【「本が好き!」レビュー】『日本のヤバい女の子』はらだ有彩著
提供: 本が好き!昔話を「面白く」だとか「「エロく」解釈なんて本を見かけることは多いけれど、女性視点でエッセイ風に読んだら・・・なんてのは斬新ですぐに食いついてしまった。
本書は昔話で知っていた、知らなかった女の子たちのあんなヤバいところ、そんなヤバいところを著者がキレッキレに、ちょっぴり毒舌にツッコんでいく女子エッセイ風味の1冊。
登場するのはおかめ、イザナミ、乙姫、かぐや姫、虫愛づる姫、清姫さん、お菊さんと有名人から無名の女盗人や土地の裕福な娘さんと色んな物語からとび出てきた女の子たち。
それは旦那さんのために死ぬ必要ないのに死んでしまうくらい尽くす女だったり、昔話なのに鞭で恋人をぶっ叩く昔風SM嬢が出てきたり、愛ゆえに旦那の国の人間を毎日千人殺しちゃったり、結婚詐欺にあいかけて恋人を追いかけて焼き殺そうとしたり、と著者に選抜された彼女たちはとにかく個性派で粒ぞろい。
小さい頃に、昔話を聞かされたとき、ん?なんで今それ言うん?KYか!とか
えええ!!?なんか反応軽っ!人一人死んでるんですよ!!て思ったことありませんでしたか?
あ、あー、これハッピーエンドなんだ、はい、わかりました!て無理やり納得することありませんでしたか?
それって幼いながらに昔話に登場する彼・彼女たちの「ヤバさ」の片鱗を少なからず感じ取っていたからなんだな~と今更ながらに納得して笑ってしまった。
著者がこの本でそんな「ヤバさ」を体現化してくれたおかげでやっぱりみんな同じこと思うよね、私だけではなかったんよね、って自分の中にあったモヤモヤが解消してホッとした。
散々ツッコんだ後には、もし○○だったら~と「if」の世界に思いを馳せ、彼女たちなりのオリジナルハッピーエンドが描かれる。
生き生きと、強く生きる「ヤバい」女の子たちの姿がそこにはある。
世の中イヤなことばかりだけどさ、楽しく前向いて生きてこ!
挿絵の女の子たちからはそんな元気な声が聞こえてくるようだ。
(レビュー:雅也-カヤ-)
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