『AI時代の小学生が身につけておきたい一生モノの「読解力」』福島美智子、福島万莉瑛著【「本が好き!」レビュー】
提供: 本が好き!AI時代の到来は、先行きの不透明さと相まって、私たちを不安な気持ちにさせる面がある。
もちろん、住みよい世の中という期待もあるが、不安が大きいことは否定しきれない。
そんな時代を勝ち抜くため、本書は読解力の大切さを説く。
そして、それを身につけるメソッドを提唱する。
それはマッピングという手法だ。
まず、本書は読解力養成のため、語彙力と要約力を強化することの大切さを説き、それぞれについてマッピングの手法を提示した。
語彙力は文字通り語彙の力で、いかに多くの言葉を身につけるかが大切となる。
マッピングでは、まず白紙の中央にテーマを書く。
例えば、心情語だったり、慣用句だったり。
そして、そこから枝を伸ばして言葉を記す。
その先にさらに別れた枝を伸ばして、上の枝に意味を、下の枝に用法を記述する。
これを繰り返すのだ、が、これで語彙力が伸びるのだろうか。
実践していないため、勝手な主張は慎まなければならないが、やや手間がかかる印象がある。
しかし、試さずに主張するのはいかがなものか。
しばらく、やってみよう。
要約力の強化にもマッピングだ。
この場合、試験の文章問題として出される程度の分量が対象のようだ。
試験の場合、ほんの数行程度しか文章は提示されないだろう。
この数行を段落ごとに分解し、枝を作る。
白紙の中央はタイトルと作者名、そして登場人物を記述。
そこから各段落ごとに枝を伸ばす。
そして、各段落の内容、そして心情語を抜き出して書き、さらにその心の動きを具体的に記す。
段落で分解しなくても、場面展開のタイミングで文章を分解する方法も有効のようだ。
物語文ではなく、説明文の場合もやはり段落ごとに分解する。
この場合、よく使われている言葉をピックアップすることで文章の主題を明らかにする。
そして、段落ごとにまとめ文を探す。
そして、段落順にマッピングするわけだが、それを並べると要約文の完成となる、というわけだ。
要約力については、マッピングの手法は役立つという印象を持った。
このメソッドをまるまる一冊に対して当てはめるには少々難がある気もしたが、それでも小文で慣れていけば、案外応用が利くかもしれない。
これもお試しから。
さて、マッピングは算数や社会、理科でも応用できるという。
社会や理科での応用例は理解しやすく、納得のいくものであったが、算数はいまひとつといったところか。
まあ、無理に全ての教科にこの手法を拡散せずとも、要約力を身につけるためだけでも十分と感じた。
実践してみないと何とも言えないが、受験対策として少々長い目で見ながら要約力を身につけようという子どもには面白い試みなのかもしれない。
そして、大人でも書類の理解を助ける術にはなるだろう。
職場にはわかりにくい書類が飛び交っているからね。
とりあえず、実践あるのみです。
(レビュー:休蔵)
・書評提供:書評でつながる読書コミュニティ「本が好き!」