だれかに話したくなる本の話

【「本が好き!」レビュー】『台湾海峡一九四九』龍應台著

提供: 本が好き!
『台湾海峡一九四九』龍應台著

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時代に踏みつけにされたすべての人々への、労りと鎮魂の書。

本が好き!
『台湾海峡一九四九』

台湾海峡一九四九

台湾文壇の重鎮による入魂のノンフィクション。抗日戦終了後、休む間もなく国共内戦に投入され、最後は国民党軍の撤退とともに台湾へ逃れてきた軍人とその家族たち。南洋にあった日本軍の捕虜収容所で監視員を務め、戦後、戦犯として裁かれた台湾人。たまたま隣の島へ荷物を届けて、海域を封鎖された漁師──。本書は、あらがえない時代の流れのなか、限られた運命の選択肢に自らを賭し、必死で生き延びてきた人々の姿を、当時の日記や史料をもとに丹念に描いた歴史ノンフィクションである。と同時に、これまで語られることのなかった〝敗者〟の声を真摯に汲み上げた記録文学でもある。