『こじらせママ 子育てしながらココナッツオイルで年商7億円。』
売上より「伝えたい」想いを優先
鬼頭: 荻野さんの第一印象なんですが、とにかくキラキラされていて、とても子育てしているようには見えないんですけど、お子さんはいらっしゃるんですよね!?
はい、おります(笑)。今6歳で、もうすぐ小学生になるところなので、色々とバタバタしています。
鬼頭: ご出産されてからの6年間で「ココナッツオイルで年商7億円」を達成されたという事なんですが、成功に至るまでの経緯を教えていただいてもいいですか?
うーん、そうですね……。ただ毎日を一生懸命生きていたらいつの間にかそうなっていた、というだけなんですよね
鬼頭: では「大きな会社にしよう!」とか、「たくさん稼ぎたい!」とか、そういった目標があった訳ではないんですか?
実を言うと、会社の規模とか売り上げはさほど気にしていなくて、私の目的は、「誰もがより安心安全な「食」を身近なところで買えるような売り場や商品作りをする事」なんです。なので売り上げ云々よりも、オーガニック食品の楽しさと美味しさをとにかく「伝えたい」という想いが強いですね。
鬼頭: 「これを伝えたい!」という具体的な考えがあっての成功だったんですね。
そうなんだと思います。会社の理念も、創業当時から変わっていなくて、「我が子に食べさせたいかを基準に食材を厳選する」という事を念頭に置いています。なので、何かの選択を迫られときは、いつもそこに立ち返ってものを考えていますね。
「オーガニック食品」は、食の選択肢の1つとして
鬼頭: 特に最近は、子どもの健康に気を遣う親御さんが増えているように思いますし、荻野さんの会社のポリシーを買いたくなる方は多いように思います。
おかげさまで、食品を価格の安さだけでは選ばない方も増えてきていますね。値段が安い食品にもありがたみはあるのですが、オーガニック食品のように、ある程度値段が上がってしまうものの、品質が高い食というのも選択肢としてあった方が、選択肢が増えますし、いろんな方の幸せに繋がるんじゃないかなと思っています。
鬼頭: そのオーガニック食品についてなんですが、最初に作ったきっかけは、子供に食べさせたいクッキーをファーマーズマーケットで売った事なんですよね?
そうです。娘を生んでから、もっと身近なところに安心安全な食を選ぶ選択肢があってほしいなと思うようになって、ファーマーズマーケットで娘をおんぶしながらクッキーを手売りしていました。
鬼頭: そうだったんですか!お子さんがまだ赤ちゃんの時に何か新しいことを始められる人ってなかなかいませんよね……。
妊娠8か月の時に震災があったというのも大きかったと思うんですよね。当時はママさんたちの間で、「子供に何を食べさせて、どうやって育てていけばいいのか」という不安が蔓延っていました。その状況を見て、居ても立ってもいられなくなったんです。
一時は「ネットカフェ難民」になりかけるも……
鬼頭: そのマーケットで出品さていたクッキーなんですが、製作は全て外部に委託されていたんですよね?
そうですね。お菓子屋として創業したんですけど、うちは一切ものを作らないお菓子屋さんなんです。私はあくまで「商売人」であって、「職人」ではないと思っていたので、コンセプトやレシピを考え、ブランディングして売っていく……という事はやるんですけど、レシピの調整などはプロの方にお願いしました。お菓子教室の先生をやっていた母にレシピ開発を頼んだりもしています。
鬼頭: 「商売人」という言葉が出ましたが、荻野さんの経歴の中で、経営のノウハウを学んだりとかは……?
経歴は実はぐちゃぐちゃでして(笑)。「思い立ったらすぐに行動」を繰り返してきたので、会社は転々としてきましたし、大学も4つ通って、全部1年で辞めるっていう……。とにかく20代の間は「興味関心が変わったら、すぐに次の事を始める」の連続でした。
鬼頭: そのお話を聞くと、今荻野さんと似たような20代を過ごしている方にとっては、希望というか、「今からでも大丈夫なんだ!」という自信になりそうですね。
そうなれば嬉しいですね。起業家となると、学歴や育ってきた環境など、色々と気にされがちかと思うんですけど、私は決してキラキラした人間ではありませんでしたし、一時はネットカフェ難民になりかけた事もありました(笑)。なので、たとえ今はそういう環境にあっても、何か成したい事があって、それに向けて照準を定めて動いていれば、ある程度の事は実現できるんじゃないかなと思いますね。