行動経済学を使って「いたずら書き」をやめさせる? その驚きの方法とは
「コラー!」
壁にいたずら書きをした子供たちを、家主のおじいさんがげんこつを振りかざして叱りつける。現代ではなかなか見ない光景かもしれませんが、『行動経済学まんが ヘンテコノミクス』(佐藤雅彦、菅俊一、高橋秀明著、マガジンハウス刊)の中のひとコマです。
子どもたちは叱られると逃げ出すものの、反省するどころかまた別の日にやってきては落書きを繰り返します。
このいたずらをやめさせるために、あなたならどうすれば良いと思いますか。
ある日、子どもたちが落書きをしていると、いつもとは違って笑顔のおじいさん。
「こどもはいたずらするぐらいが元気があってよろしい」そう言うと、なんとおこづかいを渡しはじめました。
次の日もその次の日も、おじいさんは落書きをした子どもにおこづかいをあげます。
しかし数日後、「すまんがもう今日からこづかいはやれなくなった」「もうお金がないんじゃよ」と急にあげるのをやめてしまいました。
すると子どもたちは、すっかり落書きをする意欲をなくしてしまったのです。
本書は事例となるマンガの後に解説が付きます。それによると、初めは自分たちが楽しむために落書きをしていた子どもたちでしたが、いつのまにかおこづかいをもらうことに目的がすり替わってしまいました。
好きでやっていた行動(内発的動機)が、報酬(外発的動機)を与えられることによってやる気がなくなってしまう現象のことを「アンダーマイニング効果」と呼びます。
おじいさんはこのアンダーマイニング効果をうまく使って、子どもたちに落書きをやめさせることに成功したのです。
このように、本書では思わず「なるほど」と言ってしまうような行動経済学の理論を、漫画で楽しく学ぶことができます。
ビジネスにも活かせる人の行動とお金の関係。きっと役に立つはずです。
(新刊JP編集部)