だれかに話したくなる本の話

時代の転換点だった。「平成7年」(1995年)という年

5月1日、「平成」から新元号になる。
この機会に日本の歴史をざっと見直したい。または、日本の歴史に興味を持ったとき、とりあえず全体の流れを掴みたいと思うものだろう。

そんなときに日本史全体の流れを掴めるのが『一日で一気に学ぶ 超日本史』(藤井青銅著、扶桑社刊)だ。
1995年に単行本『超日本史』、翌96年に文庫版『「超」日本史』が刊行。そして、新刊となる本書は、この30年で変化があった歴史教科書での記述に沿っての修正に加え、「第三章 揺れて漂う平成史」が書き下ろされたものだ。著者は、放送作家・作家の藤井青銅氏。

「平成」がもうすぐ幕を閉じるので、ここでは30年間の平成史の中で、同じ年に大きな出来事が3つ起きた1995年(平成7年)に注目したい。

1995年1月17日午前5時46分。神戸を中心とする兵庫県南部をマグニチュード7.3の地震が襲った。阪神・淡路大震災だ。まだバブルの余韻を引きずっていた世の中は、この激震によって「甘い考えはもう終わりだ。いいかげんに目を覚ませ」と時代の区切りを突き付けられる。

さらにその2か月後、3月20日午前8時。東京の地下鉄車内で、化学兵器として使用される神経性ガス・サリンが撒かれる無差別テロ事件が起きた。地下鉄サリン事件だ。事件がオウム真理教によるものであることがわかると、「サティアン」「ポア」「ああ言えば上祐」などの言葉が交わされ、教祖の麻原彰晃が逮捕される。

そして、その年の11月23日。パソコン、インターネットが一般的に広まる出来事が起こる。ウィンドウズ95日本版の発売だ。これはマイクロソフト社が出した新しいパソコンOSの日本版。インターネット接続も標準になり、パソコンオタクだけでなくライトユーザーも飛びつき、大ブームになった。

地震とオウムとウィンドウズ95の3つによって、95年は平成の前半で重要な年となった。その後、99年の7の月は「ノストラダムスの大予言」で世間が騒がしくなるも、空から何も降りてこないまま過ぎていった。平成の前半は「失われた10年」と言われ、21世紀を迎える。

昭和史あたりまでは学生時代の歴史の授業の振り返り。平成史は、懐かしい出来事、忘れていた出来事を思い起こさせてくれる。
冗談を多く交えながらの軽快な文章なので、歴史が苦手でも難しいと感じることなく一気に読める1冊だ。

(新刊JP編集部)

一日で一気に学ぶ 超日本史

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