「へんな肉」を求めて世界を巡る旅 イランで出会った驚愕のサンドイッチとは?
フライドチキンに豚の生姜焼き、ローストビーフ。鳥、豚、牛。趣向を変えてたまに羊、馬もイケる。
こんな食生活をしていると、世界中どこでも食べ慣れたチキン、ポーク、ビーフが食べられるように思えてくるが、これがとんでもない勘違いだというのは、すでに多くの人が知っていることだろう。誰しもが鳥や豚や牛を食べるのではない。人間は、自分の生きている土地で手に入り、なおかつ食べることを許されている肉を食べるのだ。
しかし、それにしても世界を見渡すと、実に多様な肉が食されている。
『世界のへんな肉』(白石あづさ著、新潮社刊)に登場するあんな肉こんな肉に思いを巡らせて「うわ、、ちょっと自分にはムリかも」と抵抗感を持ってしまう人は、まだまだ懐の深さが足りない。
■南米ではリャマ、アルパカ、アルマジロ。イランでは羊の〇〇〇〇を食す
旅の楽しみといえば、何といっても食事だ。
バックパック旅行者として世界100か国以上を訪れた著者も同様。特に興味をそそられたのは現地の肉や魚だったそうである。
日本人である私たちが「うわっ」とのけぞってしまうようなものも、現地の人からしたら日常食である。
イランのイスファハンで、ひょんなことから現地の人の家に泊めてもらうことになった著者。その家の大学生の娘と仲良くなると、女性同士ということで話はやはり「恋バナ」になった。
そうはいっても男女交際が厳しく監視されているイランである。「あの人が好きで」とか「あんな人と付き合いたい」といった話が自由にできるわけではないため、日本人と比べるとかなり「ウブ」である。そのイラン人女子大生は著者に「恋ってしたことある?」と聞いたところで恥ずかしさに耐えきれず、どこかに走り去ってしまったそう。
一度見失った女子大生を見つけたのは町のサンドイッチ屋の前。
ちなみに、イランでは羊がよく食される。そんなイランの女子大生が「ヒツジのモモと同じくらいデリシャス」といって、当たり前のように著者の分もサンドイッチを注文した。
なんのサンドイッチか尋ねると、女子大生は「ヒツジのここよ!」といって自分の頭を指さしたという。羊の脳みそをカレー風味に味付けしてパンに挟んだ「脳みそサンド」。注文してもらった手前食べないわけにもいかず、一口食べると、ふわふわした触感が絹豆腐に似ていてとても美味だったそう。
まずそうだけどおいしかったもの。まずそうで、まずかったもの。おいしそうだけどまずかったもの。おいしそうでおいしかったもの。
このほか中南米ではアルマジロやアルパカ、アフリカではキリンにダチョウ。「ちょっとどんな味か想像がつかない」という人は、本書を読んで著者の「食レポ」を読んでみてはどうだろう。
(新刊JP編集部)