JK×俳句×グルメ 異色のコミックが生まれた背景(前編)
「五・七・五」のリズムで詠われる俳句は、古くから日本人の生活に根差したものとして受け継がれてきた。特に興味がある人でなくても、一句か二句は松尾芭蕉や正岡子規の俳句をそらんじることができるのではないか。
『ごー・しち・ごはん!』(幻冬舎刊)は日本人のDNAに刻み込まれた俳句の魅力と、日本人になじみ深い季節の食べ物の魅力を存分に味わえるコミック。仲良し女子高生3人組の日常と、松尾芭蕉の俳句、そして食べ盛りの3人がパクつく食べ物との組み合わせが新鮮だ。
今回は著者の佐倉海桜さんにインタビュー。この作品が生まれた背景と狙いについてお話をうかがった。
■食事と俳句の絶妙な組み合わせ『ごー・しち・ごはん!』で伝えたかったこと
――『ごー・しち・ごはん!』につきましてお話をうかがえればと思います。まず、この作品を通して表現したかったことについてお聞きしたいです。
佐倉:闊達な年頃のきらめきを、漫画を通してリアルに描きたいと考えました。1話ごとに俳句を添え、登場人物の心の機微を情緒豊かに表現しました。
外国で高い評価と人気を得ているmangaにシンボリックな五・七・五の一七音を合わせ新しいカタチの漫画にしました。
――この作品で「俳句」と「食事」を組み合わせた理由はどんな点にあるのでしょうか。
佐倉:日常のメニューに俳句を添えれば、家族団らんに花が咲き、印象深い想い出になります。「食事」主体で俳句を合わせても、「俳句」主体で食事を合わせても、その味わいが心と 五感に染み込むと考えました。そして、その一時が、趣深い記憶となって留まります。私自身の経験から豊かな想い出作りの手立てとなりました。
――女子高生たちの方言や登場する場所から舞台は岡山県だと思われますが、佐倉さんにとってどのような思い入れがある土地なのでしょうか。
佐倉:2019月5月から半年間、「テレビせとうち」で料理番組「一食一句」を放送することになり、そのご縁で晴れの国、岡山を舞台にこの作品の制作開始しました。
瀬戸内海の美しい景色と岡山の雄大な自然を背景に青春真っ只中の高校生三人組の織り成す学園ストーリーになりました。何事にも熱心に取り組む高校生の姿が微笑ましくフィクションでありながら応援したくなる内容になったのではないかと思っています。
(新刊JP編集部)