またも「99%実話」か?『トヨトミの逆襲』で描かれる、トヨタ崩壊へのカウントダウン
経営者という仕事は、なかなか実態が見えないものである。
華やかな舞台に立ち、ビジョンを語る人たち――ソフトバンクの孫正義氏であったり、ZOZO前社長の前澤友作氏であったり――は決断力があり、失敗してもへこたれず、夢に向かって邁進していくという、カリスマ性をもった理想的なリーダーとして私たちの前に立ち現れる。
パナソニック創業者の「経営の神様」松下幸之助はじめ、焦土と化した日本の戦後復興の象徴でもある、「ホンダ」本田宗一郎や「ソニー」盛田昭夫たちも、美しく勇ましい数々の伝説が今日にいたるまで語り継がれているが、一方でそういう「神話」に異をとなえるジャーナリストが書いたノンフィクションが数多くある。
■「99%実話」と噂された『トヨトミの野望』
経済記者が覆面作家・梶山三郎氏となって書いた『トヨトミの野望 小説・巨大自動車企業』(講談社刊)は、「99%実話」との噂が流れ、その衝撃的な中身で大きな話題を呼んだ。