“麻薬戦争の国”メキシコ。若者たちはなぜカルテルに入るのか?
メキシコ。近年、日本企業が相次いで進出するなど、ビジネス面で注目を浴びるこの国は、あまりにも大きな闇を抱えていることでも知られる。
「カルテル」――麻薬の製造と売買を行い、利益をあげる非合法組織。
メキシコは、そんな麻薬カルテル同士の抗争が絶えない、世界で最も治安の悪い国の一つだ。
英シンクタンク「国際戦略研究所(IISS)」調べによれば、2016年にメキシコで起きた殺人事件は23000件にのぼったという。これは内戦状態のシリア(6万件)に次ぐ数字であり、カルテル同士の抗争と、そこに政府軍や警察が絡んだ「麻薬戦争」の犠牲者は、一般市民にも及んでいる。
自身が学生だった30年以上前から、メキシコでフィールドワークを行い、ストリートチルドレンの自立支援などにも関わってきたジャーナリストの工藤律子さんは、そんなメキシコの状況の変化に驚きを隠せないでいる。