経営課題をすべて解決するカイゼン思考
利益最大化・資金繰り安定・組織健全化
著者:川越 貴博
出版:現代書林
価格:1,650円(税込)
著者:川越 貴博
出版:現代書林
価格:1,650円(税込)
トヨタ自動車が提唱する「カイゼン」は、これまでに製造業の生産現場を中心に多くの企業で行われてきたあまりにも有名なフレームワークであり、生産性向上のためのある種の「哲学」である。
この「カイゼン」の粋は、つねに現状を疑い、見直し、絶え間なく修正を施すこと。この積み重ねによって全体として大きな効率化を成し遂げることができる。となると、製造業以外にも応用できるのではないか。
カイゼンとは、製造現場において、単に業務効率化するための取り組みではありません。
現状を正しく認識して課題を見つけ出し、解決策を速やかに実行に移し、その結果を検証していくのです。(p.5より引用)
『経営課題をすべて解決するカイゼン思考 利益最大化・資金繰り安定・組織健全化』(川越貴博著、現代書林刊)は、製造業で行われてきた「カイゼン」を業界や業種を超えて応用できる「カイゼン思考」にブラッシュアップ。日々経営の現場で起きている様々な課題を解決していくことを目指す。
1. 見える化する
自社の現状を把握し、見える化する。カイゼンすべき課題を洗い出す。見える化は客観的・定量的に行う。
2.目指すべき姿を決める
洗い出した課題を解決した先にある「あるべき姿」を決めて、具体的な目標を設定する。
3.予測する
目指すべき姿に至るための具体的なアクションプランを決める。そして、その行動を起こしたのちに自社がどう変化するかを予測する。希望的観測に陥らないよう、最悪の事態も想定しておく。
4.行動する
アクションプランを実行する。その結果どのくらい改善されたのかという変化を記録しておく。
5.評価する
「自己評価」「費用対効果評価」「第三者評価」の三種類の評価を行う。
カイゼンのプロセスはおおむねこの5つ。5まで行ったら再度1に戻り、新しい課題を見つけ対処していく。製造業の現場だけでなく、経営の現場でも威力を発揮するサイクルである。
思ったように利益が出ない、資金繰りが安定しないといった経営上の課題に対して、「カイゼン」の手法をどのように使えばその課題の解決につながるのか。本書では5つのプロセスのそれぞれについて、実例を交えてポイントを解説していく。
組織全体を見わたすことができるのは、経営陣のみ。各部署にとっては「善」でも、会社全体としては「悪」である状態は決して珍しいことではない。こうした「部分最適」の中に組織の課題が潜んでいることは多い。
自社の表向きの課題の中に潜む「真の課題」を見極め、それを解決することができれば、組織は必ず伸びていく。その方法を本書は授けてくれる。経営者必読の一冊である。
(新刊JP編集部)
■製造業で培われた「カイゼン」が会社経営で生きるワケ
川越: トヨタ自動車では作業現場のカイゼンを実施すると、実行したカイゼンに対して報酬がもらえる仕組みになっていました。入社当時はその報酬目的でカイゼン活動に邁進していましたが、大量のカイゼンを実行していくうちに作業現場が劇的に変わり、現場グループ内で1番生産性の高い場所になっていたことに快感を覚えたことを今でも記憶しています。
川越: そうですね。役職や立場や持ち場は関係がなく、全員がやる活動という位置づけでした。
川越: 一つひとつは小さいことなんです。たとえば配線やコードがむき出しになっていたら、台車が引っかかったり、工員がつまづいたりするので、カバーをつけたり。
あとは工作機械を動かすのに油を使うのですが、使い終わった油をそのまま廃油にするのはもったいないし、補充も面倒なので、使い終わって垂れ流しになっている油を一度回収して、ろ過して再利用する仕組みを作ったらすごく評価してもらったということもありましたね。これは工場内の他のグループにも導入されました。
川越: トヨタ自動車ではトヨタの「三現主義(現地・現物・現実)」にもあるようにリアルが変化しなければ進歩も進化もしないことを教わりました。アマゾンではコンシューマーに向けてサービスを提供するには絶対的なお客様第一主義でなければサービスを使っていただけないということを学びました。
川越: 製造現場での「カイゼン」とは生産性、能率を極限まで高めるための創意工夫であるため、ものづくりにしか作用しないものと理解されてきました。しかし、私はクライアント企業へのアドバイザリーを通じて、相手企業の経営課題を解決していくためのPDCAサイクルも「カイゼン」と同じプロセスできることを体感してきましたし、実際にいくつもの企業の業績を好転させてきました。
ただ、単純に製造現場の考え方を経営にそのまま持ち込んでしまうと、コストへの考え方が「とにかく削減」という方向に行きやすいんです。経営は使わなければいけないお金もあるので、とにかく削減するというのではなくて、費用対効果を考えてPDCAを回していくことをおすすめしています。
川越: 経営に関わる全ての項目にカイゼン思考を使って取り組むことによって、1年で売上がコロナ前の1.5倍に、営業利益が3倍になって黒字転換したクライアントがあります。この点がカイゼン思考の真骨頂と言える部分で、導入することで売り上げや利益の増加に結びつきやすいんです。
ただ、この会社が変われたのは社長さんだけでなく従業員の方々が積極的にカイゼン活動を理解して取り組んでくれたおかげだと思っています。
■経営がV字回復!会社を蘇らせる「カイゼン思考」の要諦
川越: そうですね。これまで100社以上の会社様と関わらせていただいたのですが、その中には経営がジリ貧で「助けてください」という状態の会社が10社ほどあって、そのうちの7社をV字回復させてきているので、「カイゼン思考」は業種問わず様々な会社の経営改善に使えるという手応えは感じています。だからこそ、今回本にさせていただいたのです。
川越: クライアント企業の中には超大手企業も、中小零細企業も、スタートアップベンチャーもあります。業種業態や規模はあまり関係ないと考えています。
川越: 中小零細企業の場合はそれこそ「経営を立て直したい」「とにかく売上を上げたい」というご相談が多いです。経営全般に関わるものが多いですね。
あとは新規事業を始めるためにある会社を買収したけれど、PMI(M&A後の統合プロセス)がうまくいっていないから現場のプロとして見てくれないかといったご相談もあります。会社全体のアイデンティティやパーパスの構築を手伝ってほしいといった依頼もありますね。
川越: 「見える化する」は、主観を排して、客観的・定量的に行うことが大切です。会社の問題点はパッと目につくものばかりではなく、隠れていることも多々あります。また、問題なのに当たり前になりすぎて問題だと気づきにくいケースもあります。
「目指すべき姿を決める」のは現状を把握したうえで目標を定めるプロセスなのですが、手の届く目標を定めることがポイントですね。現場のマネジャーが上司を喜ばせようと手の届きそうもない目標を立ててしまうこともあるので。
「予測する」は、定めた目標を達成するための行動によってこんなことが起きるというのを予測することです。ここでは「いい結果」が出た場合のことだけでなく、そうでなかった場合のことも予想しておきましょう。
「行動する」は「目指すべき姿」に近づくためのアクションプランに沿って施策を実行すること。ここでは全従業員に「失敗してもいいし、下手でもいいから、とにかくやろう」という意識づけをすることが大切になります。
「評価する」は「自己評価」と「費用対効果評価」「第三者評価」の三つの側面から評価していくことがポイントです。
川越: 経営者の方のみならず従業員の方々の人材育成の教科書としてや行動研修や全体最適視点を身につけたい時に常に携帯していただいても活用できる書籍となっています。
「カイゼン思考」は考え方なので、私生活からちいさなところを少しずつ変えていくことで、積もり積もって大きな変化に結びつくということを体験していただけると、人生が好転するきっかけになるのではないかと思います。その方が仕事にも取り入れやすいですしね。
川越: 会社経営をしていると課題が0になることはありません。何か課題に直面した時に本書が課題解決のお役に立てると確信しております。なぜなら私自身がこれまで多くの企業でカイゼン思考を用いて課題解決を体現しているからです。ぜひ会社経営のバイブル本にしていただいて、より良い豊かな会社経営を実現していってください。
(新刊JP編集部)
川越 貴博(かわごえ・たかひろ)
大阪府生まれ。1996年トヨタ自動車へ入社し、自動車部品製造やさまざまなカイゼン活動に従事。その知見を生かして食品メーカーへ転職し、倒産寸前の状況からのV字回復を成し遂げる。AmazonでのFCマネジメントを経験した後、スタートアップ2社で取締役としてマーケティングや財務、人事・労務、広報・PRなどを担当。2018年TESICを設立。製造業に止まらず卸業やITベンチャー、サービス業界まで幅広い業界の経営改善に携わる。
著者:川越 貴博
出版:現代書林
価格:1,650円(税込)