ページトップへ

誰でも無理なく継続的にお客様が集まる 起業1年目の集客の教科書

このエントリーをはてなブックマークに追加

本書の解説

組織で働いている人であれば、誰でも一度くらいは「起業」を考えたことがあるのではないか。具体的な計画ではなくても「俺は会社を離れてどれくらいやれるんだろう」とぼんやりと考えるくらいのことはするものだろう。

ただ、その中で実際に起業する人はごくわずか。では何が足かせになっているのだろうか?

その一つは「集客」だ。「会社員時代の顧客を引き連れて独立」というケースがないわけではないが、大半はイチから営業して、自分のビジネスの顧客を作り出さなければならない。たしかにハードルは高そうだし、できたとしても時間がかかりそうだ。もちろん、すでに起業しているが、身をもって集客の難しさを体験しているという人もいるだろう。

「起業1年目はお客を探すな」の意味とは?

しかし、集客とは決して難しいものでもハードルの高いことでもない。

誰でも無理なく継続的にお客様が集まる 起業1年目の集客の教科書』(かんき出版刊)の著者、今井孝氏は「集客とはシンプルな活動。その本質を理解し実践すれば一生困ることはない」として、起業してすぐに集客できる人とそうでない人の違いを明らかにしている。

その一つが、「起業1年目から集客に困らない人は、お客様を探そうとしない」。この意味がわかるだろうか?

今井氏いわく、集客に困る人ほど起業した時に「買ってくれそうな人」を頼ってしまうそう。具体的には親族や友人などだ。それらの人々は確かに関係性上あなたのセールストークを聞いてくれるだろうし、顧客になってくれる確率は高いかもしれない。しかし、すべての親族と友人に当たった後、あなたにはセールストークを聞いてくれる人が誰も残っていないことになる。そこで行き詰まってしまう。

だからこそ、集客に困らない人は「顧客になってくれそうな人」ではなく、「話を聞いてくれそうな人」を増やそうと努力する。つまり「お客様」ではなく「見込み客」を探すことで、セールストークをする相手が尽きないようにしているのだ。セールストークさえできれば、そのうち何割かは顧客になる。これが継続的で安定した売り上げを早く立てるコツだ。

集客を始める前に考えておくべきアイデアは「最低30個」

また、集客がうまくいかずに行き詰まってしまう原因として、今井氏は「打つ手が尽きてしまうこと」も挙げている。

いろいろな集客法を試したがうまくいかず、「万策尽きた」という状態になってしまうと、それ以上ビジネスを続ける気力が折れてしまう。気力が折れてしまえば、うまくいくビジネスもうまくいかなくなってしまうものだ。そうならないように、集客のアイデアは事前にストックしておくことが大切になる。

ストックの数は少なくても30個。「次に打つ手」がまだたくさんある状態をキープすることで、前向きな気持ちでビジネスを続けることができるのだ。

同時に、少し試して結果が出なかっただけで、その方法は効果がないと見切りをつけてしまうのも考えもの。ある程度は同じ方法の中で試行錯誤をするのも大切だという。

本書を読むと、集客に成功する人がビジネスをどう考え、どの考えを具体的行動にどう落とし込んでいるかがよく理解できるはず。これから起業しようという人はもちろん、すでに起業している人が読んでも学びは大きいはず。失敗しない起業をするために知るべきこと、試すべき方法を得るために活用してみてはいかがだろう。
(新刊JP編集部)

インタビュー

サラリーマンの知識と人脈では起業で勝てない

―― 今井さんの最新刊『誰でも無理なく継続的にお客様が集まる 起業1年目の集客の教科書』は、「起業1年目シリーズ」の3冊目になります。今回「集客」をテーマにした理由はどのようなところにあるのでしょうか。

著者、今井孝さんお写真

今井:起業しようとする人は、集客をどうするか考えていないことが多いんです。やり方がわからないのではなくて、「商品が良ければ売れるだろう」と漠然と考えていて、そもそも集客のことが頭にない。

事業を始めて売上があがらずに困ってからようやく集客の必要性に気づき、勉強を始めるというケースがよくあります。ですので、早いタイミングで集客のことも考えていただくように、このシリーズでも書いておくべきだと思ったんです。

―― 起業してすぐのタイミングでは、商品を売ることそのものよりもまずは見込み客を増やす努力をすべしとしています。

今井:そうですね。いきなり売るんじゃなくて、まずは「たくさんの人と仲良くなること」を心がけると良いと思います。近しい関係の「商品の説明を聞いてくれる人」に頼ってばかりいると、いずれその「商品の説明を聞いてくれる人」そのものがいなくなり先細りになってしまいます。

「商品の説明を聞いてくれる人」、つまり見込み客をどう増やすかを考えなければなりません。

―― 起業したばかりの人ですと、「集客で何をしていいかわからない」という人もいるかもしれません。今井さんのなかに「まずこれから始めるべき」という初めの一歩にあたる打ち手がありましたら教えていただきたいです。

今井:まずは「起業家仲間」を増やすことでしょうね。その中には色々な集客アイデアを実践している人がいるでしょうから、具体的にどうやっているのか聞いてみると得られるものは多いと思います。

これは私自身の実感でもありますが、サラリーマンの知識と人脈だけだとなかなか難しいものがあるので、集客面に限らず起業している知り合いを増やすのは大切なことだと思います。

―― 起業をする上で集客が大きな不安要素なのは確かですが、それだけを理由に起業しないのはもったいない気がします。集客できるかが不安で起業をためらっている人にアドバイスを送るとしたらどんなことを言いますか?

今井:会社に勤めながら試せることは試してみればいいと思います。一番良いのは新規事業に手を上げてみることかもしれません。

そうでなくても、会社でやれる小さなテストはたくさんあります。集客って結局人をいかに動かすかなので、会社の仕事の中で人を動かす練習をしてみればいい。メールにこんな文面を書いたらこんな反応がきたとか、こんな言い方をしたら周りの人が動いてくれたとか、会社の中で小さなテストを繰り返しながら人を動かす感触をつかんでいくことで、段々と自信がついていくと思います。

―― 起業全般についてお聞きしたいのですが、起業したばかりの人がやりがちなミスや悪手にはどのようなものがありますか?

今井:概念的な言い方になってしまうのですが「今の自分」からスタートすることが大事です。お客様に対してことさら自分を大きく見せるようなことをすると、後々自分が苦しくなってしまうので。

お客様に「こんなことできる?」と聞かれて「やります」と答えるのはいいんですけど、無理に自分を装う必要はないと言いますか。夢を大きく持つのは素晴らしいことですが、その実現のためには背伸びせずに一歩一歩進んでいくのが一番です。

―― 起業1年目の「成功」の目安というのはどういったものなのでしょうか。

今井:そこはもうその人次第といいますか、まず自分なりの成功の基準を決めてからスタートすべきだと思います。

―― 今井さんも会社員から独立起業されていますが、1年目の目標はどこに置いていましたか?

今井:私は1年目は「食っていければOK」という感じでした。まずは最低ラインのハードルを超えると。

―― 「サラリーマン時代より稼ぎたい」というような気持ちは。

今井:なくはなかったのですが、1年目はそこまでの余裕はなかったかもしれません。とにかく早く採算が取れる状態にしないと、という気持ちばかりでした。ただ、1年目は結局失敗でしたね。赤字でしたし。

―― 当時は集客もうまくいかず、という状態ですか。

今井:1年目は全然集客できませんでしたね。セミナーを開いたりしても1人しか来なかったこともありましたし。でも、みんなそこからスタートなんですよ。そう考えると勇気が出ました。

―― 転機のようなものはあったのでしょうか。

今井:マーケティングをきちんと勉強したことでしょうね。それまでは見よう見まねでやっているだけで、マーケティングとは何かという本質を理解していませんでした。

私が会社を辞めて起業しようと思ったきっかけは手がけていた新規事業が成功したことだったのですが、大企業だったので集客といっても既存事業の顧客からある程度確保できていました。新規に顧客開拓する必要はそれほどなかったんです。だから、マーケティングについては、あまり理解していなかったんですよね。

―― 集客・マーケティングを勉強してからどんなことが変わりましたか?

今井:まずは商品の見せ方、いわゆるコピーライティングが変わりましたよね。商品にどんな価値があるのかを定義して伝えられるようになったことが大きかったと思います。

集客については、最初はとにかく思いついたアイデアを「数撃ちゃ当たる」的に試していただけなのですが、段々と成果が出るようになってノウハウが蓄積されていったように思います。

―― 集客のアイデアについては常に30個以上はストックしておくべしとされていました。一方で、ちょっとダメだったからといってすぐにやり方を変えるのは良くないとも書かれています。一度始めた集客のアイデアや方法に見切りをつけるタイミングをお聞きしたいです。

今井:ある方法について、ダメな理由が論理的に説明できるならやめればいいと思います。

集客方法自体に良し悪しはあまりないんですよ。YouTubeで成功する人もいれば、チラシを撒いて成功する人もいる。手法の問題ではなく、成功するまでやるかどうかが大事で、もしうまくいっていないならそれは基本的に方法が悪いのではなくて行動量が足りていないと思った方がいいですね。

起業は「コツコツを楽しめる人」が成功する

―― 「起業1年目シリーズ」で一貫して伝えたいメッセージはありますか?

今井:一作目の『起業1年目の教科書』でテーマにした「階段思考」ですかね。自分が今できることを、小さなことでも続けていけばいずれ必ず目標に到達できるというのは、シリーズ全体を通して伝えたいです。

地道にコツコツっていうと、あまり好きじゃない人もいるんですけど、本当は毎日ちょっとだけやれば良いというのは楽なんです。コツコツを楽しめるようになると成功したも同然です。実際、毎日少しずつ成長しているのを実感するのは、とても楽しいことですよ。

―― コツコツを楽しめる人が成功する。

今井:今回の本に「やりたくない方法をやりたくする」と書いたのですが、やりたくないことを避けるのではなくて、「どうすれば楽しくできるだろうか?」と問いかけて、捉え方を変えるのが正解です。

コツコツやるのが嫌いだとしても、コツコツやらずに済む方法なんてそうそう見つかるものではありません。それならどうすればコツコツが楽しくなるかを考えるのが、結局は起業成功への近道なのではないかと思います。

――起業1年目の教科書』では今井さんもかつてはビジネスを難しく考えて最初の一歩を踏み出せない一人だったと書かれています。それが変わったきっかけは何だったのでしょうか。

今井:起業する前に起業家の方々とたくさん知り合ったことだと思います。会社員時代は、起業ってなんだかものすごいことのように考えていたんですよ。緻密な事業計画をたてて、金融機関から資金調達をして、というイメージです。

だけど、セミナーなんかにいくと、ちょっとしたビジネスで何億円も稼いでいるような人がたくさんいるわけです。「そんなことでいいの?」とあっけなく思うほどでした。「そんなのでいいなら自分でもできるな」と思えたことが大きかったと思います。

―― 2作目の『ゼロからいくらでも生み出せる! 起業1年目のお金の教科書』では、起業する際のお金のかけ方やサービスの価格設定について解説しています。起業する人にありがちな「お金」についての失敗について教えていただきたいです。

今井:どうでもいいことにお金をかけてしまうことですね。さして使わない設備を買ってしまったり、オフィスを無駄に豪華にしてしまったり。

起業当初に一番意味のあるお金の使い方は、「見込み客を集めるための投資」だというのを忘れないでいただきたいです。

―― 想定している読者は起業したての人や、これから起業する人だと思います。その中でも「こんな人に特に読んでほしい」という人物像やレイヤーはありますか?

今井:基本的には起業を難しく考えて一歩目が踏み出せない人ですね。これはほとんどの人がそうで、たとえビジネスの方法を学んだり、ノウハウ本を読んだとしても、すぐに動けるひとは一割もいません。そういう人を救いたいと思って書いています。

―― 最後になりますが、このシリーズの読者の方々にメッセージをお願いいたします。

今井:起業家が新しい世界を作りつづけていきましたし、これからもそうです。

起業は誰しもが成功するわけではありません。もしかしたら成功するのは1000人に1人くらいかもしれません。でも、それにチャレンジする人がいるからこそ世の中は進歩していく。チャレンジすること自体に誇りをもってやっていただきたいと思っています。このシリーズがそのための一助になればうれしいですね。

(新刊JP編集部)

書籍情報

目次

  1. 第1章 集客のシンプルな原理原則
  2. 第2章 集客の第一歩
  3. 第3章 集客に対する苦手意識を克服する
  4. 第4章 集客できるコンセプト
  5. 第5章 集客プラン
  6. 第6章 集客力を最大化する
  7. 第7章 集客から営業へ
  8. 第8章 利他の集客
  9. 第9章 集客が苦しいときの処方箋

プロフィール

今井 孝 (いまい・たかし)

株式会社キャリッジウェイ・コンサルティング 代表取締役。

1973年大阪生まれ。大阪大学大学院修了。
大手IT企業に約8年在籍し、新規事業を成功させる。独立1年後に始めたセミナーには10年連続で毎回300人以上が参加。
トータルでは6,000人以上になる。また、マーケティングに関するさまざまな教材が累計3,000本以上購入されるなど、3万人以上の起業家にノウハウや考え方を伝え、最初の一歩を導いた。

誰にでもわかりやすく、行動しやすいノウハウと伝え方で、「今井さんの話を聞いたら安心する」「自分でも成功できるんだと思える」「勇気が湧いてくる」と、たくさんの起業家に支持されている。

しかし、自身の起業当初はセミナーを開催しても閑古鳥が鳴き叫ぶことばかり。数百万円を投資して制作した商品はほとんど売れず、部屋を占領する在庫の山に。ネット広告につぎ込んだ資金は一瞬で消えてしまい、胃の痛みと闘いながらの「起業1年目」は散々なものだった。

どん底から脱するきっかけは、他人に貢献するためにビジネスを楽しむことだった。そのことを、さまざまな切り口から伝え続けている。

著書に、ベストセラーになった『起業1年目の教科書』(かんき出版刊)がある。