「この音楽が鳴ったら世の中はどう変わるんだろうということを考えています」――いしわたり淳治インタビュー(前編)
一緒に飲んでいる女性をお持ち帰りすべく、必死に誘う男性。しかし、「私、顔色を読むことができるんだ」と言うその女性は、気のない返事をしてばかり。
もう終電も終わり、いよいよというときに女性は「友達の家に行くね」と言って去っていってしまう。一体なぜ女性は男性の誘いを断ったのだろうか。「そいつの家に泊まりに行けばよかったじゃん」と言う友達に、その女性は衝撃の理由を告げる。
「そいつさぁ、会ったときからずっと、顔に――」
シンプルだけれども大胆。最後まで予測がつかない。油断をしていると思わぬところで面を食らう。ブラックユーモアで包み込まれたストーリーは、どこか教訓めいていて、それでいて爽快でもある。この本がベストセラーになっているのも頷ける。