞く耳は持たれませんでした(笑)。
矢島: そのお話、本でも見たかったなぁ(笑)。
損額が大きいお金の失敗ほど価値のある体験はない
矢島: 商品が自動で売られる仕組みを作って利益を上げていく、という考えは昔からお持ちだったんでしょうか?
そうですね。今の時代はネットで商品を公開することで、何万人もの人に見てもらえます。手売りより断然効率が良いですよね。特に僕はヤフーオークションの体験などもありましたし、昔からネットを活用してビジネスをしたいという気持ちがありました。
矢島: そうだったんですね~。でも中にはネットビジネスで大失敗してしまって諦めてしまう人も多いと思うんですよ。そこで、有本さんがここまで続けてこられた事には何か理由があるのかなと思いました。有本さん自身「失敗」についてはどのようにお考えなんですか?
基本的に僕は失敗を失敗だと思わないんですよね。むしろ失敗が一番学べる教材だと思ってるんです。特にお金を損した失敗が一番身に染みて学べますね~。セミナーに行ったりして、ノウハウを学ぶためにお金を払うよりも、自分の身銭を切って失敗した時の経験の方がはるかに価値があると思うんです。だって忘れないじゃないですか!30万のお金があっという間に10分の1になった経験なんて!
矢島: 確かに悔しくて忘れられないですね。じわじわ失っていくお金っていうのは意識できないですけど、1日でそんな大金を失ったら印象残りますもんね(笑)。
そうですよね~。でもそこで「お金を損した!」って思うんじゃなくて「すごい勉強になったな!」っていう、僕はそういう発想になるんですよ。
矢島: 瞬間的には凹んでしまっても、すぐに切り替えて前に進んで来られたんですね。