冷凍保存は「仕込み」の状態で! 料理の生産性がグンと上がる“台所テク”
「今日は料理するのが面倒だな」「もっと手早く料理ができたらラクなのに……」と思う日はいつでもあるものです。
家族のために食事をつくる主婦でも、仕事から帰ってきて時間をかけず料理をしたい単身者でも、忙しい毎日で料理をするのは大変なこと。時短レシピを見ても、洗い物や余った食材のことを考えると、結局、料理することが億劫になってしまいます。
そんな台所まわり全般の作業がラクになって、料理の生産性がグンと上がるテクニックを教えてくれる一冊が、『料理研究家がうちでやっているラクして楽しむ台所術』(林幸子著、サンマーク出版刊)。
著者は、実生活にそったムダのないレシピを開発することで知られている料理研究家ですが、本書では、効率の良い台所仕事のアイデアやテクニックが紹介されています。その中から、今日からすぐに使える台所テクニックを取り上げてみましょう。
■毎日の料理が格段にラクになる「仕込み置き」
忙しい人がよくする料理の「作り置き」。冷凍すれば保存がきくのはいいですが、何食も同じものを食べるのに飽きてしまうこともあります。
そこでオススメなのが**「仕込み置き」です。
「作り置き」は、完成した料理を保存することですが、「仕込み置き」は、あえて最後まで調理しない完成手前の状態で保存をします。**
たとえば、肉じゃがをつくるときには、肉、玉ねぎ、ニンジンを切って炒めます。その後で味付けをして煮ていくわけですが、その「手前」で火の通った食材を二つに分けて、片方を保存します。すると、すでに火の通った食材が「仕込み」されている状態になります。
翌日はその「仕込み置き」を使って、カレーを作るも良し、トマト缶を足してイタリア風にしたりピリ辛な韓国風の料理にしても良し、小さく切ってオムレツにしても良し。 材料を切って火を通す作業自体は、材料が倍になってもそれほど変わりません。やる気や時間があるときに「仕込んで」おけば、手っ取り早く料理ができるわけです
「仕込み置き」にピッタリなのが「ハンバーグのタネ」です。
火は通さずにひき肉を混ぜて仕込んでおけば、肉団子、ロールキャベツ、ギョウザのタネなど、その日の気分に合わせて和洋中のレシピに活用できます。
■本当はやらなくてよかった!野菜の「皮むき」と「アク抜き」
料理を面倒に感じてしまうことのひとつが下ごしらえです。
特に野菜の「皮むき」と「アク抜き」は、手間も時間もかかります。
たしかに多くのレシピ本や料理番組では「皮むき」「アク抜き」はやるべきことになっています。
しかし、最近の野菜はアクやえぐみが少なくなっているので、わざわざ皮むきやアク抜きはしなくても大丈夫だと著者は述べます。
たとえば、レンコンやニンジンは皮が薄く、皮があっても味や食感は変わらないので、料理の見た目をきれいにしたいとき以外はやらなくてもいいとのこと。
また、ゴボウも、アク抜きや下茹では不要と著者は言います。最近、ゴボウから水に出る成分はアクではなくポリフェノールだということもわかっており、栄養面を考えてもアク抜きはしないほうがいいというのです。
**野菜の表皮の下は、栄養分やうま味が詰まった「クチクラ層」という部分。**口に入れたときに皮がモサモサして食べづらい、特別にえぐみを感じるような場合以外は、皮むきもアク抜きもしなくていいというのが著者の教えです。
■ワンランク上のお米になる「炊きあがりのひと手間」
ごはんを冷凍保存しておく人も多いと思います。
実は、炊き上がったごはんの処理と保存の仕方次第で、大きく味が変わるそうです。
ごはんが炊き上がったときにやってしまいがちなのは、「十文字」にしゃもじを入れること。
しかし、十文字に切るとごはん粒が潰れて、味も食感も悪くなってしまいます。
**ごはんを混ぜるときは、まず、釜のふちに沿わせるようにしゃもじを底に入れ、ごはんを持ち上げます。そして、ごはんを自然に地割れさせるように揺する。**これを数回繰り返すと、ふわふわで美味しいごはんになります。
冷凍保存するときは、炊き上がりのタイミングでごはんを軽く冷まし、広げたラップの上にふわっと置いて、ふんわり包んで密閉すること。
空気を中に残して包めば炊き上がりに近い状態を再現できます。場所を惜しんで包んだごはんを潰したり、空気を抜いて包んだりすると、温め直した時にふんわり感が損なわれてしまうので注意です。
この他にも、本書には料理がラクになる道具の選び方、保存袋の使い方、洗い物のポイントなど目からウロコな台所テクニックが満載です。誰でもできることばかりなので、一度試してみてはいかがでしょうか?
(ライター/大村佑介)