この構図の写真、見覚えありませんか? このデザインを生んだ男の正体とは
――それがライターの活動をはじめるきっかけだったんですね。広告代理店の仕事も並行しながら?
印南:そうです。ダブルワークですね。当時は昼間は会社勤めをして、夜に家に帰ってご飯を食べてからまた都心に出て、クラブで朝まで取材。帰って1時間寝て、また会社に行って…というような生活をしていました。
――まったく寝られない生活ですね。
印南:でも楽しかったですよ(笑)。
――その生活はいつまで続いたんですか?
印南:ライターを始めて1年くらいですね。実は会社がアルバイト禁止で、別に僕自身は「アルバイトをしている」という気持ちでもなかったんですけど、あるとき上に呼ばれたんですよ。それで、「お前アルバイトしているだろ。どうするんだ」と言われて。「どうするって、どういうことですか?」と聞いたら、「それをやめるか、会社を辞めるかだよ」って言われたんで、「じゃあ会社やめます」って(笑)。
その時、子どもがまだ1歳でしたし、妻には心配をかけてしまったのですが、いいタイミングでブラックミュージックの専門誌から編集長として来てほしいと言われて。
――その後もしばらく音楽雑誌でライター活動しながら、音楽に関する書籍も出版されています。そこから書評の世界に向かうのは想像できなかったのではないですか?
印南:全く想像できなかったですね。でも、ひょんなことから「書評書きませんか?」という依頼をいただけて。
――『遅読家のための読書術』でも書かれていましたが、当時、本を読むスピードがすごく遅かったとか。
印南:そうですね。今でも遅いですよ。
――1日1本の書評は大変だったのではないですか?
印南:でも逃げたら、ライターとして終わってしまいますからね。それにもともと“地味に地道に”やっていくのが向いているので、できることを地道にやっていこうと。
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今や「ライフハッカー[日本版]」のみならず「Newsweek日本版」「WANI BOOKOUT」などのウェブ媒体から「ダ・ヴィンチ」のような紙媒体にも書評を寄稿している印南さん。こうなると気になるのがどのように本を読み、本の内容をまとめているのかというところだ。
インタビューの後編では印南流読書術について深く迫っていく。
(新刊JP編集部・金井元貴)