BOOKREVIEW この本の書評

全世界で最も読まれている本は聖書だ、という話を聞いたことがある人は多いはず。

確かに世界中のキリスト教徒(あるいは他の宗教徒)が読んでいるわけですから、その部数たるや想像を絶するものがあります。そして、聖書が幾千年も読み継がれてきたのは、単なる「宗教書」ではない何かを備えているからかもしれません。

本書は、聖書を「宗教書」ではなく「成功法則本」として再解釈した一冊。その言葉から、私たちが人生で成功を収めるために必要な考え方や生き方を提示します。

まずは「自己実現」という考えを捨てる

成功だと思える人生を目指して、「なりたい自分」「夢見る自分」を現実にするために努力を重ねることは、基本的にはいいことだとされています。しかし、やはり本当に自己実現できる人はごく一握り、という現実も。

著者の松島さんは、この理由として「自己実現」という考え方の問題点を挙げています。

「自己実現」の基本にあるのは、「今の私は、まだ自分が望むステイタスに達していないから、そこに辿り着くためにがんばろう」という考え方です。

これは、言いかえれば「そもそものセルフイメージが低い」ということでもあります。そのため、自分の考える成功に向かって行動を始めても、潜在的なところでモチベーションが続かないことが多くなってしまうと松島さんは言います。

成功したければ、まずは「自己実現」という考え方は捨てるべき。これが、聖書が示す成功法則の大前提なのです。

「聖書」が示す3つの真理とは

では、聖書が語るセルフイメージとはどのようなものなのでしょうか。たとえば、「創世記」にはこんな文章が書かれています。

  • 人は、それぞれ目的を持って神に創造された。
  • 人は、神に似せて創られた最高傑作である。
  • 人は、神から愛されている。(「創世記」1.26他)

つまり「あなたはもともと最高のステイタスとして創造された」というのが、聖書のスタンスです。

本当に成功する人というのは、セルフイメージが高く、いつでも自信に満ちているもの。そんな人になるためには、上で挙げた3つの真理を心にとめておくといいかもしれません。

「何をするかを決めるのは自分ではなく神」が聖書流

「自己実現」は、「理想の自分を実現すること」ですから、目標もゴールも、決めるのは自分です。これに対して聖書の考え方は「人の役割は神が与えるもの」というもの。そこに人間の意思が入り込む余地はありません。

しかし、「もし自分の役割がつまらなかったらどうしよう」などと心配する必要はありません。とにかく、自分がワクワクする方向に進むこと。松島さんは、それが、神がその人に与えた役割に沿って生きる方法だとしています。

しかし、主を待ち望む者は新しく力を得、鷲のように翼をかって上ることができる。走ってもたゆまず、歩いても疲れない。(イザヤ40.31)

このイザヤの一節のように、心からワクワクできることをやり続ければ、自然に道は開けます。お金が欲しいからといって安易なお金儲けに走ったり、社長という肩書に憧れて社長を目指すのではなく、自分の心に忠実に。それこそが聖書が示す成功法則なのです。

いかがでしたか?

聖書に馴染みのない人からすると違和感のある考え方かもしれませんが、聖書には古くから多くの人の人生に影響を与えてきた実績があります。

本書では、このほかにも聖書の教えからいかに生き方を学ぶか、という点についてさらなる解説がされていますので、自分の一生について真剣に考えてみたいという人、何かに行き詰まってモヤモヤしているという人は、参考にしてみてはいかがでしょうか。

(新刊JP編集部)

BOOKINFO この本の情報

書籍情報

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聖書に隠された成功法則

定価 :
700円+税
著者 :
松島 修
出版社:
サンマーク出版
ISBN :
4763160818
ISBN :
978-4763160812

著者プロフィール

松島MatsushimaOsamu
1960年東京生まれ。法政大学工学部電気工学科卒。
CFP(Certified Financial Planner)、宅地建物取引主任者、元CFP試験問題作成委員。現在、エフピーネット株式会社代表取締役。日本最大規模の顧客数をもつ投資顧問業者。資産のコンサルタント。実務家。
FXという言葉が知られていないころより、FXの将来性に目をつけ紹介していたことから、「FXの伝道者」とも呼ばれる。FP、FXの第一人者として、「日経新聞」「日経マネー」などの執筆・取材や、テレビ東京「Closing Bell」「E morning」などのテレビ出演など、マスコミに数多く取り上げられる。
また、実務家として人生の目的・使命を知るWEBコーチングや帝王学を教えている。

『聖書に隠された成功法則』公式サイト
聖書に隠された4つの性格診断 性格ドットコム

INTERVIEW 著者インタビュー

「成功法則本」にありがちな聖書の誤解

――今回文庫化された『聖書に隠された成功法則』についてお話をうかがえればと思います。ほとんどの日本人にとって、聖書はなじみが薄いものです。まずは、聖書のどんなところに成功法則が隠されているのかというところについて、教えていただきたいです。

松島:たしかに、普段から聖書に親しんでいるという人は日本には少ないかもしれません。しかし、聖書で説かれている内容は、本来日本人の感覚によく合うものです。 「天命に従って生きる」「利他の精神」「和を以って尊し」といったことが聖書からは読み取れるわけですが、日本古来の神道の教えとも共通するものがありますよね。

――松島さんは本の中で聖書を引用しながらその教えについて解説されていましたが、たしかに自分とかけ離れた価値観だという感じはしませんでした。

松島:そうだと思います。聖書には三つの原則がありまして、それは「人は神に愛されている」「人は神に創られた最高傑作である」「人には神に与えられた使命がある」というものです。これを理解することが、自分の人生を成功させる大前提になります。

また、それとは別に人生には敵からの攻撃もあるわけです。敵というのは「サタン」なのですが、サタンがどんな攻撃をしてくるかは、人によって違います。この攻撃のパターンを、本の中で性格別に解説しているので、ぜひ参考にしていただきたいですね。

――この本では、旧約聖書も新訳聖書も扱われていますが、旧約聖書から数えると、聖書には6000年の歴史があるとされています。この歴史上、聖書を「成功法則」として読む動きはあったのでしょうか?

松島氏の写真 インタビューに答える松島氏

松島:有名な「引き寄せの法則」ですとか、ナポレオン・ヒルの成功法則など、欧米で生まれた成功法則は、ほとんどが聖書をベースにしていると考えていいと思います。

ただ、こうした成功法則の聖書の解釈はまちがっていることが多いんです。「引き寄せの法則」にしても、「人にはいろいろなものを引き寄せる力がある」と。

そこは聖書の観点から見てもまちがいではないのですが、それを「お金を引き寄せる」とか「幸せを引き寄せる」とか、個人の利益を引き寄せる方向に向かってしまって、使命とか世の中のためという視点が欠けているのが欧米の成功法則の特徴です。

――個人主義の文脈で聖書を理解してしまっている。

松島:そうですね。半分は合っているのですが、根本がまちがっているということです。自己中心に原理原則を解釈して、自分の利益だけに結び付けようとしてもうまくはいかないものです。

――松島さんが考える「成功」とはどんなものですか?

松島:成功を定義するならば、「この地上で、幸せで、豊かで、充実した人生を歩むこと」だと思っています。

問題は「豊か」とは何かということですが、もちろん物質的な豊かさもあるでしょうし、人から感謝されたり、喜ばれたりすることで感じる精神的な豊かさもあります。

ほとんどの人は、まずお金を稼いで物質的な豊かさを得てから、それだけではダメだということで精神的な豊かさを求めるようになるのですが、もう一つ忘れてはいけないのが「存在することの豊かさ」です。

「自分は神に愛されている」「天に愛されている」と思える人は、この世に存在していることだけですばらしいことだと思えるはずです。「物質的な豊かさ」「精神的な豊かさ」「存在の豊かさ」の3つが揃って初めて「豊かさ」なんです。

「使命」とは仕事・社会貢献・遊びが一体になったもの

――松島さんは、聖書をベースにした本を書かれているとともに、投資の世界で活躍されています。ご自身のビジネスの成功と聖書にどんな関係があるとお考えですか?

松島:聖書の教えの中で一番大切なのは、「神と共に歩む」という概念です。それは、「神に与えられた使命を生きる」ということと重なるのですが、これができていれば人生は勝手に拓けていくんですよ。

私は「これを成し遂げよう」とか「これをやろう」と考えて事業をしたことはありませんし、数値目標を設定して、それを達成するためにがんばるといったこともしていません。

それよりも風に乗るというか、物事を大きくとらえて、自然な流れに乗っていく。それが神と共に歩むことだと思っています。そのおかげか、事業の方は創業して22年間右肩上がりで、利益を出し続けることができています。

――経営者としては、かなり珍しい経営方針ですね。

松島:そうかもしれません。具体的な数値目標を作って、中期計画、長期計画を立てて、という考えがもともとないんですよね。

――「神に与えられた使命を生きる」というお話が出ましたが、「使命」というものはどのようにして見つけるべきものなのでしょうか。本の中では「ワクワクする方に行きなさい」というようなことが書かれていましたが。

松島:ただワクワクすればいいというわけではなくて、「自分がそれをやることで世の中が永続的にいい方向に変わるか」という視点も大事です。

自分を例に出すなら、私は投資自体も好きなのですが、世の中に出回っている投資へのまちがった考え方を正したいという気持ちもあります。それは「ワクワク」とは少し違うものですが、おもしろいですし、これからもやっていきたい。

おそらく「使命」というのは、仕事と社会貢献と遊びが一体になったものなのだと思います。お金を稼げるし、やっていて楽しいから遊びでもあるし、人に喜ばれる社会貢献でもある。この3つの感覚があるのであれば、それは「使命」なんだと思います。

――それは見つけるのがなかなか難しそうです。

松島:ほとんどの人は、性格と才能と役割の真ん中に使命があるものなので、ある程度自然に行き着くものではあります。

本来の性格が内向的な人の使命が外交的だったら辛いでしょうが、外交的なことが使命として与えられた人は、使命のために外交的な性格が与えられているんですよ。

――「使命」という認識ではない人が多いはずですが、自分のやるべきことが見つからずに悩んでいる人にアドバイスをお願いします。

松島:あまりやるべきことや使命が、明確な職業の形であるとは思わないことです。もちろん、弁護士だとかバイオリニストだとか、明確に与えられている人もいるのですが、ほとんどの場合は、もっと漠然としたものです。

本の出版に携わりたい、といった場合を考えても、あてはまる職業はたくさんあるはずで、かならずしも作家や編集者である必要はありません。

使命というものは、人生の選択肢をすべてまちがえずに選択していくことではありません。
自分が神に愛されていることが分かり、神と共に人生を歩んでいる意識をもって生活していくこと自体が使命なのです。

――この本のなかで書かれている「才能が見つかる4つのタイプ別攻略法」は、使命を見つけるのに役立ちそうです。

松島:そうですね。今もお話したように、使命というのは方向性なので、たとえば就職の時に、どんな分野に進むか、どんな職種にするかといったことを考えるのに役立ててもらえればと思います。

――また、松島さんは聖書の教えの中でも「与えること」を大切にされています。私たちは他者にどんなものを与えればいいのでしょうか。


松島:与えるものはお金でもいいですし、時間でも構いません。人にアドバイスをしたり、教えたりすることも、与えることに含まれます。

本の中では、収入の10分の1を寄付に回すことを勧めていますが、自分の時間の10分の1を他人のために使う、ということでもいい。お金にこだわる必要はありません。

――最後になりますが、今回文庫化されて手に取りやすくなった本書の内容を踏まえて、充実した人生を送りたいと願う方々にメッセージをいただければと思います。

松島氏の写真 インタビューに答える松島氏

松島:世の中には、さまざまな成功法則がありますが、この本で書いた成功法則はそのなかでも一番ニュートラルなものだと思います。

この本が出たのは2010年なのですが、この本を読んで人生の成功見出せたという声を多くいただきました。ぜひ読んでいただいて、偏りのない、成功法則のど真ん中を知っていただければと思っています。

CONTENTS この本の目次

  1. - イントロダクション -
    聖書に隠されてきた4つのタイプ別診断チェックリスト
  2. - プロローグ -
    6000年隠されてきた成功法則が、今明かされる
  3. - 第1章 -
    あなたの道を開く鍵は聖書にあった
  4. - 第2章 -
    才能が見つかる4つのタイプ別攻略法
  5. - 第3章 -
    人生に豊かさをもたらす実践法則
  6. - 第4章 -
    自分の才能を高める実践法則
  7. - エピローグ -
    すべての必要なことが書いてあった
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聖書に隠された成功法則

定価 :
700円+税
著者 :
松島 修
出版社:
サンマーク出版
ISBN :
4763160818
ISBN :
978-4763160812

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