【「本が好き!」レビュー】『「朝ドラ」一人勝ちの法則』指南役著
提供: 本が好き!インターネットの時代、テレビドラマは昔のようには流行らないだろう。「おしん」の52.6%、「ひとつ屋根の下」の37.8%はアンタッチャブルレコードだろう。
とはいえ、本書はここまでの数値は取れずとも、未来のドラマへ期待を抱かせる内容であった。
本書は朝ドラ、連ドラの解説ではなく、ドラマツルギ-の教科書。クリエイティブの仕事とは、温故知新、0から1を創る作業ではなく、1を2や3や5にブラッシュアップする作業であるという。
そして本書は、ドラマのヒットには法則があることを、実際のドラマ逃げ恥なんかを例にして解説していく。次の7項目が朝ドラヒットの法則だとか。
朝ドラの黄金法則「7つの大罪」
1 脳天気なオープニング
2 無駄に前向き
3 ぽっと出のヒロイン
4 ノスタルジー狂
5 夫殺し
6 故郷を捨てる
7 大阪に丸投げ
そして、多くのドラマは過去の名作へのオマージュから成り立っている。
「温故知新」とは、旧作をオマージュしつつも、それに現代的要素を加味したり、舞台設定に基づいて内容をアレンジしたり、役者に合わせて当て書きしたりと、バージョンアップすることが肝要なのだ。それらの一連の作業が「クリエイティブ」となる。
本書は一人の作家でなく、「指南役」というホイチョイプロダクションのブレーンも務めるメディアプランナー集団の共著。
過去のヒット作の分析や、過去の名作の知識に基づく、古畑任三郎と刑事コロンボのようなオマージュネタの解説は、お手のものである。
ドラマ好きの観客にも脚本家やプロデューサーを目指す若者にも通じる内容。
ただし、個々の朝ドラの解説は少なくそのためなら講談社新書「みんなの朝ドラ」の方が良かったかも。
(レビュー:臥煙)
・書評提供:書評でつながる読書コミュニティ「本が好き!」