【「本が好き!」レビュー】『問題解決大全――ビジネスや人生のハードルを乗り越える37のツール』読書猿著
提供: 本が好き!本書は、ビジネスなどで役立つ色々な問題解決のためのツールを一冊に纏めたものだ。それぞれのツールの名前が紹介された後に、やり方、サンプル、解説などが何ページかに渡って続く。全体は、直線的な因果性のある「リニアな問題解決」と因果関係がループになっているような「サーキュラーな問題解決」の二部構成になっている。
読者は、これらをすべて覚える必要はないだろう。この中から自分と相性がよさそうなものを選んで、実際の問題に適用して使い込むという事が重要ではないかと思う。何しろ、一つ一つの手法は、それだけで一冊の本が書けるくらいなのだ。それがぎゅうっと濃縮されて、そのエッセンスだけが詰まっていると思えば良い。それらの手法の元ネタも記されているので、自分が使うためにはそちらも読んだ方が良いだろう。
中には特性要因図やPDPCといったQCサークル活動などでおなじみの手法が入っているが、例えば線形計画法といったようなOR的な手法は入っていないし、AHPやFMEA(なぜか対のように扱われるFTAはロジック・ツリーのところで解説されている)といったものも収められてはいないが、この辺りは、著者の好みが入るのかもしれない。
最初に似たようなことを書いているが、本当に問題解決に役立てようと思ったら、特定の手法を自家薬籠中のものにするくらい使いこなさなくてはならない。本を一冊読んだからといってとたんに問題がスイスイ解決できるようになるというような虫のいい話はどこにもないのである。
本書の価値は、これまで問題解決のための手法というものにあまりなじみがない人に対して様々なツールをメニューのように示し、考えるためのヒントを与えてくれるということに尽きるだろう。とにかく実践あるのみである。
(レビュー:風竜胆)
・書評提供:書評でつながる読書コミュニティ「本が好き!」