人生成功のポイント「直感力」を使える人・使えない人の違いとは
理屈で考えるとおかしいのに、不思議と「これが正解だ」と確信を持てて、やってみたらうまくいった。
大なり小なりこんな経験をしたことがある人は多いはず。直感というのは、ここぞという時、案外無視できないものです。『成功する人が磨き上げている超直感力』(KADOKAWA刊)はこの直感の力を発揮した生き方を提唱する一冊。
でも、直感とは一体どのようなもので、どうやって磨いていけばいいのでしょうか。今回は著者の八木龍平さんにお聞きしました。何となく人生がうまくいっていない人、行き詰まりを感じている人にとってヒントとなりうるインタビューをお届けします。
■誰にでもある直感力 眠らせてしまう人と発揮できる人の違いとは
――『成功する人が磨き上げている超直感力』についてお話をうかがえればと思います。優れた直感力は、生きるうえで大きな武器になりえます。この力が強い人と弱い人にはどんな違いがあるのでしょうか。
八木:強いか弱いか、というよりは直感を発揮しているかしていないかと言った方が正確かもしれません。直感力というのは、それを素直に発揮している人と自分で押さえつけてしまっている人に分かれるんです。
――直感力自体は誰もが持っている。
八木:そうです。誰にでも直感は備わっているのですが、どうしても年をとるにつれて論理や理屈が発達してきます。これ自体はごく当たり前のことです。
30歳を過ぎる頃には社会人経験を積んで知識も持っていますから、その気になればこれまでの前例や経験の範囲内から答えを出したり決断したりできるようになります。「こういう時はこうすればいい」という論理の中で対処できるようになるわけです。必然的に直感を使って「正しいかはわからないけど、この道を選ぼう」というような決め方はできなくなってくる。
このあたりの年代が直感力を使う人と押さえつけてしまう人に分かれる分岐点ではないかと思うのですが、30歳を過ぎても直感力を眠らせない人もいて、どういう人かというと新しいことにチャレンジする人なんですよ。新しいことにチャレンジするということは、知らないこと、情報を持っていないことの中に飛び込むということですから、これまでに培った論理だけでは通じません。直感の力を使って決断したり、選択したりせざるを得ないんです。
――八木さんご自身は、直感力を使って大事な決断をした経験はありますか?
八木:逆に直感で決めていないことなんてあったかな、と思うくらい、直感で決めています。だから悩むことはないですね。
大きな決断ということでいうと、以前に『成功している人は、なぜ神社に行くのか?』という本を出したのですが、その本を書くにあたって当時勤めていた富士通を辞めたことです。本を出すから会社を辞めるっていうのは論理的にはあまりつながらないですよね。
――そうですね。本が売れてお金持ちになったから会社を辞める、ならわかりますけど。
八木:直感で決めたことって周りから見ると不可解なことが多いわけですが、本人はまるで迷っていないんです。この本の時もそうでした。2015年の9月に本の企画が通って出版が決まったその瞬間に「あ、会社辞めなきゃ」と思ったので。
――まさに直感ですね。
八木:すぐに上司に辞めることを言って、半年後に退職という流れになりました。たぶん「辞めたらこの先の人生どうなるんだろう」というような迷いが少しでもあったら、こういう選択はしなかったはずです。その時の私に迷いはまったくありませんでした。たぶん、迷わない直感こそ本当の直感なんですよ
――執筆やプロモーションに必要な時間を確保したいから退職しよう、というような論理側のプロセスはなかったのでしょうか?
八木:それは辞めるというアイデアの後で考えましたね。「辞めることにしたし、執筆やプロモーションに時間を使えるな」という感じで。
――本の中で「2025年には直感力が最重要の能力になる」としています。これはなぜでしょうか。
八木:「雇用の未来」という、オックスフォード大学で2013年に発表された論文では、10年~20年後のアメリカにおいて、どの仕事がなくなりどの仕事が残るという予想がなされました。
ひと言でいうと、2023年~2033年にはAIで対応できる仕事はなくなる、ということなのですが、AIで対応できる仕事というのは論理的思考で答えを導き出せる仕事だと言えます。一方で残る仕事というのは、人と人との接触が多い仕事だったんですね。対人の仕事は正解があるようでないことが多くて、ある人の正解は別の人には不正解ということもある。
2025年に直感の時代が来るというのは、AIが発達することによって、論理思考力はもう人間の強みにはならないんじゃないかという思いから書きました。じゃあAIにできないことって何なのかという話ですが、インスピレーションとか直感なんですよ。この力こそが人間の特徴になりえるわけです。