夫婦の営みが「作業的」に 妊活がきっかけでレスになる夫婦
夫婦にとって、赤ちゃんが欲しいのに授からないことほど辛いことはないはず。
授かりたい気持ちが強いほど簡単には諦められず、不妊の時間が長引けば長引くほど悩みは深くなりがちです。不妊の原因は女性だけにあるわけではないというのはすでに知られていますが、それでも女性の方が責任を感じてしまいやすいものかもしれません。
夫婦のあり方にも関わってくる不妊の悩み。その解消のカギはどこにあるのか。『きれいにやせて、授かる りんどう式妊活メソッド』(主婦の友社刊)の著者、花森淑子さんにお話をうかがいました。今回はその後編をお届けします。
■不妊は個人の問題ではなく「社会問題」
――不妊と一口にいっても人それぞれ原因が異なりますし、そもそもはっきりした原因がない不妊も多いと聞きます。花森さんのメソッドはどういったタイプの不妊を対象にしているのでしょうか。
花森:おっしゃる通りで、不妊には色々なものがあります。何かの原因で卵管が詰まっていたり旦那さんの精子がゼロだったりといったケース。これらは病院に行かなければ対処できません。
このように物理的に妊娠が難しい方以外については、不妊にはっきりした原因がある方もない方もまずは赤ちゃんを授かれる体にすることが先決です。私は原因のあるなしにかかわらず、産むための準備を整えるお手伝いをしています。健康な赤ちゃんを産み育てるための体のケアをするということですね。特に35歳を過ぎてから産む方は体への負担が大きいということで通って来られる方が多いです。
――赤ちゃんが欲しくても授からない方は昔も今もいると思うのですが、現代の女性が昔よりも妊娠しにくくなっているという感覚はありますか?
花森:あります。私は、不妊は社会問題だと思っています。女性が働いて社会に貢献することが求められている時代ですから、どうしても晩婚化しますし、そうなると妊娠・出産の年齢も高くなっていく。高齢出産がいけないということはないのですが、妊娠・出産のリスクが高くなったり母体の負担が大きくなるのは事実です。
また、人間が抱えるストレスが大きくなっていること、昔と比べると食べ物が悪くなっていることもあげられると思いますね。
――本の中で夫婦の営みへのアドバイスもされていましたね。確かに「子作り」だけが目的になってしまうと、男性の方が夫婦の営みが嫌になってしまうというのはあるのかなと思いました。
花森:赤ちゃんが欲しいのにセックスレスというご夫婦は珍しくありません。もちろん、それでは授かるはずがないのですが。
おっしゃったように、子作りだけが目的になると、どうしても夫婦の営みが作業的になってしまうんだと思います。そうはいっても女性としてはタイムリミットがありますから今欲しいという気持ちが大きい。そんな時にパートナーの男性が協力的でないと傷つきますし、ストレスにもなります。
「子どもが欲しいのに、頼んでも夫がしてくれない」という相談はとても多いです。男女間での子作りについての温度差についてのこうした相談にも乗っています。
――旦那さんがその気にならないとどうしようもないですからね。
花森:ただ、女性側が変われば男性も変わるんです。そのための極意があるのですが、それは男性(記者)には内緒です(笑)。
――また妊娠しやすい体づくりについて、不妊の原因として体の歪みを挙げていましたね。これにはどういったメカニズムがあるのでしょうか。
花森:女性の体を見ていて思うことですが、骨盤が開きすぎている方、骨盤が歪んでねじれてしまっている方は多いです。女性の方はご自身を振り返っていただきたいのですが、スカートのファスナーの位置がいつのまにかずれていたり、ネックレスが回ってしまっていたりするなら、それは骨盤が歪んでいる可能性があります。こういう方は下半身が大きくなり、お腹周りに肉がつきやすい。生理痛や腰痛も出やすくなってしまいます。
――それが妊娠にも影響してくる。
花森:そうです。骨盤が開くことでその空いた隙間に内臓が下垂してしまいます。具体的には膀胱、腸、子宮ですね。これらが下垂することで折り重なってしまい、血行が悪くなってしまうんです。そうなると当然内臓の機能が落ちてしまう。
妊娠にも影響がありますし、便秘になりやすくなったり、生理痛がひどくなったりといったことになりやすいんです。
―― 一度骨盤が開いてしまうと元には戻らないのでしょうか。
花森:戻らないということはないのですが、自分で行なう運動やストレッチ、体操では難しいと思います。専門家の手が必要だと思いますね。
ただ、専門家といっても女性の骨盤やお尻、内腿に触れるわけですから男性がやっている整体に行くのは抵抗がありますよね。知識と技術を兼ね備えた女性のセラピストが施術するところに相談することをおすすめします。
――最後に、不妊に悩む女性の方々にメッセージをお願いいたします。
花森:問題が問題だけに一人で悩む方が多いですし、情報が多すぎて何をしていいのかわからない人、経済的な問題で不妊治療を受けられずに妊娠を諦めるしかないと思っている人もいるはずです。
そんな方々に、「どうか諦めないで」と伝えたいです。私は、不妊は“まだ見ぬ赤ちゃんからのプレゼント”だと思っています。授かるための取り組みのなかで、自分の体やパートナーとの関係、自分達の暮らし方と向き合い、見直すことになるからです。あなたの赤ちゃんは必ず待っています。どうか相談に来ていただきたいですね。
(新刊JP編集部)