だれかに話したくなる本の話

永遠のロングセラーはどう生まれたか。みすず書房と『夜と霧』の60年

『夜と霧』(みすず書房)

「言語を絶する感動」と謳われる本がある。

その本は、第二次世界大戦が終わって間もない1946年にオーストリアのウィーンで出版され、日本では1956年に日本語翻訳版が出版された。

原題は“Ein Psychologe erlebt das Konzentrationslager”。
――直訳すると「一人の心理学者が強制収容所を体験する」。

その本は、2012年の時点で、世界で1000万部を超えるベストセラーとなっている。

夜と霧[新版]

夜と霧[新版]

ホロコースト、すなわちナチスによるユダヤ人大虐殺の現場となったアウシュヴィッツ(強制収容所)を経験したオーストリア人の精神科医による体験記。1956年に初の邦訳版が刊行されて以来、日本でも半世紀以上に渡って読み伝えられている人間の偉大と悲惨をあますところなく描いたロングセラーです。