結論は出なくてもいい 子どもの考える力を養うメソッドとは?
これからの時代において必要な力の一つが「考える力」だろう。
その考える力をどう養っていけばいいのか、悩む親は多いはず。
そこで紹介したいのが「こども哲学」という方法であり、『自信をもてる子が育つ こども哲学』(川辺洋平著、ワニブックス刊)という本である。
もともと「こども哲学」は、学校現場での教育プログラムとしての側面にスポットライトを浴びてきたメソッド。しかし、本書では学校ではなく家庭内、つまり「親子」で哲学対話をすることをテーマとしている。
■「こども哲学」ってそもそも何?
「こども哲学」とは一体何か。簡単に述べれば、「一緒に考えよう」という遊びだ。
遊びだから、いくつかのルールはあるが、「これではないとダメ」というものではない。
本書で紹介しているのは、こども哲学・おとな哲学アーダコーダの5つルールだ。
・ひとが話しているときはきく
・相手が考えているときは待つ
・自分の思ったことを言う
・ひとの嫌がることをしない
・何もいわなくてもいい
こうしたルールを守ることで、子どもたちは「ちゃんと聞いてもらえる」「ゆっくり考えてもらえる」「何も言わなくても怒られない」といった安心感を得ることができ、考えることの楽しさを感じられるようになるという。
■いったい何を話すの?
「こども哲学」のやり方の基本は話し合いである。
ただし、ディベートのように論破をするのではなく、さまざまな考えを認めることが大切。
また、相手の意見で分からない部分があれば「どうして?どんなときにそう思うの?」と質問するところが特徴だ。
結論が出る必要はなく、30分なら30分と時間を決めて、終わりの時間となったら終了となることも特徴の一つ。
では一体なにを話せばいいのか。それは、「話したいことを話す」でかまわない。
実は、何について話そうかというお題を決めるところから、「こども哲学」は始まっているという。
テーマを決めるきっかけとして、探索したり、絵を見たり、本を読んだりといった共通の経験をすることが川辺氏のオススメだ。
「こども哲学」の入り口は、受け止めることだという。
子どもが言っていること、やっていることの奥にある本当に伝えようとしていることは何かな? どうしてその表現になったのかな? と保護者が思いを巡らせることが大切だという。
親子でできる「こども哲学」。当たり前のコミュニケーションの中にある、子どもの思考の豊かさに気付くことができるはずだ。
(新刊JP編集部)