『ペスト』だけじゃない 今だからこそ読んでおきたい「感染病小説」3つ
新型コロナウイルスの感染拡大によって日本国内に不安が広がるなか、70年以上前にアルベール・カミュによって書かれた『ペスト』が今あらためて読まれている(日本国内でも久々に増刷がかかり、ヨーロッパでも売れているようだ)のは、まさに世相を表しているといえよう。
トイレットペーパーやマスクの買い占めなどからもうかがえるが、非常事態は個々人の人間性をむきだしにする。とりわけ、目には見えず、いつ自分や家族が感染するかもしれないウイルスと対峙しなければならなくなった時、個人と社会に何が起きるのか。
『ペスト』は1940年代のアルジェリアを舞台に、致死性の高い疫病の流行によって神経質に揺れ動く群集心理を描いているが、感染症によって一変する社会と人を描いた小説は、その後も多く書かれてきた。