知名度の上げ方
1年で10,000人のファンをつくる法則
著者:竹内 亢一
出版:クロスメディア・パブリッシング
価格:1,738円(税込)
著者:竹内 亢一
出版:クロスメディア・パブリッシング
価格:1,738円(税込)
人気YouTubeチャンネル『令和の虎』をはじめ、250チャンネル以上のYouTubeチャンネルに携わってきた株式会社Suneight代表取締役の竹内亢一氏。そんな動画マーケティング界のパイオニアである竹内氏が全配信者のバイブルともいえる一冊の本を上梓した。
動画がいいと聞くが何から始めたらいいか分からない。
新規顧客へのアプローチが上手くできていない。
広告を出し続けているが結果が鈍化している。
採用でミスマッチが起きている。
集客のためにYouTubeを始めてみたが、思うように再生回数が伸びない。
経営者やフリーランスで活動している人、人事担当者たちが頭を悩ませているこれらの課題に対して、「知名度」というソリューションを紹介するのが『知名度の上げ方 1年で10,000人のファンをつくる法則』(クロスメディア・パブリッシング刊)だ。
もし、すでに自社や自分のサービスがしっかり差別化できていて、安定した数の顧客もいるという状態であれば、知名度を無理に上げる必要はないだろう。
問題は、商品やサービスを差別化できていなかったり、新規でプロジェクトを立ち上げたばかりだったり、優秀な人材を集めたいと思っているときだ。そんなときに「知名度」は想像以上の効果を発揮する。
実は竹内氏は『令和の虎』の動画制作だけでなく、自身も虎として出演している。きっかけは虎の一人が急遽収録に来られなくなってしまったことだった。自分が出演するとは考えていなかったというが、出演後の反響が大きく、知名度の持つ力を竹内氏自身が改めて実感。YouTube制作についての相談が届くようになり、ついには営業をしなくても顧客が増える状態になっていったそうだ。
知名度が高まれば、自ら説明しなくても自分たちがどんな会社なのか、どんな強みを持っているのか、顧客は知ってくれている。そうなれば、社員たちは必要以上なコミュニケーションコストをかけずに本業に集中することができ、より良い結果を生み出せる環境ができるのだ。
本書は「知名度の上げ方・超基本編」と「知名度の上げ方・超実践編」の2部から成る。
第1部の「知名度の上げ方・超基本編」では、知名度を上げるための法則が解説されている。たとえば、自分が得意な特定のエリアでナンバー1を取りに行く「強み×キャラ×超ニッチ」や、仕掛けるならば人が集まる場所だと述べる「踊るなら、人混みで踊れ」などをはじめ、目立つための基本的な考え方がインプットできる。
また、「自己理解」も1つのキーワードだ。竹内氏は自身の「中卒」という学歴を押し出している。一般的には短所やコンプレックスとみられがちなことも、目立つうえではそれが武器になると自身の経験から述べている。さらに意識すべきユーザーからの見られ方、自分のこだわりを捨てること、相手のために自分は何を行動できるのかを考えるなど、動画マーケティングの心得を伝授してくれる。
第2部の「知名度の上げ方・超実践編」にはより具体的なノウハウが詰まっており、「コンセプトの法則」「コンテンツの法則」「動画の法則」という3つの章から、すぐに動画制作に活かせる手法を学ぶことができる。
◇
本書のサブタイトルは「1年で10,000人のファンをつくる法則」だ。1年で10,000人、この数を難しいと考える人もいるだろう。しかしこれは、これまで竹内氏が250以上のチャンネルを手伝うなかで見出した「再現性のある法則」に基づくものだ。
YouTubeやTikTokなどの動画サービス使い、自身のビジネスにドライブをかける。誰でもできるプロのノウハウが詰まった一冊だ。
■ビジネスを制するためには「モノを売るな。顔を売れ!」
竹内: 一言で言うと影響力ですね。情報過多の時代において、消費者は「誰から買うか」を強く意識するようになっています。よく知っている。親近感がある。そういったことが強く影響するようになっているんですね。
知名度が上がり、自分自身や会社が認知されるようになれば、莫大な広告費や採用費をかけずに人が集まってくるようになります。表紙に「モノを売るな。顔を売れ!」とあるように、何事もスムーズにビジネスができるようになるんです。
そこで大切なのが、本の中にも書いた「準知人化」です。これは他人以上知り合い未満を示す言葉で、SNSや動画などでいつも顔を見ていて、共感したり、あこがれをいだいたりするような関係ですね。共感したり、信用しているからこそ、その人がおすすめするものを使いたくなる。これこそが「誰から買うか」という時代を象徴していると思います。
竹内: この本でも自己理解が重要だと書きましたが、影響力を持っている人は自分のキャラクターを自分で把握していて、どういう設定で誰に何を伝えたいかが明確になっていることが多いと思います。
SNSや動画の世界は何も考えずただ参入しても上手くいきません。もちろんラッキーパンチで成功する人もまれにはいますが、数字を持っている人の多くは自己理解をしっかりしています。
竹内: そうですね。最初から自分のことを理解できている人はそういませんが、これは企業にも言えることです。つまり、自社の商品やサービスについて理解できている企業は少ない。今は情報収集がしやすいので、意外とその会社の中にいる人よりもお客さんの方がサービスについて詳しかったりします。
竹内: やはり熱量は大切ですね。量か質かという議論がある中で、僕はどちらでもなく熱量が大切だと言っています。売り上げを上げたいというよこしまな心ではなく、「自社の商品を通して、こういうことで困っている人たちの課題を解決したいと本気で思っている」という初期衝動的な思いを中心に据えるということですね。
人間の心を動かすものが3つあります。「共感」「憧れ」「問題解決」です。でも、それをお金という下世話なもので忘れてしまっていないですか?と問いかけたい。もちろんビジネスですから、お金も大事です。ただ、あなた自身が本当にやりたかったことは何か、そこを中心に据えないと脆さが出てしまうんです。
竹内: 僕はもともとバンド活動をしていたのですが、そのバンドが解散することになって無職になると。そこで自分にできることは何かと考えたときに映像制作があったんです。また、YouTubeは当時マイナーな存在でしたが、自分はすごくよく見ていて、情報発信の手としての可能性を感じていました。
映像制作の道に進むにしても、ライバルは多い。差別化するにはどうすればいいかと考えたときに、YouTubeを活用して情報発信することに需要があるんじゃないかと思ったんです。当時はYouTubeマーケティングの会社もほぼなくて、そこに賭けてみたというのがきっかけです。
竹内: 創業当初は今言ったように競合がほぼいなかったので、YouTubeに動画をあげるだけで上手くいきました。変わりはじめたのはそれから3、4年くらい後ですね。競合が増えてきたタイミングでそれまでアップしてきた動画をしっかり分析するようにしたんです。会社の中に分析が得意な人間がいたり、新しいことに対して好奇心旺盛なメンバーが多くて、恵まれていたと思います。
それまでの蓄積がデータとしてあった点は、競合との差別化になりました。マーケティングは統計学です。確率が高いものを導きだし、それにベットしていけば負ける確率は減っていきます。その判断基準となるデータが僕らにはあったんです。
ただ、勘違いしないでいただきたいのですが、僕らは「バズる」ことが正義とは思っていません。確かにYouTuberであれば「バズる」ことは大切だと思いますが、会社やフリーランスの方は自社のサービスや自分の知識を発信して、それをビジネスにつなげることの方が重要です。だから、「バズる」よりもコンテンツを出し続けていくという継続の部分が大事になります。
竹内: そうですね。自分が参入しているジャンルの再生回数のアッパーがどのくらいで、ミニマムがどれくらいで、アベレージがどのくらいかというのをまず理解する。例えば自分たちの動画の再生回数が1,000だとしても、YouTuberと比較すると低いかもしれないけれど、同じ業界に関する動画の中なら意外と再生されているということは普通にあります。
例えば僕たちが管理している教育系ジャンルのチャンネルの登録者数は1.5万人なんですが、実はそれで業界1位なんです。しかも、YouTubeで1万人以上の登録者数がいるチャンネルがそもそも2%しかない。「まだ1.5万人なの?」と思う人もいるでしょう。でも、業界における発信力はトップなんです。
世間一般には知られていなくても、業界内では知名度がある。それこそが強さを生むと思っていますし、無理に世間一般の認知度を取りに行く必要はないと考えています。
■動画に「ウルトラCはない」。堅実にファンを増やす戦略
竹内: 基本的にはそうなんですが、ニッチなジャンルに特化した動画だけだと、商品やサービスにもともと興味のある人しか見に来ないので、ターゲットとなる人たちが好きなレイヤーを2つくらい広げたところまで狙うといいと思います。
今はコンテンツが増え続けている状態なので、見る理由がないと(動画が)見られなくなっています。だから付加価値が必要です。「めっちゃイケメン」とか「めっちゃ可愛い」でもいいし、「喋りがめっちゃ面白い」といったエンタメ要素があってもいいでしょう。ただ、そこで無理に自分がピエロになる必要はないと思います。
竹内: 違うところで違う目立ち方をすることで注目は集まります。例えば、封筒に100円切手を1枚貼って送るのではなく、1円切手を100枚貼って送ってみる。もちろん気持ち悪がられて封筒を開けてくれないこともありますが、「何だろう」と開けてくれる可能性もあります。悪目立ちはしますが、封筒を開けてもらえるか分からないなら興味を持ってもらう方法としてはありだと思いますね。
もちろん商品や商材に合わせて考えるべきですけど、そういったテクニックもあります。
竹内: 「YouTubeをやったら売り上げが上がる」とか「半年で登録者1万人くらいはいくでしょう」と思われている方もいますが、実際はそう簡単にはいかないものです。先ほども言いましたが、世界で1万人以上の登録者数がいるYouTubeチャンネルは2%です。だから僕たちとしては業界のアベレージを出して、現実的な成長を考えてもらうようにしています。
竹内: SNSや動画にはウルトラCがあると思っている方も少なくありません。周囲からも上手くいっている人の話しか聞かないので、そちらのイメージに引っ張られる傾向がありますね。
竹内: それはすべての業界でそれは言えることです。野球といえば大谷翔平選手ですが、すべての選手が二刀流でメジャーリーグで活躍できるかというと、そうではないですよね。
だから僕たちはまず「業界のナンバーワンになりましょう」と伝えます。Suneightは「顧客を話題の真ん中に」をスローガンにしていますが、それはクライアントをそのジャンルの中でのセンターピンにするのが僕たちのミッションだと考えているからです。
竹内: 人間は承認欲求の塊だと思っています。だから、その承認欲求を満たせていない人やもやもやしながら生きている人たちにぜひ読んでほしいですね。
このインタビューでは主にビジネスでの活用について話してきましたが、それだけではなく個人の方にも役に立つ本になっています。今、挑戦していることがあまり上手くいっていない人たちにもヒントになると思いますし、上手くいっている人も初心を振り返るという意味で大事なことを書いています。
竹内: まさにそうだと思います。今って差別化がすごく難しくて、良いものはすぐに真似されますよね。だからこそ、そこで知名度が強い武器になる。自分のいるジャンルの中で名が一番知れ渡れば、それだけで差別化になります。
竹内: 例えば営業マンでも、同じ商品を売っているのに売れる人と売れない人がいますよね。動画もそれと一緒で伸びる動画と伸びない動画があります。その伸びるための道筋をデータで取ってこの本に落とし込んでいます。
実は後発だからこその優位性というのもあります。上手くいっている見本、上手くいかなかった見本がすでにあって、それをカンニングできるというのがこれから参入しようとしている人たちにとっての大きなメリットなんですね。だから、遅いからといって不利ではなく、確率の高い方法を先輩たちが教えてくれるので、そこをしっかり読み解けば逆に有利になるということをお伝えしたいです。
(了)
竹内 亢一
株式会社Suneight 代表取締役
1981年、三重県生まれ。中学校卒業後にミュージシャンを目指し鞄ひとつで上京。バンド活動で訪れた海外にて「映像」が秘める可能性の大きさに注目し、2006年から動画制作を独学で始める。YouTuberやコンテンツマーケティングといった言葉が日本で広まる前からYouTubeに着目し、2013年YouTubeマーケティング会社「Suneight」を設立。【顧客を話題の真ん中に】を理念に10年間培ったノウハウで上場企業から個人事業主までを成功に導く。『令和の虎』にも出演中。動画マーケティング国内トップクラスの実績を誇る。現在はタイに拠点を移し、動画マーケティングASEANナンバーワンを目指し、知名度を磨いている。
著者:竹内 亢一
出版:クロスメディア・パブリッシング
価格:1,738円(税込)