この冬インフルに絶対なりたくない人に歯科医がすすめる「殺菌ベロ回し」とは?
毎年私たちを苦しめるインフルエンザだが、今年はすでに大流行の兆しがあるようだ。
国立感染症研究所の発表によると、11月の時点でインフルエンザは全国的な流行期に突入している。これは例年より約1カ月早く、統計を取り始めてから2番目に早い記録だという。
インフルエンザ予防には、うがいや手洗いなどの徹底が基本であるが、病原菌が侵入しやすい「口」に着目したユニークな方法を提唱するのが、口と病気の関連性について研究している歯科医の坂本紗有見さんだ。
■だ液がばい菌やウイルスの繁殖を防ぐ
その方法とは、ズバリ「殺菌ベロ回し」。
11月に刊行された坂本さんの著書『歯周病、口臭、むし歯を防ぐ 1分間「殺菌ベロ回し」』(アスコム刊)によると、「殺菌ベロ回し」とは、3食後に1分間だけ、書籍内で指示された方法で舌を回すだけという簡単なもの。
だ液腺を刺激し、殺菌力のあるだ液の分泌を促すことで、歯周病菌やむし歯菌などを撃退し、口の健康を保つのが目的だ。
では、なぜこの「ベロ回し」がインフルエンザ対策になるのか。
まず、口が乾燥し雑菌が繁殖やすい環境になるのを防止すること。「殺菌ベロ回し」により、だ液で口の中が満たされれば、雑菌やウイルスが増えにくくなる。
だ液には、ネバネバだ液、サラサラだ液という抗菌に効果的な2種類があり、「殺菌ベロ回し」ならそれらを同時に出せる。さらに、ベロ回しを習慣化することで、恒常的にだ液が出やすい口になるという。だ液には免疫力を高める作用も知られており、冬場の健康対策として有効だ。
■口を閉じていないからインフルが体内に侵入する
もう一つ、大きな理由として挙げられるのが、「口を常に閉じている」状態が自然にできあがること。坂本さんによると、現代人の多くが気づかないうちに口元が緩んで、雑菌やウイルスが侵入しやすくなっているという。
口が開いてしまう理由は、ベロの位置が下がっていることにある。
ベロの機能が正常であれば、何も力を入れていない状態で、ベロ上あごにピタリと吸い付くようにできているという(図①)。
しかし、ベロの機能が低下するとベロの位置が下がり、上あごとの間にスペースが空いてしまうので口が開きやすくなってしまうのだ(図②、③)。
口が開きやすくなると、ウイルスや雑菌も侵入しやすくなる。
もし、あなたのベロの位置が正常でないなら、機能回復が必要だ。「殺菌ベロ回し」は、ベロの筋トレにもなるので、日々継続することでベロの機能を強化し位置を正常に戻せる。
成人が1日に吸い込む空気は1万リットルを超えるという。その中には、相当数の雑菌やウイルスが含まれる。鼻から空気を吸い込む分には、鼻毛や絨毛(長さ1mm程度の粘膜表面の突起)などである程度ブロックできるが、口にはその機能がない。ベロを鍛えて、口からの菌の侵入をシャットアウトすることは重要なことなのだ。
ぜひ、「殺菌ベロ回し」でこの冬を元気に乗り切ってほしい。
(新刊JP編集部)