【「本が好き!」レビュー】『男尊女子』酒井順子著
提供: 本が好き!「男尊女卑」ではありません、「男尊女子」です。
一字違いでこうも様子が変わるものかと・・・と、
妙に漢字の威力を思い知るというとこからスタートした本書。
今や我が国も「男女平等」であることは当たり前。
しかし、ちょっと前は会社のお茶汲みは女子がしていたし、
さらに遡れば「嫁」=「家の中にいる人」ということで、
女性が外で働くことすら珍しかった時代もあった。
かくゆう私も「お茶汲み」を経験しており、
結局その状態が気にくわず、再度勉強し直し、
「お茶汲みなし」の職業に転職した経緯がある。
当時
「なぜ女子がお茶汲みや雑用をしなければならないのか!」と憤っていた私。
しかし、今はどうだろう。
ご近所の旦那さんが週末になると、妻や娘たちの下着をまとめて洗濯し、
干している姿を見ては「ええー!!」となる。
友人男子も「そんなの慣れだからなんとも思わない」と言っていたけれど、
なんだかとっても居心地の悪いものを感じる私はもしかして「男尊女子」
なのではないか?と。
今時の家族は父親が洗濯するのは普通だし、
やがてその娘が結婚し、夫が洗濯するのも自然な流れ。
せめてパンツだけは、自分でやりたいなど言うのも古いのです。
そう、酒井さんが言うのは、
「真の男女平等とは、自分のパンツを父親や夫に洗ってもらって当然、
と思うことが出来る女性でないと、享受できないもの。」
とのことで、なるほどなぁーと。
自分の長年沁みついて拭いきれていない「古い」部分を痛感し、
思っていることと自分の中で残っている古い部分とのギャップが
まだまだあるのだなぁと思い知る。
本書はそんな「男と女の上下」の関係性を様々な場面を通して考察しています。
そしてそこから、自分の中にもある意外な「男尊女子」な部分を見付けることに
なる人もいると思います。
数十年で随分と変わったように思える社会。
今はどこの会社もお茶は自分で淹れるものになった。
一方、あれだけキャリアウマーンが憧れの存在であったのに、
今は一変し、専業主婦は特権階級の地位へ。
専業主婦を望む女性が再び増えているという。
ここから先、男女のあり方がどう変わっていくのか?
まだまだ過渡期は続くようであるが、ここからさらに数十年後。
洗濯もお茶もすべてロボットがやってくれる時代になり、
「男女平等」という言葉の存在すら消えているかも知れない。
(レビュー:Kurara)
・書評提供:書評でつながる読書コミュニティ「本が好き!」