「埼玉県民の日」でわかった「県民の日」の地域格差
提供: 新刊JP編集部生まれも育ちも東京都。生粋の東京都民、新刊JP編集部のオオムラです。
友人のSNSを見ていたところ、今日11月14日は「埼玉県民の日」だということを知りました。
1971年に県誕生100周年を記念して「県民の日」が制定されたそうです。
今年も、埼玉県を走る鉄道各社がそれぞれ「県民の日記念フリー乗車券」を発売。東武動物公園や西武園ゆうえんちなどのレジャースポットでも各種割引を実施。埼玉県立高等学校通則にある学校の休業日に関する項目では、県民の日をお休みにすることも盛り込まれていて、学生さんにとっても嬉しい日ですね。
(写真は埼玉銘菓の「五家宝」)
ちなみに私が住む東京都の「都民の日」も、公立の小中高の学校と一部の大学が休校。動物園や美術館、公園・庭園が割引きになったりします。
さて、ここまで読んで「うちの県にもそんな日があったな」と思う人もいれば、「そもそも県民の日って何?」「休みとか割引とかあるの?」と思った人もいるのではないでしょうか。
それもそのはず。都道府県民の日は、全国にあるわけではないのです。むしろ、都道府県民の日があるほうが少ない。
というわけで、今回は都道府県民の日について書いてみたいと思います。
■「県民の日」がカブってる?! 千葉県VS栃木県
「県民の日」は、各県ごとに掲げているものでその日にちもバラバラです。
そんな中、県民の日が思いっきりカブっているのが「千葉県」と「栃木県」。
茨城県をはさんで南北に位置する両県の「県民の日」を比べてみましょう。
千葉県の「県民の日」は、1984年制定。
明治6年、当時の木更津県、印旛県の両県が合併して千葉県が誕生したことに由来。
栃木県の「県民の日」は、1985年制定。
明治6年、栃木県と宇都宮県が合併し、おおむね現在と同じ県域の栃木県が成立した日に由来。
制定した年もかなり近い(笑)。
なんだか競争をしているような印象すらあります。
では、その内容はどうなのか。
両県とも、レジャー施設の割引やイベント開催などを行っていますが、一番の違いは「お休み」。
「千葉県民の日」は、公立の学校はお休み。一方、「栃木県民の日」はお休みにはなっていないようです。
栃木県民の方々からすると、「同じ県民の日なのに!」と思っているかもしれませんね、
■山形県民の日制定は「モンテディオ山形」にかかっている?
県民がない都道府県はいくつもありますが、県民から「県民の日をつくってほしい」という声も少なからずあるようです。
山形県のHPには、2008年12月に寄せられた県民からのアツい要望の声が掲載されています。
その内容を要約すると「他県でも制定している県民の日は県の活性化につながると思う。その一案としてJリーグのモンテディオ山形のJ1昇格が決まった日を“県民の日”にしてはどうか」という声。
この県民からの声に対する山形県の回答は、好意的に受け止めつつ「御意見も参考にしながら検討して参りたいと考えております」というもの。
この投書があった翌年の2009年、モンテディオ山形は見事J1昇格。
三年のJ1期間がありながら、県民の日は制定されなかったようです。
その後、モンテディオ山形は、2012~2014年はJ2へ。2015年に再びJ1昇格。2016年から現在は、またJ2へ戻っています。
次にJ1昇格を決めたときは、三度目の正直で「県民の日」が制定される……かも?
■実はこっちもカブっていた? 埼玉県と大分県の「県民の日」
「県民の日」があるのは東日本が多く、西日本にはほとんどないのですが、「県民の日」をつくる動きはチラホラあります。
たとえば、大分県は、一応、11月14日が「県民の日」になっているようです。
千葉県と栃木県と同じく、こちらも埼玉県とカブっているのですが、わざわざ「一応」というのには理由があります。
大分県の「県民の日」は、条例になっていないんです。
1871年の廃藩置県で大分県が誕生したのが11月14日。「大分県あすをつくる県民運動推進協議会総会」という議会で、その日を記念日として県民の日を制定。ところが、その後、協議会が解散。条例にするまで話を進めることができなかったようです。
なので、一応、11月14日は「大分県民の日」と言えるのですが、条例になっていないので、学校のお休みもなければ、施設の割引などもない。県庁の職員にすら知らない人もいるのだとか。
調べてみると、いろいろな地域差がわかって面白い「県民の日」。
もしかしたら、もともと地元に愛着が強い地域なら、そんな日がなくても毎日が「県民の日」なのかもしれませんね。