経験していないことを「思い出して書く」 小山田浩子 新刊『庭』を語る(2)
気取りのない率直な文章を辿っていくと、いつの間にかどこかわからない未知の場所にいる。どこにでもある日常の描写が気づくと裏返り、異世界が口を開けている。
小山田浩子さんの小説にはこうしたマジックがある。そのマジックはデビュー作の「工場」や、芥川賞を受賞した「穴」で高く評価されてきた。
この特異な才能が存分に発揮されているのが、今年3月に発売された新刊『庭』である。 ありふれた田舎の風景や動植物、生活音、人の声が、何かとてつもなく奇妙でおもしろいものに変わっていくこの短編集について、小山田さんご本人にお話をうかがった。今回はその後編をお届けする。 (インタビュー・文/山田洋介)