だれかに話したくなる本の話

1年間は準備せよ プロ投資家が語るFXで勝つために必要なこと

資産運用として、給料以外の副収入を得る手段として、よく注目されるのがFX(外国為替証拠金取引)だ。

手軽に始められるということで、特に投資の経験がない人でも「思い立ったが吉日」とばかりに飛び込んでしまいやすいFXだが、この世界は機関投資家や長年のトレード経験を持つ「プロ」がひしめく世界である。素人がいきなり利益を出せるものではない。勝とうと思えばそれなりの準備が必要だ。

『初心者からプロまで一生使える FXチャート分析の教科書』(総合法令出版刊)は、十分な準備をせずにFXを始めることに警鐘を鳴らしつつ、勝つための準備と戦略を解説する。今回は著者である投資家・鹿子木健さんにお話をうかがい、FXを取り巻く現状と、投資初心者が犯しやすいミス、利益を出すために必要な考え方などについて教えていただいた。

■FXで勝つために必要な1年間 何をやるべきか

――『初心者からプロまで一生使える FXチャート分析の教科書』では、よく準備せずにF Xを始めてしまう人に警鐘を鳴らしていました。最低でも1年の準備を、とされていましたが1年でどのような準備をすべきなのでしょうか。

鹿子木:ひとことで言うなら「勝てる準備」。つまり利益を出す準備です。FXを始める準備というと、皆さんチャートを読む練習をしたりとか、FX関連の情報の取り方、読み解き方をイメージすると思いますが。それだけでは「勝てる準備」ではありません。

FXを始めると、当たり前ですが、判断をまちがえれば自分のお金が減っていくわけです。「始めてみないと何もわからない」ということで、FXの基本的な情報を頭に入れて、チャートを読む練習をしたらいきなりトレードに入ってしまう人がいるのですが、きちんと利益を出す準備ができていないなら始めるべきではありません。

じゃあ「勝てる準備」とは何なのかということになりますが、FXの仕組みを知ったり、チャートの読み方を学んだりというのも必要なのですが、大事なのは自分の「勝ちパターン」を確立することです。

――勝ちパターンは人それぞれ違うものなんですか?

鹿子木:人それぞれではありますが、「こういうやり方でやると利益が出やすい」という一般的な方法はやはりあります。それを無視して高度なことをやっても、たぶん勝てない。うまく利益が出やすい方法をまず身につけてから始めるべきだと思います。

これは、もしかしたら「方法」というより「ルーチン」といった方がいいかもしれません。チャートの見方、準備の仕方、ポジションの取り方、利益確定の仕方、損切の仕方まで、その時の思いつきでやるのではなくて、一連の動作をパターン化することが大切です。これを1年かけて覚えるべきなんです。

――それはFXについての本を読んでも身につかないことですね。

鹿子木:チャートで毎日相場を見ながら練習する必要があります。「デモトレード」といって、バーチャルに取引ができるサービスを証券会社が無料で提供しているので、まずはそこで練習をしてみてください。

デモトレードは本番のトレードとまったく同じ環境でできるので、1年かけてここで勝てるようになることを目指していただきたいです。デモで勝てるようになったということは、本トレードで勝つ準備ができたと思っていいと思います。

――FXには色々なトレードの手法があります。わずか数時間で取引を完了するものから、数日から数カ月にわたってポジションを持ち続けるものまで様々ですが、鹿子木さんはどんな手法を使っていますか?

鹿子木:私は毎日1回相場をチェックして、ポジションを持ったり決済したりするスタイルでやっています。ポジションをとってから決済までの期間でいうと、短くて24時間、長くて数週間です。数時間で決済することも、逆に数カ月以上ポジションを取ることもあまりないですね。

――そのやり方は本の中でも推奨されていますか?

鹿子木:そうですね。ずっとチャートに張りついていられる人は少ないでしょうから、1日1回チャートを見るというやり方が、普通に仕事をしている方にとってもやりやすいのではないでしょうか。

――初心者としては、どのくらいの資金が必要で、レバレッジはどのくらいまでならいいのかというのが気になります。この点についてアドバイスをいただければと思います。

鹿子木:これは本当によく聞かれます。確かに気になるところですよね。ただ、私は最初の資金はいくらでもいいと思っています。5万円でも10万円でも、用意できる人は100万円でもいい。

大事なことは額ではなくて「投資として捉えられるかどうか」というところです。というのも、額が少ないとかえって「投資」の感覚が薄れて「少ない元手でたくさん儲けたい」というギャンブルの感覚になってしまう人がいるんですよ。それだと、たとえ最初は5万円ではじめても、ギャンブルの感覚でやっているうちはすぐなくなります。そして次の5万円、その次にまた5万円となる。これではお金は増えませんし、ノウハウも身につきません。

その人にとって「投資として真剣に取り組める額」が、初期投資の適正額なんだと思います。

――FXを扱っている取引業者を調べてみると、「1万通貨から」としている会社が多いようです。となると、「ドル/円」の通貨ペアでFXを始めるとすると「1万ドル」からということですから、1ドル100円とするとだいたい100万円ほど資金を用意する必要がありますよね。ただ、レバレッジを25倍までかけられますから、自己資金は4万円あればいい。この理解で合っていますか?

鹿子木:合っています。ただ4万円でレバレッジを限界までかけると99%お金をなくしますけどね(笑)。

――レバレッジはどのくらいまでにしておけばいいのでしょうか。

鹿子木:1倍(すべて自己資金=レバレッジをかけない状態)から3倍までにしておいた方がいいと思いますね。

――ということは、「ドル/円」のトレードだと最低33万円は自己資金でやりなさい、と。

鹿子木:そうです。3倍がぎりぎり投資かギャンブルかの境界線だと思います。それを超えてレバレッジをかけてしまうと、精神的なストレスが急に高まりますし、興奮してどんどん投機的になっていく人も多い。

自分の話をすると、基本的には1倍から2倍にしています。3倍にするのはよほどのチャンスの時ですね。長く続ける資産運用としての投資をしたいなら、レバレッジは3倍以内にしておくべきです。

――レバレッジは1倍から3倍まで、というのはどの通貨ペアでトレードしても同じですか?

鹿子木:本の中では、日本円、米ドル、豪ドル、カナダドル、NZドル、スイスフラン、ポンド、ユーロを組み合わせた28種類の通貨ペアでトレードすることをおすすめしているのですが、この中でレバレッジは1倍から3倍でやっていただきたいということです。

それ以外の通貨はリスクが高いので、レバレッジうんぬん以前に選ぶべきではないと思っています。たとえば少し前にトルコリラが1リラ40円から短期間で20円まで下がったことがあったのですが、この時にリラ買いのポジションをとっていたとしたら、レバレッジをかけていなくても自己資金が半分になるわけですから、レバレッジをかけていたら悲惨です。

――「ドル/円」の値動きはかなり安定しているように見えますが、それでも予想外のことが起きたりもするわけですよね。

鹿子木:そうですね。ここのところおとなしかったですが、ドル/円の値動きでも1日で2%から3%ほど上下することは、特別なことがなくても起こりえます。「何が起きてもおかしくない」ということは忘れないでいただきたいです。

(新刊JP編集部)

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