インタビュー
元ソニー米国法人のエリートが行き着いたスピリチュアルの世界
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『魂の目的を知れば、人生はうまくいく』について、まずは本書をどんな人のために書かれたのかをお聞きしたいです。
礒:広い答えになってしまいますが「すべての人」です。というのも、私はどんな人も生まれてくる時に「魂レベル」の目的を持って生まれてきていて、その目的を知っている人の方が、そうでない人よりも有意義な人生を送れると考えています。
中でも、人生の生き甲斐や、打ち込むべきもの、ライフワークと呼べるものを探している人にとっては特に参考になるはずです。
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礒さんは日本とアメリカを行き来しながらスピリチュアルライフコーチとして活動されています。今おっしゃった「魂」ですとか「人生の目的」といったことについて、受け止められ方の違いはありますか?
礒:アメリカでは、人生のゴール設定を魂の目的に沿ったものにしようという表現はよく使われるので、「魂レベルの目的」という話をしても、みなさん当たり前のように理解してくれます。
「人生の目的」をそのまま英語にすると「Life purpose」となりますが、アメリカの人はこの「Life purpose」を自覚的に追い求めている人が大勢いますし、これに沿わないことをいくらがんばっても成功しないということも理解している人が多いです。
日本だと、スピリチュアル自体に馴染みがない方がほとんどですので、少し遡って「人生の目的とは何か」「魂の目的とはどんなものか」というところから説明しています。
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日本では一部で、スピリチュアルと聞くと「あやしい」「胡散臭い」というイメージを持つ人がいます。礒さんがスピリチュアルに触れた時、どんな印象を持ちましたか?
礒:前提としていえるのは、何を信じて何を信じないかというのは、結局のところ過去の経験もベースにしたその人の直感だということです。
その上でのお話ですが、スピリチュアルの世界も含め、どんな分野でも怪しい人はいます。ただ、全部が全部偽物というわけではなくて、本物と偽物がいる。私にしても、昔からスピリチュアルに惹かれてはいたのですが、決して物事を信じやすい性質ではなく、どちらかというと疑り深いところがありました。
しかし、アメリカでは日本の数倍あるスピリチュアル本、スピリチュアルイベントに触れていくうちに、そこに共通の真実、があるなと感じ始めました。
また、そうしたイベントなどで出会う、僕のことを何も知らないサイキックリーダーと話すと、個人的なことをぴたりと言い当てられたり、あるいは複数のチャネラーにまったく同じ事を言われることもあり、だんだん、見えない世界で起きていることを信じない方が不自然だと思い始めるようになりました。
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たとえば、どんなことを言い当てられるんですか?
礒:過去に自分が悩んだことや、その時に迷っていたことです。生活だとか心の中を全部覗き見られているんじゃないかというくらい、見事に言い当てられました。
本でも少し書いたのですが、私は以前ソニーのアメリカ法人に勤めていて、その最後の一年くらいは、自分の進めていたプロジェクトに何となく逆風が吹いているのを感じていたんですね。自分ではどうしようもない、環境的なところで。
そんな時に、あるサイキックリーダーと話したら、その状況を全部言い当てられたんです。そのうえで、こんなことを言われました。
あなたの人生のシナリオは、大企業にいつまでも残るのではなくて、そこで学んだことを持って別の道に進むようになっている。あなたはもう企業で学ぶべきことは全て学んで卒業する時期に来ているのに、それに抵抗しているから会社の環境が茨のように感じるのだ、と。
もちろんこういう状況を事前に相談していたわけではありません。初めて会った人にいきなり自分のことを言い当てられて驚いてしまって、それを機に人生を考え直しました。そうした出来事はスピリチュアルの世界に更に引き込まれるきっかけとなりました。
「自分の行動を妨げるのは自分自身」インスピレーションに従うことの難しさ
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本書は「魂の目的に従う生き方」がテーマになっていますが、スピリチュアルになじみがないと「魂」といわれてもあまりピンとこないのが実際かと思います。
礒:日本の自己啓蒙の父、中村天風さんが「あなたは体でもなく、心でもない。その両方を司る意識体がある。それが“あなた”だ」という言い方をされているのですが、この「心と体の両方を司る意識体」が「魂」だと私は考えています。
次に「目的」のところですが、スピリチュアルでは人生の大まかなシナリオは生まれた時から決まっていて、だからこそ自分の身に起きることに偶然はないと考えます。
全てが必然で、人生で起きることが決まっているという考えを一度受け入れれば、自分の身に辛いことが起きても、それを経験することで自分はもっと強くなって、自分の魂はもっと成長できると考えやすくなりますし、その出来事にどんな意味があるかにも思いが及ぶでしょう。それを積み重ねることによって、少しずつ「自分の魂の目的」に近づいていくんです。
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そうして、「魂の目的」に行き着いたとしても、それは自分が考える「得意なこと」や、あるいはその時本業としていることとは違うかもしれません。この乖離に悩んだ時はどう考えればいいのでしょうか。
礒:私個人の話になりますが、ソニー時代の私はアメリカでテレビやデジタル放送受信機の営セールス・マーケティング部門にいました。長くいましたから仕事の仕方もわかっていましたし、経験も増えていく。成果も出ていました。でも、「残りの人生を少しでも多くのテレビを売ることに費やしたいか」と自問した時に、まったく情熱を感じない自分がいたんですね。
それ以前からスピリチュアルに興味はありましたし、それを通して人を幸せにしたいとも思っていました。その時、人生のミッションとして「テレビを売ること」と「スピリチュアルで人の幸せに貢献すること」のどちらが魅力的かを比べたら、断然後者だったんです。給料がどうとか、社会的ステータスがどうとかは関係ありませんでした。
「好きだけどできるかわからないこと」「好きだけどお金になるかわからないこと」をやるかどうかで迷っている人は多いと思いますが、心の底からやりたいと思っていることをやってうまくいかなかったという人を私は知りません。心の内側からの声に従っている時は絶対うまくいく。自分の心の声を信じてやってみてほしいですね。
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今のお話は礒さんが提唱されている、インスピレーションに従って生きる生き方と重なります。これは、多くの人が頭では望みながらなかなか実現できないことかもしれません。
磯:ほとんどの人は、目に見えないものを信じる勇気がないんだと思います。もしインスピレーションが「これは宇宙からのメッセージですよ」と、LINEとかで絵文字の形で送られてきたら信じやすいのかもしれません(笑)。
これまでに様々なサイキックリーダーやチャネラーと話してきましたが、皆異口同音に「インスピレーションはとても繊細なエネルギー」だと言います。つまり、体に電気が走ったようにビビッとくるわけではなく「ちょっと興味があるな」とか「何となく惹かれるな」というかすかな感覚なんです。そのわずかな感覚を信じて一歩踏み出せるかどうかでしょうね。
人はまだ実現していない未来をなかなか信じられないものです。だから「これをやってみたいな」と思っても、経験がないとか、失敗したらどうしようという「思考」によってブロックしてしまう。
インスピレーション自体はほとんどの人が受け取っています。インスピレーションを実行に移す一番の障壁は自分なんです。
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最後になりますが、読者の方々にメッセージをお願いいたします。
礒:この本で一番伝えたいのは「どんな人でも自分が一番幸せになる道を見つけることができる」ということなんです。
もし「魂」や「魂の目的」という言葉に抵抗があるのなら、それは一旦脇に追いて「自分が一番輝く道を、誰もが持っている」と考えていただきたいです。自分が輝くための方法として「自分が生まれた目的は何だろう」「私の人生の目的はどんなことなんだろう」ということに考えが向かうのなら、この本は役に立ってくれるはずです。
人生は決断の連続です。すべての決断を「最高の人生」につながるように下せたら誰でも幸せでしょう。じゃあどのようにその決断をしていくかというと、やはり心の声を聞くことなんです。この本ではそのための方法についても書いていますので、参考にしていただきたいですね。
(新刊JP編集部)