社員に送っていたLINEが評判に 急成長企業の社長の言葉
今勢いのある人、成功している人の言葉はおもしろい。彼らが仕事で心がけていることや人間関係の価値観、人生観などは、やはりどこか風変わりで、独特だったりする。たとえ「N=1」であっても、そこには世の中を生き生きと渡っていくための何かしらの真実が含まれているのかもしれない。
『社長の言 –KOTOBA–』(アチーブメント出版刊)の著者、松村洋平さんの言葉も、やはり独特だ。関西で急成長を続ける株式会社誠進堂を率いる松村さんはいかにしてこの本に書かれた言葉を紡いだのか。ご本人にお話をうかがった。
■社員に送っていたLINEが評判に 急成長企業の社長の言葉
――『社長の言 –KOTOBA–』は松村さんが経営者として、また人間として大切にされている考え方が伝わる内容でした。まずは本書をお書きになった動機について教えていただきたいです。
松村:私は誠進堂という会社を経営しているのですが、最近拠点が増えてきて、社員たちと直接会って話す機会が少なくなってきたんです。だから、自分の思っていることを発信しようと思って、グループLINEを作ってもらって、そこに毎日メッセージを投稿するようにしたんです。少しでも誰かの気づきになってくれればいいな、という、もう完全に自己満足ですね。
それを毎日やっているうちに「これ一年間365日やり続けたら、書いたことが本になるんちゃうか」と思うようになった、という感じです。
――本にすることを意識して書いたわけではなく、純粋に社員の方々へのメッセージだったんですね。
松村:そうですね。はじめは社員のみに向けたメッセージだったんですけど、今では社外の方もそのグループLINEに入ってくれていたりします。わりと評判がいいので、それならこの自己満足を書籍の形で世に出してみようか、となったんです。こうして本になることで、みんなの誇りの一つになるんだったらうれしいなとは思っています。
――松村さんがグループLINEに書き込んだ言葉に対して、社員の方からはどんな反応があるんですか?
松村:LINEではたまにスタンプが返ってくるくらいです(笑)。でも、業務日報で「この言葉を読んでこう思った」みたいなことを書いてくれる人もいますし、朝礼の時や電話で話している時に感想をくれたりしますね。直接見たわけではないですが、朝礼で感想を言い合ってくれている営業所もあるようです。
――ちゃんとみんなに届いているんですね。
松村:いやいや、読んでない人もいると思いますよ(笑)。
――今回の本は経営者の方が読んでも学びがありますし、会社員の方が読んでも気持ちが奮い立たされるはずです。松村さんとしてはどちらに向けて書かれたというのはあるのでしょうか。
松村:どちらということはなくて、仕事をしている人全員に読んでいただきたいです。僕は日本の社会課題だと思っているんですけど、日本って仕事が嫌いな人が多いじゃないですか。でも、仕事が好きな方が絶対人生ハッピーなんですよ。
そして、何かを嫌いだとか楽しくないと思う気持ちって、物事の捉え方や解釈の問題だったりするので、この本を通じて、新しい視点を得たり、目の前の現実の捉え方が変わったりする人が一人でもいてくれたらうれしいです。
――本気になること、夢中になることの大切さや、自分に限界を設けないことの大切さ、逃げない覚悟など、ハッとさせられる言葉が並んでいました。どれもまっすぐな言葉で綴られていたのが印象的だったのですが、松村さんが人に何かを伝える時に大切にしていることについて教えていただきたいです。
松村:「人間は本来持っている能力の3%くらいしか使っていない」ってよく言うじゃないですか。だとすると、残りの97%は「伸びしろ」です。だから僕は誰かとコミュニケーションをとる時は、自分に対しても相手に対しても「こんなもんじゃないんやで」「もっとすごいことができるんやで」っていう前提で話しますね。
――今回の本では「営業」「仲間」「リーダー」「感謝・感動」「遊び心」「成長・成功」「仕事・人生」「言葉」といったさまざまなテーマで、松村さんの考え方がつづられています。こうした考え方はどのように形成されていったのでしょうか?
松村:会社を経営していた祖父母から教わったこともありますし、両親の影響も大きいと思います。
――他者への優しさにあふれる言葉も自分を鼓舞するような言葉もあるなかで、どの言葉も非常に前向きですよね。
松村:自分が前向きな人間なのだとしたら、そうなったのは二十歳を超えてからかもしれませんね。それまでは自信もなかったですし、社会に出るのが怖かったですから。でもそれじゃダメだということで力をつけなあかんと思った時に、「成功者の共通点」みたいなことをとある先輩に教えてもらったんですよ。
その共通点として、成功している人がみんな前向きだったんです。これは余談ですが、その時もう一つ聞いたのは勉強し続けることの大切さでした。学生の頃って「地頭」がめちゃくちゃ良くて「いくら勉強しても勝てない」って人がいたじゃないですか。でも、社会に出るとみんな勉強しなくなるから、大人になっても勉強を続ける人は、そういう地頭で勝ってきた人をまくれるんやで、って教わったんです。だから前向きであること、そして学び続けることを今でも大事にしています。
(後編につづく)