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売上げを10倍にする接客&販売術 神対応のおもてなし

売上げを10倍にする接客&販売術 神対応のおもてなし
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神対応と塩対応の分かれ目はここだ! カリスマ販売員が語る接客の極意

売上げを10倍にする接客&販売術 神対応のおもてなし 100万人の教科書

  • 定価:
    1,300円+税
  • 著者:
    茂木久美子
  • 出版:
    神宮館
  • ISBN-10:
    4860763440
  • ISBN-13:
    978-4860763442

解説

これぞ心を動かす神対応!おもてなしとサービスの違いで売上げ倍増

東京オリンピックの招致に成功して以来「おもてなし」が注目されている。
デパートや飲食店、ホテルなどでは「おもてなし」をウリにし、どこでも「おもてなし」のオンパレードになっているが、それだけで売上げを伸ばすのはなかなか困難な状況ではある。

自然と売上げが上がる神対応

こうした状況下、「おもてなし」で驚異的な売上げを立てた販売員がいた。『神対応のおもてなし』(神宮館刊)の著者、茂木久美子さんだ。

茂木さんは山形新幹線の車内販売をしていたときに、1往復の平均売上げが7~8万円のところ、片道だけで57万円を達成した。これは東京都内のコンビニの丸一日分の平均売上げに相当する。

茂木さんの接客は、他の販売員と何が違っているのか。
象徴的な例として挙げられるのが、お客様から代金を受け取るときの心がまえである。

茂木さんはお客様から硬貨を受け取るとき、必ずその温度を手のひらで確認する。そして「温かいな」と感じたら「ずいぶんお待ちいただいたのですね」と言葉をかけるのだ。

多くの販売員が機械的に「ありがとうございます」とだけ言って終わらせてしまうお会計での対応。しかし、そこでプラスαを加えるところに売上げ10倍の秘密が隠されている。

「おもてなし」と「サービス」の使い分けでお客様を満足させる神対応

茂木さんは接客や販売向けの研修会で必ず「おもてなしとサービスは違う」と教える。
この2つの違いがわからず、「おもてなし」を「サービス」とはき違えている販売員が多いのだという。
その違いは「おもてなし」はお客様に心を伝えることであり、見返りを求めないこと。一方「サービス」はお金をかけて、おまけをつけたり安くすること。

つまり計画的な対応よりも、見返りを求めない対応の方がお客様もうれしさを感じるのである。

目先の売上げではなく、将来の売上げにつなげる神対応

もうひとつ、良い意味で型にはまらない茂木さんの接客例を紹介しよう。
それは、赤ちゃんを抱いた母親がお弁当を注文してきたときのこと。

茂木さんはこの注文を受けたとき、「サンドイッチなら片手でも食べやすいですよ」と提案した。というのも、赤ちゃんを片手で抱えたまま、箸でお弁当を食べる母親の姿を想像できなかったからだという。

親身になって考え、「この提案なら喜んでもらえるはず」と思うことなら、ときにはお客様からの注文をひっくり返すというわけだ。

お弁当は1000円、サンドイッチは500円なので、売上げは半分になってしまう。しかし、目先の売上げを優先せず、あくまで「お客様のため」になることを徹底することにより、長期的には売上げを伸ばすことができたという。

ピンチをチャンスに変える神対応

ところで販売員にとって、最も難しいことの一つが、子連れ客にアイスクリームを売ることだという。

多くの子どもが大好きなアイスクリーム。だが親にしてみると、旅先でお腹をこわされては困るため、できれば食べさせたくない。

そこで茂木さんは、ひと工夫こらす。子どもの座席から離れている場所で「冷たいアイスクリームをお持ちしました」とアナウンスするのだ。

なぜなら、母親に「考える時間」を与えるためだという。

座席のそばにきてから急にアナウンスすると、母親は反射的に「いりません」と言ってしまいがち。しかし前もって言えば、母親にも気持ちにゆとりが生まれ「今日は旅行で特別なんだし」「普段は我慢させることが多いから…」と、「買ってあげる」ほうに気持ちが傾くことが多いのだという。

本書では、他にも「熱い飲み物を渡すときには『熱いのでお気をつけてください』と言わない」「お客様との雑談では、天気や気候の話をしない」など、現場を知り尽くした茂木さんならではの知恵と神対応が詰まっている。

「お客様と心の触れ合いができた」と感じるその瞬間の喜びは、神様からのプレゼントではないだろうか。その喜びをもたらしてくれるのが「神対応」だとすれば、単に接客や販売という世界にはとどまらず、人生全般、人の心を大切にする生き方や人間関係にまで広がる一冊といえよう。

(新刊JP編集部)

インタビュー

「クレームの多いお客様の方が楽です」
カリスマ販売員の目からウロコの発想法

どの世界にも「カリスマ」と呼ばれるほど圧倒的な成果を出す人はいる。
以前、山形新幹線の車内販売をしていた、『神対応のおもてなし』(神宮館刊)の著者、茂木久美子さんも、その一人だ。

そのカリスマぶりはといえば、往復の平均売上げが7~8万円のところ、片道4時間で57万円を達成したこともあるほど。車内販売の商品ラインナップが、どんなに高額なものでも1000円台であることを考えれば、この数字がいかに驚異的なものなのかがわかる。

現在は接客研修の講師も務める茂木さんは、接客において何を大切にしているのか。詳しくお話をうかがった。

カリスマ販売員がクレーマーに思うこと

―― 茂木さんは、どのようにして接客技術を磨いていったのですか。

茂木久美子さん写真

茂木:まず職場環境として、先輩が手取り足取り指導してくれるというような感じではありませんでした。お客様からのクレームも、すべて自分ひとりで受け止めていかなくてはいけなくて。そのことを辛く感じ、すぐに辞めていってしまう人が多い職場でしたね。

そんななか私のあとに後輩たちがどんどん入ってきたこともあり、彼女たちと一緒に接客技術を磨いていきました。

―― 「後輩と一緒に技術を磨いていった」とは、どういうことですか。

茂木:お客様のなかには色々な方がいます。当然、お酒を飲んでいるお客様から理不尽なことをいわれるケースもあるわけです。これは自分も含め、高校を卒業して間もない「小娘」には結構こたえるもので……。

そこで後輩たちと「今日はこんなお客様がいて頭に来た」「こういう接客をしたら喜ばれた」といった話をするための場をつくりました。結果的には、この話し合いが、接客技術を向上させるきっかけになったんです。

―― なぜそれがきっかけになったのですか。

茂木:当時、販売員の間で有名だった、ちょっと理不尽なお客様がいたんですね。その方にどう応じるべきか、各々の意見を出し合っていました。すると話すうちに、メンバーの間で「実は、接客する上でいちばんラクなのが、クレーマーなのではないか」という共通認識が芽生えていったんです。

たしかに、クレームをいわれれば腹が立ちます。でも考えようによっては、これほどわかりやすいお客様もいないよね、と。「こうしてほしい」とハッキリ示してくれているわけですから。その意味では「何も言わない、何も買ってくれない」お客様のほうが難易度は高いよねという話になったんです。

この気づきを得て以来、どうすれば「もの言わぬ」お客様の心を動かすことができるのかを考えるようになりました。そのころからですね、「お客様はひとり一人違う。だからこそ、ひとり一人、違う対応をしないといけない」と意識するようになったのは。

結果、「ああしたほうがいいんじゃないか、こうしたほうがいいんじゃないか」とアイデアがどんどん出るようになり、接客技術も次第に上がっていったんです。

「とにかく笑顔で」は思考停止につながる

―― いま「ひとり一人に違う対応を」というお話がありましたが、たしかに茂木さんが本書のなかで紹介している接客エピソードはどれも「マニュアル感」がありません。

茂木:マニュアルは大切です。でも同時に、越えなければならないものでもあると思っています。

接客サービスの世界において、研修でいちばん最初に教わるのは「笑顔」。とにかく「笑顔が大事」だと叩き込まれます。

元々、日本人は表情が固いからということで、アメリカ式の「スマイル研修」が積極的に取り入れられてきた背景があります。たしかに、笑顔がお客様へのおもてなしにつながる面はありますが、行きすぎれば「マニュアルをこなしているだけ」になってしまう。

そこで私は、研修の場などで「笑顔より表情」ということをよく言うんです。「二流は笑顔どまり。一流には表情がある」と。

―― 笑顔よりも表情、ですか。

茂木:お客様ひとり一人をきちんと見ていれば、自ずとこちら側の表情もできあがっていくということをお伝えしたいんです。無理に笑顔をつくろうとしなくても、お客様がうれしそうにしているのが見てとれれば自然と笑顔になるものですよ、と。

黒いネクタイをしたお客様がいたとしましょう。ここでネクタイの色にきちんと目がいっていれば、葬儀か法事の道中なのだなと察しがつきます。間違っても、笑顔で話しかけたりはせず、悲しそうな表情になるでしょう。

これはやや極端な例ですが、お客様の様子をきちんと見ていないばかりに、見当違いな接客をしてしまうというのは、よくあることです。だから、「とにかく笑顔」と思いすぎるのは危険だといいたいんです。

―― たしかに「笑顔になろう」と思っている時点で、無理がある気がします。

茂木:はい、笑顔は「なろうとするもの」ではなくて、「気づいたらなっているもの」だと思っています。

そういえば、この販売員の仕事をはじめて3ヶ月ほど経ったころ、何人ものお客様から「なんでそんなに笑ってるの?」といわれるようになっていました。傍から見たら、ちょっとこの人あぶないんじゃないかっていうくらい(笑)、ニコニコしていたようです。

なぜそんなにも笑顔になれていたのかといったら、お客様が商品を買ってくださるということを通じて、「ここにいていいんだ」みたいな、何か自分の居場所を見つけられたような感覚があったからでしょうね。

カリスマ販売員が仕事を終えてから必ずしていた「準備」とは

―― 茂木さんが、販売員の仕事をする上で大切にしていた「準備」とは、どのようなものでしたか。

茂木久美子さん写真

茂木:まず、仕事帰りの電車のなかで「その日あったこと」をしっかり振り返るようにしていました。

「あのお客様、『孫に会いに行く』と言っていたけど、いまごろ東京に着いて会っているのかなぁ」「今日はあまりビールが売れなかったな」と、いいことも悪いことも、全部ひっくるめて。振り返るなかで、「もっと、こうしておけばよかった」という改善点が見えてくるからです。

それと、翌日のシミュレーションも必ずやっていましたね。翌日、自分が乗車する時間帯をチェックした上で天気予報やイベント情報などを調べ、「明日は晴れて暑くなりそうだし、ダンスの全国大会があって学生さんも多く乗ってきそうだから、今日よりもジュースを沢山積むようにしよう」などといった具合です。

「車内販売って、どのワゴンでも同じものを積んでいるんじゃないの?」と思われるかもしれませんが、何の商品を積むかは、それぞれの販売員の裁量に委ねられているんですよ。

―― なるほど、翌日のシミュレーションをする上では、そういった調べものが欠かせなかったんですね。

茂木:それに、お客様との雑談のために、ネタを集めたりもしていましたよ。「できるだけ旬な話題を」と思って。

―― 新幹線の乗客者は層が幅広いと思います。ひと口に「旬な話題」といっても、候補になるものが膨大にありすぎて大変ではありませんでしたか。

茂木:そうですね。なので、できるだけ身近で誰しもが興味を持ってくれそうなものから選ぶようにはしていました。鉄板ネタだったのは、占いや血液型に関するものでしたね。

「天気がいいですね」はマニュアル接客でしかない

―― いまのお話と関連するかもしれませんが、本書のなかで出てくる「雑談接客」という言葉が印象的でした。

茂木:雑談接客とは、お客様ひとり一人に合わせた雑談をすることを指します。

たとえば、常連のお客様でお子さんがいることを知っているなら、「(お子さんは)おいくつになられたんですか?」と聞いてみる、初めて話すお客様なら「和服がとてもお似合いですね」と、パッと見で得られる情報をもとに褒めてみるといったイメージです。

―― 「ひとり一人のお客さんに合わせて」というところがポイントでしょうか。

茂木:おっしゃるとおりです。接客サービスの世界では、まず「いらっしゃいませ」「こんにちは」とお客様に声がけした上で、「さらにもうひと声」かけるよう教育されます。

そこで使われがちなのが「天気がいいですね」というフレーズ。
でも、これではマニュアル接客の域を出ておらず、雑談接客にはなりません。挨拶みたいなもので、誰にでも通じる話だからです。

こう言ってしまうと、ハードルが高いと感じる方もいるかもしれませんが、あくまで「中身のない」雑談でOKです。いつでもサッと切り上げられるぐらいの軽い話題で構いません。

―― ちなみに、ものすごく話の長いお客さんに当たってしまった場合の、良い対応・悪い対応はそれぞれどのようなものですか。

茂木:まだ話の方向指示器が販売員に向いているうちに、「またあとで来ますね」と話を切り上げてしまうのはよくありません。そのような対応をされると、お客様は「話が長かったのかな」とショックを受けてしまうからです。

一通りお客様が満足いくまで話をして、「あなた、どう思う?」とこちらに感想を求めてくるような、話の方向指示器が逆方向になったタイミングで切り上げるのが望ましいです。

―― なるほど。でも、あまりに話が長引くようなら、お客さんを傷つけずに早く切り上げるための方法も知りたくなってしまうのですが……。

茂木:どんなケースでも使えるというわけではありませんが、近くに座っているお客様を巻き込むというのは、ひとつの方法でしょうね。
いま嬉々として話しているお客様Aがいたとして、近くのお客様Bにも話に入ってもらう。そのふたりの会話が盛り上がり始めたところで、サッと自分は立ち去るわけです。

―― すべてを自分ひとりで対応しようとするのではなく、うまく周りの人の力も借りるということですね。最後になりますが、読者の皆様へメッセージをお願いします。

茂木:最近よくメディアで「10年後になくなる仕事」という特集が組まれているのを目にします。この話の流れに沿っていうなら、マニュアル接客の域を出ない仕事は今後どんどん機械に取って代わられていくと思うんです。

また、「なくなる」まで行かなくても、マニュアル接客というのは、ひとつミスをするごとに失点してしまう、減点主義のものでしかありません。
その点、本書で紹介しているような脱マニュアル接客は加点主義。自分らしい、人間らしい接客をすればするほど、お客様とのつながりが強くなっていきます。

本書を手にとっていただくことで、接客や販売というものについて見直す機会を持っていただけたらうれしいですね。

(新刊JP編集部)

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